左手のためのピアノ組曲を書く②
前回の記事では、左手のためのピアノ組曲を書くにあたり、組曲の「前奏曲」を書き始めました。
ではそもそも、「前奏曲」とはどのような楽曲なのでしょうか。
●前奏曲とは
前奏曲は、かつてルネサンス期に、リュート奏者が演奏前の指慣らしと、調弦確認を兼ねて行った音出し用の即興的な演奏を起源としています。
その後、前奏曲は、規模の大きめな音楽に先立って演奏される、即興性を伴った自由な発想な性格を持つ器楽曲として確立することになります。
●前奏曲の例
前奏曲として、まずは「前奏曲とフーガ」というセットが思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
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やがて前奏曲は性格的小品の一つとして独立し、「前奏曲」の名を冠した作品が多く書かれるようになります。
ショパンやドビュッシーあるいはスクリャービン、ラフマニノフらの前奏曲は、即興性や技巧性などにこだわった名曲ばかりだということも、皆さんがご存じの通りのことと思います。
●全曲を通した構想を
今回の作曲している「左手のための組曲」の前奏曲では、「組曲」の冒頭に演奏することを想定した作品を考えています。
古典組曲に関しての説明は次以降に回すことにいたしますが、ここで意識したのは、組曲の他の楽曲の中でも動機として使えるような含みを持たせた素材を盛り込むことでした。
前奏曲が、後に続く楽曲の「予感」のようなモチーフを含むという例は少なくありません。
他えば、次の曲をご覧ください。
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前奏曲のモチーフ(a.とb.)が、のちに続くフーガで形を変えて(a'.とb'.)登場し、音楽全体の物語を整えていることがわかりますね。
今回作曲している前奏曲の音のモチーフも、特徴あるモチーフ(動機)を旋律に使用し、今度作曲するの組曲の、他の曲でも用いられる可能性を持たせました。
最後はコラールで締めくくることにしました。
このコラールの持つ和声の骨格も、組曲を通した物語の「伏線」のような役割を期待しています。
●前奏曲完成
それでは曲全体をお聴きください。
いかがでしょうか。片手という演奏に制約がある中で、組曲の冒頭を飾るのに相応しい音楽になったのではないでしょうか。
それでは、次回もお楽しみに。
●最後に…
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