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京大物理について徹底考察してみた。

0.はじめに

なぜ、この記事を作りたいのか。

京大対策に関する記事が東大に比べて少ないから!
ましてや物理!

過去問の解説とかはネットにあるけど、立ち回りとかは詳しく買いていない...
そんなこともあって京大を目指している子たちに役に立ったらいいなと思い、この記事を作る事にしました。

私は現役35点から一浪80点と得点源になるくらいまで伸ばせました。

自分の考えや分析も絶対に正しいという訳でもないので参考程度に見てくれたらと思います。

1. 基本情報

1.1問題構成

大問3つ。力学と電磁気はほぼ確実に出ます。残りは波動、熱力学、原子のどれか。融合も多い。

ここ3年の出題テーマを貼ります。

2024

1. バネのついた運動、2体問題
2. 荷電粒子の運動、ドリフト運動
3. 光ファイバー(波動)

2023

1.万有引力と中心力
2.球殻コンデンサー
3.偏向板(波動)

2022

1.円運動と運動量保存則
2.ハシゴ型回路の電磁誘導
3.熱サイクルと模型(熱力学)

このように熱力学と波動は2年に一度のペースで出てます。
一方で、原子は5-10年に一度でメインテーマとして扱われ、時々小問として(2023.2)出てきます。

ほとんどの問題は、穴埋め(10-15問)と記述(2問)で構成されています。

それぞれの大問は30-35点配点で合計100点満点です。

京大特有ですが、誘導という作られた道を進む力が重要です。空欄に当てはまる前後の文章に指針が書いてあり、その指針に沿って問題を解くことが大原則です。

2024 京大物理 第1問

例えば、キの解答をする際、「力のモーメントの釣り合いが...」と問題文にあるので、その条件を用いて解答します。

この問題は簡単な場合ですが、難しくなると問題文で与えられたヒントを見逃してしまう場合があるので、問題文を熟読することをオススメします。熟読すると言っても、英語のように動詞を探せとかではなく、手かがりを見つける事ですからね笑

1.2 試験時間

化学(人によっては生物や地学)と合わせて180分です。
(2006年までは150分)

物理と化学を同じ割合で時間を使うなら、90分となりますがこれは他の大学に比べて長いです。

これは、問題が長いが故だと私は思います。こんなに時間は与えられていますが、時間は足りません。物理の全ての問題解くことは厳しいかもしれません。

2. 戦略

ここからは、戦略についてお話したいと思います。
とは言っても、目標点によって戦略は違いますのでここでレベル分けします。

① 足を引っ張らないレベル(非医) 60/100
② 足を引っ張らないレベル(医)or 物理で点数を稼ぐ(非医)
70/100
③ 物理で点数を稼ぐ(医) 80-/100

この3段階に分けて進めます。


2.1 足を引っ張らないレベル(非医)

これは、学部によって配点が違うので一概には言えませんが
55%(素点で55点)取れれば、足は引っ張りません。

つまりそれぞれの大問で半分を取れば良いことになります。

ほとんどの年では、基本的な問題(網羅系問題集にある問題)を取れば達成出来ます。

そのため、この得点を取るためにやるべき事は他の大学と同じで、学校で配られる問題集だったりもう一歩レベルの高い問題集(名門シリーズ)を完璧にする事です。

時間無制限でもいいので、それぞれの大問の(1)が全て解けると次のレベルを狙っても良いですね。

2.2 足を引っ張らないレベル(医)

医学部は他学部に比べて求められているレベルが高いですが
70%(素点で70点)取れれば、足は引っ張りません。
(入試の開示データを見る限り)
非医なら、十分お釣りが来るような点数です。

ここからは、少し京大特有の対策となりますが、とにかく問題文の意図を汲み取る練習をします。

誘導が無かったら解けない初見問題も与えられた道を辿る事で解けるのが京大の大きな特徴です。

どんなに物理できる人でも初見な問題があるのが京大の物理
そんな問題も誘導があれば解けるのが大半です。

2021 第2問

例えば、2021年の第2問、(3)。微分方程式を伴う問題ですが、(iii)式が強力な条件とやっており、この式に代入するだけの問題となっています。

このように、本来であれば高校範囲外の問題も誘導によって解くことが出来ます。

そのため、敷かれたレールに沿って進む練習をしましょう。
最初は慣れないと思いますが、自転車と同じで数をこなしたらルートは自ずと見えるはずです。

また、力学が主ですが、ここから次元解析(以下、次元チェックと言う)の練習も大事になります。

例えば、加速度a、時刻tを用いて長さを求めさせる問題で、atという答えは絶対に間違っています。

aは[m/s^2] tは[s]のため、atは[m/s]となります。
しかし、長さの単位は[m]より間違いだと分かります。

以上の例は簡単な例ですが、京大の問題は進むにつれて複雑になり、使う文字も増え、ミスも増えます。
そんなミスを減らすために日頃から次元チェックを使いこなし検算をしましょう。

