Netflixで観た映画メモ:2017年2月

去年の秋からNetflixを利用してちょくちょく古い映画を観るようにしています。月額650円とかで見放題で、何より時と場所を選ばず、どこで中断したり再開したりしてもいいという気軽さが気に入ってしまいました。私にとって映画って、2時間なら2時間用意してさあ観るぞっていうところの心理的な障壁が異様に大きいエンターテイメントだったのですが、そのあたりが完全に解消しましたね。

Netflixはラインナップが増えたり減ったりして一定でないだとか、何でも揃っていそうでそんなことはない、みたいなのもありますが、そもそもこれまであまり映画を観てこなかった自分にとっては十分すぎるほど。

で、せっかくなので、観たものについては覚え書き程度の感想をちょこちょこメモしていこうと思います。こういったことはこれまでもメインのブログでやっていたのですが、試しにnoteにも。せっかくニンジャスレイヤーのおかげで、遅まきながら映画という趣味に出会えたのですからね。

フロム・ダスク・ティル・ドーン
From Dusk Till Dawn (1996)

『デスペラード』のロバート・ロドリゲス監督作品。連続凶悪殺人犯の兄弟が、善良な一家を人質にキャンピングカーをジャックしてメキシコへの国境突破を目指すシリアスなクライム・サスペンス…と思って観ていたのですが、後半からとんでもない方向に急ハンドルを切ったので私はぶっ飛びました。前半と後半でこんなにテンションが違う、別の人が撮ったのかという映画を他に知らない。

ダンサーのお姉さんの足をペロッペロ舐めるタランティーノの怪演も最高なんですけど、どんどんノリノリになっていくジョージ・クルーニーとか、チョイ役のわりにはだいぶ濃いバーテンを演じているダニー・トレホとか、見どころは多いです。超大作とか名作とかではなく普通に全力でふざけているカルトムービーでした。

オチとかもええ~って感じなんだけど、ラストカットがすごくよかった。あるカットからカメラがつーっと引いていって、結果として強引なほどの納得感があり、これがメキシコだぞというのを見せつけられた。人に話したくなる。観ておいてよかったです。◆◆◆◇◇

アダルトボーイズ遊遊白書
Grown Ups 2 (2013)

大きくなっても頭のなかは成長していないバカ大人たちが繰り広げるドタバタを描いた、チョーーくだらない、いわゆる「ベタ」なアメリカン・ジョークが危険な密度で凝縮されたコメディー。私はこういうの大好きです。あとから知ったんですが、Rotten Tomatoesとかの評価は最悪で、その年のラジー賞ノミネートを総なめにしていたんですね。どうも何というか、映画という括りの何かではないのは確かなんだけど…おもしろいのに!

いろんな一家が出てきて、次から次へとシーンが映る。にしては、みんなそれなりにキャラが立っていて、愛すべきバカとして描かれているのがすごい。スティーブ・ブシェミが、いい味だしてる教習所の教官のおっさんの役で出ています。

字幕で観ていると、わりと気の利いたセリフ回しのジョークは英語の勉強にもなります。何より、内容がひたすらアホなので何も考えずに観れる。前作も観てみないとね。◆◆◆◆◇

白夜のタンゴ
Midsummer Night's Tango (2013)

「タンゴはブエノスアイレスの音楽」と信じて疑わない、生粋のブエノスアイレスっ子のタンゴ奏者の3人のおじさんが、あるとき「タンゴのルーツはフィンランドだ」とする説を耳にする。そんなのとんでもないってんで、3人はフィンランドに乗り込んでいって、ああだこうだと言いながら現地の音楽や人に触れ、どう変わっていくか、を描いたロードムービー的なドキュメンタリー。

私はアルゼンチンタンゴを聴くのが趣味で、こういう映画とかも観ます。でもフィンランドのタンゴというのは自分もまったくの初耳で、とても興味深かった。結果どうだったかはぜひ観てほしいのですが、直情的なアルゼンチン人と、物静かで奥ゆかしいフィンランド人の違いが分かりやすくおもしろいので、タンゴに馴染みのない方でも楽しめると思います。専門用語的な小難しさはほとんどない。

