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もっと『電波』を掘り下げよう。

※画像は僕の少女化・EPOCALCちゃんです。

この間書いた記事に電波ソングbot氏から質問(的なもの)の記事がきた。

どひゃーえらいことになってきましたぜ、旦那。

文章を読んでみると電波ソングについての未知の知見が数多書き連なっており、非常に勉強になった。

僕は電波ソングに関して高校時代の終わりくらいに有名どころをなぞったくらいなので全く詳しくないのだが、
もうこうなったら引き下がれない。
大滝詠一TO(諸説大あり)としての意地をみせねば。

聴き直すぞ!!!!

というわけで電波ソングbot氏の記事群を参考に勉強し直し、色々考えてみました。

正直、多分どこかに穴があると思うので
異論反論批判批評誹謗中傷受け付けます。

シティポップについて

シティポップは僕の十八番なので
順番が前後しますがここからお話しさせていただきます。

実はシティポップにSuchmosやSIRUP、Nulbarichなどを入れる流派と入れない流派が存在していまして
僕は完全に入れない流派です。

というのも、70-80年代のシティポップで重要なのはその底抜けたポップネスであって、
Suchmosのようなサイケデリアやアシッドの感覚があるものは一般的なポップではなく
シティ"ポップ"というよりかは「アーバンアシッド」のようなものに分類すべきと考えます。

またネバヤンやヨギーも、シティポップというよりもギターポップと言った方がしっくりくるように思えます。
シティポップはリードギターよりも
EPやFMシンセ、ピアノなどのキーボードやカッティングギターにその真髄があるように思え、
キーボードのいないバンド編成の彼らはシティポップと言えないと思うからです。
(同様の理由から、はっぴいえんどもニューミュージック/ニューロックだと思っています。)

今あげたバンド群は、確かに「シティポップ世代」のアーティストに影響されていますが、
結局のところジャンル的には別物のように感じています。
ちょうどシティポップとは別ジャンルの渋谷系がシティポップに影響されているように。

だから僕はこれらのアーティストが「シティポップだ!」と言われていた時
「全然違う!」と思っていたので、彼らの台頭をシティポップブームとは考えていません。
つまり僕があの記事で言及していたのはPlastic Loveに端を発する方のブームです。
(もっとも、僕はその萌芽は00年代後期に求められると思っています)


でも何をもってシティポップとするかはファンの間でも常に議論の的なので、

『シティポップはみんなの心の中にあるんだよ』

といつも言っています。


蛇足になりますが、僕にとってのシティポップ的な感覚は
Maltine RecordsやLocal Visionsと言ったネットレーベルからより強く感じます。
彼らの多くは一人で曲を作っているトラックメイカー
ネット音楽に大きく影響されています。
VaporwaveやFuture Funkを国内で最も早く解釈したのも彼らです。
この中の代表例としてtofubeatsの水星がありますが
ポップネスがあり、EPの音が印象的で都会派のこの曲は十分にシティポップだと感じています。
(tofubeats氏は度々Vaporwaveを同時代的に意識していると語っています。)

ここら辺は動物豆知識bot氏がお詳しいです。
動物の豆知識を言っているところは見たことはありません。

重要なのは彼らはボカロやアニソンもまた重要視していることです。
彼らはYMO的なテクノポップの感覚と渋谷系を通過した大滝的感覚が混ざっているのですが
それがボカロやアニソン由来なのではないか?と思ったわけです。
(なので80年代趣味の僕が電波ソングを考えようと思ったのです)

渋谷系と電波ソングについて

本題に行きましょう。

電波ソングbot氏の話によると、そんなにネコミミモードっぽい曲は多くないよ!ということだった。

ただ、Neko Mimi Modeは電波ソングと呼ばれている楽曲の中でもかなり異彩を放っていて、影響を受けた曲やアーティストは案外少ないと思っています(単なる感覚値ですが…)

・・・そうだと思います。
あれを頻繁に取り上げるのは単に僕がああいう
「短い単語をひたすら繰り返すボサノヴァ」が好きだからです・・・

こういうのこういうの!

