EP STUDY 第3弾 紙象嵌標本の配布/販売が8月17日より開始!
既に紙と印刷の特殊加工に詳しい皆様に質問です!「紙象嵌(かみぞうがん)」をご存知でしょうか?
「紙象嵌」は古くから受け継がれてきた伝統的な技法で、その技術を有する会社がかなり少ないため、珍しい加工となっています。
今回はEP STUDY第3弾として、その貴重な紙象嵌・抜き加工を得意とされている東北紙業社さん(東京都墨田区)にお声かけして、職人・加藤さんの多大なるご協力のもと、紙象嵌の加工現場を見学&実際に紙象嵌を実験してみました!
紙象嵌ってなんだ?
「象」=象る(かたどる)、「嵌」=嵌め込む(はめこむ)。
象嵌とは、一つの素材に異質の素材を嵌め込む工芸技法のことで、
紙象嵌とは、土台となる紙に異なる紙を嵌め込む加工のことを言います。
異素材が丸みを帯びて嵌め込まれ、台紙に埋まることで、ただ紙を2枚貼り付けたのとは違う一丸となっている感じが出てきます!
<椅子のシート部分、蛍光ピンクの紙が象嵌されてます!>
一般的な紙象嵌技法を、極めて簡単にご紹介します。
まずは紙について。
土台の紙(象嵌される紙)はできるだけ「厚い」方が良いです!
推奨の厚さは四六判400kg台・紙厚0.6mm以上で、紙象嵌加工に見える限界は四六判200kg台・紙厚0.28mm程度までです。それ以下の厚さだと、素材の嵌め込む空間が少なくなるため、シールを貼ったような感じになります。
今回EP STUDY紙象嵌の台紙「CRクッション570g」 は紙厚0.9mmと厚さがたっぷりあるので、椅子の柄となる埋め込む紙は台紙の真ん中にドンっと固定されました!
逆に、埋め込む紙(象嵌する紙)は「薄い」方が綺麗に仕上がります。紙に限らず、布や葉などの異素材でも、裏面に糊付け可能かつ、刃でかたどれる素材であれば対応可能な場合もあります。
厚い紙も埋め込むことはできますが、紙象嵌の良さである一体感のある仕上がりではなくなり、紙をそのまま台紙に貼ったみたいに見えてしまいます。
<それでもぷくっと出る部分は可愛いけどね!>
次に型のお話です!
紙象嵌の型には、デザインや仕様により、木型と金型があります。
木型は安価で、象嵌する紙の紙厚の許容範囲が広いですが、刃のつなぎ合わせが仕上がりに少し出ます。刃間3mm程度になるので、あまり細かい形状には向いていないです。
そのため、主に使われているのは金属を腐食して作った腐食型です。木型よりは型代は上がりますが、刃のつなぎ合わせもなく、刃間は1mm程度で細かい加工が綺麗にできます。
<EP STUDY の腐食型。分厚くてカッコいい!>
紙象嵌の中にも加工色々!
ひとくちに「紙象嵌」と言っても、実は大きく分けて3つの加工方法があります。
まずは「デボス方式」という、デボス版で土台を押し込んで別途作った部材を嵌め込む方式。象嵌された紙が土台とフラットになるので、「嵌め込まれた」感じが最も出る方法といえるかもしれません。
または、台紙・中台紙・表紙の三層を作り、
中台紙部分に異物を埋め込む、「パズル方式」の加工方法もあります。
そして最後に、今回のEP STUDYでは、
一番主流の「紙象嵌方式」に挑戦しました!
型で直接抜きと埋め込みを行う方式です。今回のEP STUDYのデザインでは、椅子の主線は切れ刃で表現し、ディテールをどう出すかが課題でした。職人・加藤さんに相談した結果、このディテールは「デボス加工」を組み合わせることで実現することにしました!
<外形は切れ刃で、ディテール部分はデボスで。>
<1つの抜き型にデボスも組み込みました。>
…と、お気づきのとおり、少〜し加工上級者向け?の印象がある紙象嵌!