というか、監督としてはあえて学術的なルーツの探究なんかはは避けて、おっさん3人が美しいフィンランドを行く珍道中を描くことに徹している節はありますね。フィンランドのタンゴというのがまたとても素朴で美しく、そのなかの一曲に私は虜になってしまいました。◆◆◆◆◆

パルプ・フィクション
Pulp Fiction (1994)

タランティーノ監督の代表作というので観たのですが、オムニバス的な構成で時間も長く感じてしまい、エピソードの前後関係が分かりにくいところもいくつかあって、あまり入り込めませんでした。あとからいくつか解説記事を読んでなるほど、とは思ったけれど。印象的なシーンはいくつか…また別の機会に観たら、違う感想になるのかも。スカッと、エンターテイメントとしてバーンと終わるタイプの作品ではないんですよね。◆◆◆◇◇

マチェーテ・キルズ
Machete Kills (2013)

その意味ではこっちは全力エンターテイメントでした。すごかった。徹頭徹尾ダニー・トレホ・ショウ!まず冒頭のスカム予告編からしてニューロンを焼いてくるのですが、すべてがダニー・トレホ(恐竜みたいな顔をしたメキシコのおじいちゃんだ)を面白カッコよく魅せるためにお膳立てされたシナリオで、大笑いした。

最後が本当に投げっぱなしで、それこそ宇宙空間に放り投げられたようにして終わるので、そこだけでもいい感じに仕上げてくれれば私のなかでは満点だった。というかこれも前作を観ていないので観ます。Netflixにないんですよおー。◆◆◆◆◇

特命係長 只野仁 最後の劇場版 (2008)

年明けにAbemaでやっていた続編が面白かったので、久々に劇場版を観たくなって探したらNetflixにあった。私は本放送を地上波でやってたころからの只野ファン。Grown Upsじゃないけれど、アホなことに全力をかけていて、映画としてどうとかそういう物差しで測れないことをやっている。究極のベタで、だからこそ面白いわけです。

地上波で本作を観たのはもうずいぶん前の話で、筋書きは全然覚えていなかったけど、チェ・ホンマンの芸達者ぶりだけはなぜかすごく覚えている。ラストの機内バトルが最高。あと、武器の鍬みたいのをギャリギャリやって火花みたいなオマージュもいちいち丁寧にやっていて笑ってしまう。

いつもの只野仁なので普通ぅーに面白く、どう評価しても完全に星3つの娯楽。ただしその星はめちゃくちゃ輝いている。◆◆◆◇◇

コラテラル
Collateral (2004)

トム・クルーズが出ているんですけど、人の心がまったくない暗殺者の役で、これがすごく良かった。私は常々トムの人間離れして整った顔立ちは、誰かを守るヒーロー的な役柄よりも、なんかコミュニケーションが通じない狂人の役のほうが向いていると思っていました。その意味では、翻訳チームの推す通り、ハリウッド版ニンジャスレイヤーのニンジャスレイヤー役にぴったりですね…。

あなたはアクション映画の傑作『コラテラル』を見逃していませんか? | Netflix日本非公認ファンブログ

このブログの記事を読んで、なんとなく観てみたのです。確かに面白かった。言ってみればよくある犯罪巻き込まれ系のサスペンス・アクションなんだけど、それだけじゃなくテーマに芯が一本通っている。完璧な作品ではないものの、よくまとまっていると感じました。

主人公である黒人のタクシードライバー、マックスがある究極の瞬間に一種の狂気に触れ、自分の壁をぶち破るシーンがあって、そこが最高に爽快です。もちろん、上のブログ記事にある夜の描写も美しかった。都会のワビサビを感じるオチも何とも言えず、いい。◆◆◆◆◇

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