来月イベントやります&最近作った曲のこと
直近の音楽活動についてのお話。
茶箱さんでパーティーやります
来月11月24日(日)、早稲田の茶箱(さばこ)さんでテクノの小さなデイ・パーティーを主催することになりまして、目下いろいろと準備中です。メインビジュアルがこちら。
茶箱さんでは昔から何かと音楽イベントを企画したりしていたのですが、なんと、お客さんを入れて開催するパーティーのオーガナイズは10年ぶりになるようです。恐ろしいですね。言われてみれば、2020年の4月の企画がコロナでお流れになってしまって、代わりに配信形式の"Music Unity 2020"になったのでした。その前が2014年だそうで、そんなにご無沙汰かあという思いです。月日が経つのは早い。
今回の自主企画の直接の契機になったのが、福岡から来たDJのN.O.くんとの出会いです。もともとSNS上で、熱心にUser(98年から03年ごろにかけて存在したUKのテクノレーベルです)のレコードを集めているマニアックなコレクターの方がいるなとは認識していたんだけど、実は数年前からわりと近いところに住んでいることがわかり、お会いして話してみて、そしてDJを聴いてピンと来たのです。そこで、前々からあたためていた複数の企画のうち、「今再びレコードをフィーチャーしたイベントをオーガナイズするなら」をテーマに、ほかにも旧知のDJの方々をお呼びすることにしました。
ひとりはToranekoくん。新旧のテクノ/ハウスをメインフィールドに精力的に活動している若手DJで、茶箱ではレギュラーパーティー"WARAHOUSE"でもお馴染み。今年は1月にR Loungeでのテクノ・セットを聴いてとても良くて、いつかオファーをかけたいと思っていたところに今回のアナログの企画が立ち上がり、すぐに打診しました。忙しいところスケジュールを調整してくれて感謝!
もうひとりがLZDことShinichi Sasakiさん。レコードでクラシックなハードミニマルといったら…ということで、一も二もなくお声がけしました。何年か前のパーティーで佐々木さんのDJを聴いたときに、改めてレコードで聴くテクノっていいなと感じたことを思い出して。これまでにも何度となく聴いていますが、もしかしたら共演できるのは2008年の"Presence"以来かもしれませんね。今回は本名名義をご希望とのことで、そのようにクレジットしています。
イベント名のnative(ネイティブ)について。今回は特にシリーズ化の予定のない単発企画で、わたしとしても久しぶりにオーガナイズを再開するにあたって、気負わず肩肘張らない、自然体のパーティーにしたいなと思っています。そこで、数あるメディアのなかでもレコードを「母国語」とするネイティブ・スピーカー同士の気安いお喋りのイメージを、そのままパーティー名にしました。
とはいえ、わたしとしても既にrekordboxを使ったデジタルのDJスタイルが主流になってしまって、人前でレコードで回したことなど何年間もないものだから、ネイティブのほうが不自由になってしまっているありさま。先月、イベントの計画を立て始めると同時に、部屋の棚という棚からレコードを引っ張り出しては、せっせとリハビリに励んでいます。意外な掘り出しものもたくさんあり、今からイベント当日が楽しみです。みなさまにおいても11月24日日曜日の午後、予定を空けておいていただいて、あとひと月ほど楽しみにお待ちください。
テクノ・アライアンス8に参加しました
omae03さんの主催する最新コンピレーションアルバム「Techno Alliance 8」に、前回の「TA7」に続き、書き下ろしの新曲で参加しています。
今回の参加トラックメイカーは20名(!)とのこと。同じテクノでもスタイルはさまざま、ボリュームたっぷりのカタログとなっています。来たる10月27日開催のマルチメディア即売会「M3」での会場頒布のほか、公式Bandcampでも有償ダウンロードリリースされます。
また、ここからがこの企画のおもしろいところなのですが、11月から12月にかけて全国で開催される提携イベントの会場にて、Bandcamp版の全曲が無償でダウンロード可能になるコードが配布されます。要するにこれ、リアルイベントも国内のトラックメイカーによるテクノシーンも、作品をインセンティブに、相乗効果で共に盛り上げていこうという粋な計らいなのです。
そして嬉しいことに、前述の11月24日開催の「native」もこの提携イベントに入っています! 先着順で配布予定の物理カード記載のURLから、「TA8」コンピレーション収録曲全曲が無料でダウンロードできます。個人的にもこの野心的な計画は応援したいところで、今回作曲側とイベント側の両方に同時に関わることができたのは嬉しいことです。
提供した新曲"Basic Arts"は、別途SoundCloudにもフル試聴ファイルをアップしました。パワフルで直線的なDJツールです。わりとイメージに近い音に追い込めたと思うので、聴いてみてください。
この曲は「909の日」に公開した短いスケッチをもとに、ちまちま肉付けしていきました。ハードウェア機材だけで作っていたときのような、ラフにビルドアップしていく雰囲気を出したくて、シンプルなループのなかでもハイハットのディケイとか、複数のパラメーターをバインドしたシンセのマクロとか、けっこう細かくオートメーションを録っています。LiveとMIDIコン(Launchkey)のコンビネーションにもだいぶ慣れてきて、体感としてはもうほぼハードウェアの感覚で作れるようになってきました。
新曲"Luminosity"をリリースしました
そしてさらに10月5日、1曲入りシングルEP"Luminosity"をEPX studioのBandcampからリリースしました。下記から直接試聴と購入ができます。
この曲は3月に原型が生まれてから、半年以上ああでもないこうでもないとアレンジに悩んだ末にようやく完成に漕ぎつけたものです。原型の時点でお気に入りで、いい曲になる予感はしていた。ただ、普段あまり作らない曲調なだけに、どっちの方向に仕上げるか…例えばもっとメロディーを足してみるとか、別の展開を入れてみるか、みたいな選択肢の多さに迷った。最終的には、派手な要素はバッサリ落としてシンプルに、エモさは残し、跳ねてるけどハウスに寄り過ぎないテクノみたいなイメージに仕上げました。
特に縛りはなかったんですが、あとで確認したらこの曲のなかで鳴っているシンセはコードスタブもパッドもベースもブリープ音もすべてMeldでした。Live 12にビルトインされているMeld、作りたい音に最短のステップで手が届くうえ、程よく想定外のイレギュラーなオプションも提示してくれる、好きなシンセです。
多彩なオシレーターの美味しいとこだけをユニークな2つのマクロパラメーターに落とし込んでいる今風なところとか(実際に上記の開発者インタビューにあるとおり、Mutable InstrumentsのPlaitsにインスピレーションを得ている感じはある)、モジュレーションマトリクス上のパッチングの簡単さ、個性的なフィルター、SpreadとDriveの気が利いた使い勝手もいいですね。
もう何曲か作ってまとめて出そうかとも考えたのですが、この曲だけ少し浮きそうだったのでこれはこの1曲だけでリリースしました。また作ったら、こんなのできたよみたいな感じでポンポン出していきます。よかったら聴いてみてください。