追加で、取れそうな問題を探す練習しましょう。京大の物理は、途中でテーマが変わることが結構あります。
このテーマが変わった時はチャンスで、また優しいモードから始まるので、まだまだ解ける問題が眠っています。
この眠っている簡単な問題を探して解けると点数が意外と伸びます

以上のことをまとめると

①長いリード文を読む忍耐力を付けヒントを拾う
②ミスを減らすために、次元解析出来るようになる
③残っている解けそうな問題を探す

ために訓練してください。


これまで、70点を取るためのお話をしましたが、試験中に時間を気にすることはあまりないと思います。問題はここからです。8割を安定して取るためには時間との勝負でもあります。

2.3 物理で点数を稼ぐ(医)

80%(素点80点)を取れば、医学部でも点数を稼げます。
他学部だったらここまで点数取れれば、他の科目少しコケても立ち直せますね。
(自分もこのケースです笑)

では、本題へ。ここの段階ですべき事は、
とにかく問題演習をすること。(時間を計って)

先程、京大の問題は初見が多いとありましたが、殆どは類題があります。つまり、問題演習を増やすことで初見の問題を減らすことが出来るのです。

2024 第2問

例えば、2024年の第2問の問3、電場と磁場のドリフト運動の問題です。これは類題があり、2020年の東工大第2問だったり、2024年の京都府医の第1問だったり。

東工大 2020 第2問
2024年 京府医 第1問

著作権の都合上、ここには載せられませんが、駿台やオープンの冠模試の問題にも出てます。

そのため、このくらいの点数を目指す人は

①とにかく実戦やオープンの問題をやる。
(オススメは東大と京大。主は10年分くらいやった)

②別大学の過去問を漁る。(初見問題を主に)

以上のことをしましょう。

気をつけて欲しいのは、
①をやる際はしっかり時間を測って
②をやる際は自分が理解できるまで足掻く

①の勉強は、どうやったらスピーディーに解けるか自分なりに研究するためです。
時間削減するための方法といっても、計算が速い人遅い人、理解能力が速い人遅い人、様々な人がいるので自分にあった立ち回り方を見つけてください。

②の勉強は、初見のテーマを完全に理解し、仮に次出た時絶対に正解するためです。1度やったテーマの問題が仮に出題された時、ネタを知っている状態なので、リード文などを読まずに解くことも出来て時間を削減出来ます。

このように、2つのやり方を紹介しました。

最後に、ミスの減らし方について少しだけ

よく、ケアレスミスという言葉にします。私もこの不注意によるミスが多かったです。しかし、入試までに減らすことが出来ました。減らすためには、

とにかく、自分のミスを研究する。

このくらいの点数を目指す人は、それなりに演習を積んでいるはずです。すると、よくミスする所が自然と浮かびます。
(運動量保存則の立式をミスするとか、比誘電率と誘電率を間違えるとか)

このよくやるミスをノートでもスマホのメモでもまとめると試験前に見直して、立ち回りに修正出来ます。

マリオでも、演奏でも、よくミスする場所は慎重にやるように試験も同じで、よくミスする問題は慎重にやることでミスが減ります

同時に、よくあるテーマ(相対運動と重心運動のエネルギー、重心から見た保存則)をまとめてもいいと思います。

90%を目指す人も①と②の繰り返しです。とにかく、初見問題を潰して自分なりの立ち回り方を確立してください。

2.4 (参考) 自分の立ち回り

0分.試験開始
0-3分
全ての問題に目を通す

3-38分
自分の1番得意な力学に35分かける。ここでは、問も全部解く。

38-58分
京大の電磁気は、問と最後の設問以外は秒殺出来るので、20分で解く。ここでは、問と最後の方の設問は簡単でない限り飛ばす。

波動の場合58-88分
熱力学の場合58-80分
波動は初見テーマが多い京大。波動が来た場合は、自分の知らないテーマだと時間がかかるのでじっくり文章を読む。

熱力学は最後の計算が重かったりするが、基本的には楽なので電磁気と同じ立ち回りをする。

熱力学の場合 80-90分
波動の場合 88-100分
残った問題がどれくらい点数あるか、自分はどのくらい取れるか計算する。この取れそうな点数が少ない場合は、捨ててとにかく検算に回る。

これで化学に行く。と言った感じです。

自分は、とにかく力学が得意だったので35点かけて満点を取り、残り2つの大問はそれぞれ3ミスくらいに抑えて80点は取れるようにしていました。

自分の得意、苦手な分野に合わせて戦略を考えて修正してください。

3 参考書について

先ほどは、目標得点に分けて戦略を考えましたが、この章ではおすすめの参考書を紹介したいと思います。

⚠️ ここに無いからといって、その参考書が悪いと言っているわけではありません。個人的に気に入っている参考書を羅列しているに過ぎません

3.1 秘伝の物理(初学者)

なんといっても基礎的な問題を網羅する必要があります。
しかし、物理をほとんどやった事がなく初学である人もいると思います。

その方々には、秘伝の物理をお勧めします。授業動画がついているので授業形式で進められます。

3.2 鉄緑会の物理攻略ヒント(初学者-初級者)

