【音楽理論】非和声音 ハイドン先生に学ぶ②
こんにちは。eqhor music labo Tokyoです。
今回も前回に続いて、古典派の巨匠のソナタの分析を通して非和声音を学んでいきたいと思います。
今回取り上げている曲
取り上げる作品はこちらです↓
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作曲者のF.J.ハイドン先生。
先生は今日も楽しそうに筆を握り、作曲をされています。
分析1
前回は1小節目の非和声音「逸音」について知ることで、ハイドン先生の考え、感性に触れることができました。
今回はまず、前回の続きの3小節目です。
3から4小節目にかけて、ハーモニーは次のように聴こえてきます。
V(ドミナント)からI(トニック)のシンプルな進行に聴こえます。
しかし、旋律は若干複雑な動きをしています。
譜例2のa.、b.の音は共に和声の構成音と一致していません。つまり非和声音であることがわかります。
どのような仕組みになっているのでしょうか。
譜例2で問題となったa.、b.のうち、譜例3のように、a.のEの音は次の主和音の構成音、b.のDの音は次のドミナント(V)の構成音であることがわかります。
この譜例のA.とB.のように、旋律は次の和声の構成音の旋律を先取りしていることがわかります。
このような非和声音を「先取音」といいます。また、構成音を先取りすることを「予備」といいます。
続けて、7小節目を見てみます。
c.とd.の音は、共に非和声音であることがわかります。
よく見ますと、先ほどの先取音と違い予備がなく、拍点に打たれています。そしてこの非和声音は、GisはAに(c.)、EはFに(d.)、というように解決しています。
このような非和声音を「倚音」といいます。
8小節の間に様々な非和声音を登場させて、ハイドン先生はこの曲にワクワク感を与えています。
分析2
さて、この曲の冒頭から8小節目を分析してきましたが、楽譜を広く見てみると次のようなことが分かります。
非和声音のある小節と、無い小節が交互に構成されているのがわかりますね。
非和声音がある小節は、音楽としては動的で不安定です。それに対して非和声音の無い小節というのは静的で安定しています。
つまりハイドン先生は、子供の〝ケンケンパ〟の遊びのような、安定と不安定の動き、遊び心を音楽で実現して、旋律に命を吹き込んで下さっているのです。
まとめ
①次の構成音の旋律の音を先取りする非和声音を「先取音」という。
②予備がなく、拍点に打たれる非和声音を「倚音」という。
終わりに
今回も、ハイドン先生の作品をもとに非和声音について学んできました。非和声音を使いこなしていると同時に、童心を持って音楽的な楽しさを実現しているなんて、さすがですね。
さて、次回はこれまでに記事で取り上げていない箇所の非和声音を学習、分析することで、さらにハイドン先生の心のうちに迫っていきたいと思います。
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