トライしてみたい!という方は、ぜひお気軽にEPにご相談ください。
ご希望のデザインやご予算によって、おすすめの抜き型や加工方法が異なりますので、象嵌のお見積もりを行う場合は、一度お打ち合わせを行わせてください!前もって象嵌のことを知っていただいたうえで、デザイン案を共有いただき、EPと東北紙業社さんで連携しながら加工方法を選定して、お見積り…という流れになります。
次にご紹介する動画をみていただければ分かるとおり、紙象嵌は自動機械でドカドカと生産できるものではなく、かなり職人さんの手間と技術のつまった加工です!そのぶんコストはかかりますので、「ここぞというとき」のご挨拶状やインビテーションカード、アートピース等にオススメの加工です!
EP STUDY × 東北紙業社 の紙象嵌
今回のEP STUDYは、東北紙業社の加藤さんに多大なるご協力をいただきました。
紙象嵌のおもしろさが伝わるように、事前にEPメンバーと加藤さんでミーティングを重ね、デザインを決定。「異素材の融合と、バリエーションの賑やかさ」を際立たせるため、椅子のイラストを採用しました。このユニークな椅子のイラストは、台湾のイラストレーター・KC LIAOさんの作品です。
EP特有の紙象嵌を作るため、象嵌用の台紙は台湾で制作。EP得意の箔押しで椅子の脚と裏面の説明文字をガツンと押して、海を越えて東北紙業社さんへお届けしました。
加工当日は、特殊紙が大好きなEPメンバーと加藤さんで象嵌する紙を何種類もトライ。デザインの繊細さを表現しつつ、箔との位置あわせが極力ブレないように、現場で色々調整していただきました!
こだわりの数量限定、6種バリエーションのEP STUDY紙象嵌ができあがりました!
8月17日(水)より、実験で使った紙象嵌版&箔押し版、EP 紙象嵌 シークレットバージョン、実験結果レポートなどをEPのショールームにて、2022年10月13日(木)までの期間で展示します!変更になる場合もありますので、最新情報は公式サイトまたはInstagram/Twitterよりご確認ください。
※当社ショールームへは予約フォームより予約の上、ご来場くださいませ。
EP STUDYの入手方法
購入方法は、次の2つの方法があります。
方法1:EPの公式ECサイト(STORES)からネット購入
方法2:ショールームに来場し、直接購入
※EP PASSPORTを持参することで、会期中紙象嵌一枚無料進呈!
STORESはこちらから↓
ショールームご来場はこちらから↓ ※事前予約制
EP STUDYの実験サンプルはSTORESおよび当社ショールームにて有料にて販売しておりますが、<EP PASSPORT=箔見本帳>をお持ちのお客様に限り、購入証明記録または本製品をお持ちの上ショールームにご来場いただくと、無料で進呈させていただきます。お忘れなく!
EP PASSPORTの説明はこちらから↓
EP STUDYとは?
EP STUDYは、EPスタッフとEPをご利用のお客様が一緒に、印刷加工の知見を深めるための実験をしていく企画です。詳細はEP STUDY第1弾で記事にしていますので、「初めて知った」という方は、ぜひこちらの記事もあわせてチェックしてみてください!
次回のEP STUDYは第4弾「シルクスクリーン印刷の蛍光・特殊版」の公開を予定しています。詳細は、引き続きnoteに公開していきますので、ぜひフォローいただけますと幸いです。
最後まで、お読みいただきありがとうございました!
文/サイ
こちらの記事を面白いと感じて頂けた方は「♡マークのスキ」を押していただければ幸いです。(スキは非会員でも押すことができます)
また、フォローやシェアも大歓迎でございます。
↓↓↓ぜひTwitterやInstagramのフォローもよろしくお願いいたします!↓↓↓
Instagram|@epprint_tw
Twitter|@epprint_tw
facebook|@epprint.tw
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?