基礎的な知識を蓄えた際に、恐らく疑問が生じるでしょう。
そんな疑問が質問形式で載っているのがこの本。

質問と回答と言った形が100問程あり、今まで気にしていなかった視点に気づけるかも。そんな主要参考書の足しにもなるのがこの参考書だと思います。

3-3 物理が面白いほどわかる本(初級-中級者)

代ゼミの代表する参考書と言っても過言ではないです。基本的な問題から大学入試の発展テーマまで幅広く扱っていて1冊で完結する人も居るでしょう。

問題演習を積みたいという人も、オススメ。但し、これで京大物理が完全攻略できるかと言われるとイマイチなので、主に初級から中級者向けです。

3-4 物理 理系上級問題集(初級-中級者)

これは最近出た駿台の問題集です。タイトル通り上級者向けかと言うとそこまで難しい訳でもなく、程よい問題集です。
良問シリーズは解説が雑であり合わないな...という人にオススメ。

これも3-3と同じ立ち位置で、主に初級から中級者向けです。

3-5 難系シリーズ(中級-上級者向け)

3-3や3-4に加えて更に問題演習をしたい方へオススメです。初見問題も多く、幅広い演習ができます。

しかし、難系あるあるですが解説が雑で誤植もそこそこあるので、そこの所を踏まえて購入を考えてもらいたいです。特に初級者がこの問題集をやるとかえって混乱する原因でもあるので、取り扱い注意な問題集です。

3-6 京都大学への理科(中級-上級者)

駿台の京大実戦の過去問です。オープンの過去問は入試問題集ですが、同じようなクオリティです。

駿台の方が、微積を使わせる様な問題が多いです。河合塾は、計算が重い印象がありますが、駿台か河合塾どちらでも良いと思います。

自分の戦略作りの練習として演習するといいでしょう。

3-7 東大物理問題集 (上級者)

鉄緑が出している東大の過去問です。少し値段が強気ですが、京大志望でも十分に買う価値があります。
東大の過去問を1番分析しているのは鉄緑会だと思っていますが、その理由の一つがこの問題集です。

解説も詳しく年度ごとの難易度も書いてあります。配点は参考程度ですが、最後の付録が分かりやすかったので購入を勧めます。
(もちろん、以上の対策が終わって物足りない人向け)

3-8 道標シリーズ (上級者)

河合塾が出している物理オタク向け参考書です。前半は、教科書には書いていない話だったり微積を用いた説明があります。
(これが割と京大志望だと役に立ったり)
特に、面積一定や相対速度と重心速度のエネルギー、有効ポテンシャルのお話が京大で出題あるのでここを抑えてたら有利だったと思います。
後半は、問題演習となっていますがそこそこ難しかったので、やはりここも上級者向けですね。

上級者の中でも、物理の興味が収まらない人向けで点数を最大化させるための参考書とは少しズレているかも。

4 模試について

京大志望なら、1度は受けるだろう冠模試。私も何度か受けましたがそんなに影響されないで!というのが大事な話。

特に駿台ですが、恐らく作問者の趣味で出題されている事が時々あります。(ビオサバールの法則とか)
そんな問題が、実際に京大で出題されるかというと可能性は低いです。そんな問題の点数が悪かった事に落ち込んでいる時間はありません。

もちろん、解けなければいけない問題もありますからそういった問題は復習が必要ですが、模試を過剰評価しない様にしましょう。 

1番のゴールは模試でいい点数をとる事ではなく、本試で1点でも多くとる事です。

5 年度別の難易度と評価

こちらは公開後にぼちぼち書いていきます。(ごめんなさい、忙しくて)

6 さいごに(と共通テストについて)

受験まであと少しの肌寒い季節になりましたが、ここからはメンタルゲーでもあります。
試験スタートの合図の1分前まで、自分を信じて粘り努力した者が受験を制します。

ここからは物理が関係ありませんが、私の体験談として、、、

私は一浪でどちらも京大を受けましたが、大の共通テスト嫌いで特に文系科目の相性が悪く、本番も700/900点でした。
(結構対策したはずだったのに...)
もちろん、リサーチはE判定。ベネッセのリサーチ見たら、同じ得点帯の受験者は27人で、合格者は1人。誰が見ても絶望的でしたが、今は京大生です。

考えてみてください。ボーダーは760点とかで、傾斜かけたら10点もありません。そんな10点の差を埋めるくらい容易いものです。数学で1問、物理の問を答えたらお釣りが来ます。そんな差しかありません

大事なイベントで、落ち込む事はこれからもあると思いますが自分を信じて後悔のない努力をしてください

「共通テストでマークミスしたかな、名前書いたかな」といった無駄な心配があなたの得点を上げますか?
いつもと同じように勉強をしましょう。平常心大事。

さいごに、私は荻野信者でもあるのでここで荻野トークを紹介したいと思います。50分くらいありますが、暇な時見てみてください。
(接点tの動画じゃないよ✋( ˆ̑‵̮ˆ̑ )

質問あれば、こちらまで。皆さんの合格報告をマシュマロで聞かせてくださいね^_^

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