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梅雨入り前のあれこれ(日記)
6月前半は音楽を作るなどしていました。普段やらないような音作りに黙々と取り組んでいる期間、楽しかった。Ableton Liveのショートカットもだんだん手に馴染んできた。その成果はこの次の記事でまとめます。
最近の出来事からいろいろと。
『マッドマックス:フュリオサ』を観てきた
5月31日は、公開初日の『マッドマックス:フュリオサ』を観てきました。前作『怒りのデス・ロード』(2015年)は劇場で5回も観た作品で、今回も同じ監督、同じ世界のお話で当然前のめり気味の視聴ではあったのですが、なんか…思っていたのと違ったんですよね。少なくともV8!V8!とか言って何回も繰り返し観たいテンションの作品では全然なかったので、異様に分厚いパンフを買って読み込んで、作品世界にひとしきり思いを巡らせて、それから作品を反芻して、うーんみたいな。
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スピンオフ前日譚ではあるわけですよ。決して前作に比べて手を抜いたりした作品ではなくて、むしろ愛ゆえに凝りまくっている。美術も衣装もアクションもスケールアップしているし、何より肝心かなめのサーカスのようなカーアクションは惜しみなく披露される。なのに、何というかこう…妙にセリフが多く説明的で、前回のような視聴者のイマジネーションの余白があんまりない作品なのでした。
『怒りのデス・ロード』でマックスがある種の貴種流離譚のテンプレートに沿った「神話」であったのに対して、今作は語り部が言葉を語り尽くして解釈する「歴史」のような作品だった。だからもう、映画の切り口、ジャンルからして違う感じ。
パンフなんかを読むと、ジョージ・ミラー監督はとにかく「前作と同じことをしたくない」タイプの作家のようで、であればそれも納得なのですが、たぶん監督以外のキャストや制作陣は『怒りのデス・ロード』が大好きすぎたんじゃないかな、と想像しています。これを観ておくとフュリオサというキャラクターへの理解は深まるし、『怒りのデス・ロード』がよりおもしろくなる「副読本」的な効果があるのは間違いなくそう。
だけど、わたしがシンプルに『怒りのデス・ロード』を観て感じた「何かとんでもない映画を観た!」という興奮のボルテージには届かないまま終わってしまって、そこに物足りなさがあった。もっと理解や想像を超えた、わけのわからないものを見せてほしかった。
なのでこう、マッドマックスシリーズで次に見たいものはもうマックスの前日譚とかではなくて、われわれの全然知らないところで全然違う伝説を作っているマックスの話かな…。ともあれ、ミラー監督にはまだまだ長生きしていただいて、すごい作品を撮ってもらわなければならない。
個展へ行ってきた
SNSで繋がっていた知人の作家さんによる個展「山本 まりか 展 – paradise –」へ行ってきました。場所は人形町のJINEN GALLERY。知らなかったけれどこのあたり一帯、画廊やギャラリーが特に多いエリアなのですね。
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山本さんの作風は、日常の何気ないひとコマをモチーフに、最小限の色と線でポップに再解釈してゆくもの。タイムラインに流れてくる作品をいつも拝見しながら、一度まとまった形で見てみたいと思っていたのでした。
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ふつうなら見逃してしまうような卓上の日用品の数々、あるいは名もなき草花、あるいは水や氷や影が生み出す自然現象、そういったものに美を見出すばかりでなく、一定の「リズム」や「パターン」を読み取って、独自の言語を使って図案化を試みたような作品たち。その言語のライブラリの一端に触れることのできる機会に、大変刺激を受けました。
わたしはなにか、誰に求められるでもなく、こういうアウトプットを日々生み出さずにはいられない切実な衝動、尽きぬ源泉のようなパワーに憧れている。作家さんご本人とも、改めてじっくりお話しすることができたのでした。
休日は友達とゴルフをしている
先日記事にも書いたVRゴルフゲームを友人も買ってくれて、既に3人で何度かオンラインでラウンドしてきました。とても楽しい。
週末は友人とゴルフというおじさんらしい趣味 楽しかった pic.twitter.com/sCOVpfNAmW
— R-9 (@epxstudio) June 2, 2024
3人とも別にゴルフが得意とか、特段スポーツが好きというわけでもない。けれども、体験として同じ空間で一緒に体を動かしている楽しさは現実と何も変わらない。仮想空間のなかでその人が居る方向から声が聞こえてきて、その身振りやスイングが見て取れれば、その記憶はもうバーチャルではないのですね。このアルティメットスイングゴルフ、ゲームプレイと直接関係のない「空気感」の演出が上手くて、尚更そう感じるのかも。
ゲーム内音声チャット機能は若干使いづらいのですが、Meta QuestのOSネイティブの音声チャットが意外に音質・レスポンスともに良く、もはやPC要らずで全然オンラインVRゲームいけるな、という感触です。
異常に面白い「にじGTA」
6月15日から開催されている、にじさんじの叶くんと星川さんの主催による「にじさんじGTA」を毎日観ています。
これはGrand Theft Auto VのMODを使った、にじさんじ所属のバーチャルライバーによるオンラインゲーム大会。言わずと知れたGTAのロスサントスで、各ライバーが警察官、ギャング、医者、タクシードライバー、飲食店経営者など思い思いのロールプレイを楽しみながら、筋書きのないドラマを演じるというもの。このために用意されたプライベートサーバーは毎晩19時から深夜3時まで、10日間のみの稼働。言ってしまえばそれだけなのですが、これが意味わかんないくらい面白い。
例えるならば、自分が興味のある役者さんが出ている番組、おもしろそうなドラマなりアニメがあると思ってくださいよ。それが同時に50本以上同時に放送していて、しかも一見それぞれ独立しているように見える話の内容が実は全部繋がっており、そんな番組のほとんどが毎晩8時間やっている感じです。情報量の暴力!
そのうえプレイヤーは全員にじさんじ、歴戦の配信者なわけだから、ゲームが上手いライバーさんは普通にゲームの上手さで魅せるし、ロールプレイが得意なライバーさんはごっこ遊びの真髄を見せてくれる。不器用なライバーさんでさえも、その不器用さゆえに事件の引き金となって笑わせてくれるし、そういうところには医者なり警察なり、人が集まるようにできている。ひとつの視点を追っているだけでも楽しめるし、普段はありえないライバーさん同士の突発コラボが、ただ同じ場所に居合わせたというだけで始まるのが面白い。
こんな複雑なコンテンツをどんな風に視聴しているかというと、もはや何窓しても無理だから、ほぼザッピングのようにして追うしかないのです。そうすると、例えばライバーAの配信を見ていたらすれ違ったライバーBの動向が気になり、Bの配信を見るとゲーム内でCから電話かかってきて、Cの配信を見たら横でDとEが大暴れしていて、その原因が実はAにあったみたいなことがある。背景が背景でなく、NPCがNPCでない、全員が人間で配信者であるからこそのドラマ。そういうものが無数に網目状にリアルタイム生成されてゆき、視聴者は観測者となって、それを各々のスイッチングによって文脈を見つけ出すというエンタメなんですね。これはもう、やはり異常に面白いというほかない。