ただ、重要なのはネコミミモードそのものの影響ではなく、
ネコミミモードがかなりの前衛を攻めたことによるシーン全体への貢献のように感じていました。
つまり「こんな先鋭的なことをしてもいいんだ!」とアニメソング製作者に影響を与えたということです。
(電波ソングbot氏も「これはソングなのか?」と思うほどに前衛的です。)
結果としてアニソン全体のベクトルを前衛に向け、
それが(アキシブ系に限らず)後期渋谷系的ノヴェルティをはらんだ
電波ソングになったのでは?ということです。

電波ソングbot氏が挙げられていたこの曲も短いフレーズを執拗に反復するという、かなりカットアップに近しいことをやっており、
このような先進的な手法を、前衛的な音楽に必ずしも馴れていないアニメ視聴者やゲーマー向けに作るためには
後期渋谷系の後押しが必要だったように思います。

ただ、秋葉系と渋谷系の重ね合わせを企図する人もいたはずですが、
多くは中期以前の歌メロ渋谷系にとどまった感じで電波ではないですね。
例えばネオ渋谷系にも分類される中田ヤスタカ氏は
アキシブ系の代表格・Perfumeをプロデュースしていますが、
どうも中期渋谷系の性格が強く、電波ソングっぽくはないですね。

後期渋谷系が(主にネコミミモードを中心にして)電波ソングに影響を与えたとは言えそうですが、
アキシブ系そのものが電波ソングになったと言うのは再考の余地ありですね・・・

また、前衛に走った結果テクノ音楽色が強くなったために
YMOがかなり強く影響したと思います。
彼らはおふざけをよくしたのでノヴェルティ的感覚もそこからでしょう。
(ただ先日の記事で述べたとおり、ここは大滝的でもあります。)
2007年くらいに君に胸キュンが注目されたそうですが、
それは電波ソングのルーツの再発見ではないでしょうか。

あと、めがてん氏等YMOフォロワーのゲーム音楽への考慮が抜けていましたね・・・
友人が君に胸キュン歌うときには「きゅそ!」と掛け声するくらいには好きなのに・・・
僕は彼らもまた渋谷系の枠内に組み込んでしまっていました。
ゲーム音楽世界の渋谷系という感じです。
プログレやテクノポップ、シティポップまでもを貪欲に吸収するゲーム音楽は
十分に渋谷系だと感じていました。
(ちょっと時代が戻りますがR-TYPEの音楽など完全にELPやYES風のプログレッシブロックで、
90年代にバンド形式でやれば「プログレ渋谷系」と言われたんじゃないかと思っています。)

渋谷系はかなり間口が広く、とりあえず90’sで引用をよくしてれば渋谷系みたいなところがありますしね・・・
異論・反論はあると思います。シティポップ並みに個人差があるジャンルです。

そう考えると一回考察したくなるのが電気グルーヴですね。
彼らは根っからのYMOフォロワーでありかつ渋谷系という
今回の問題において点と点を線にするような存在ですから。

色々考えてみると、電波ソングbot氏が

「奇異ではあるが耳に残る効果音や合いの手、掛け声」の原点であるI've Soundの電波ソングは、ハロープロジェクトのパロディとして作られていたらしく、そちら経由などの別ルートで渋谷系の影響はあるのかもしれません。

と予想していたように、確かにそういう曲は電気グルーヴにたくさんありますね
有名どころだと富士山とかでしょうか。

さらに、ハロプロ由来なのでは?という指摘がありましたが
シャ乱Qは電気グルーヴに深夜ラジオで紹介してもらったことから売れており、
つんく♂が電気グルーヴを意識して曲作りをしている可能性は十分にあります。

これはMaybeの話ですが、
「奇異ではあるが耳に残る効果音や合いの手、掛け声」
としての電波ソングの要素は元をたどると電気グルーヴ由来かもしれません。


今回はいつも聴くものとは全く異ジャンルの有名な音楽通の方と議論できてとても新鮮な体験でした。いや、本当にありがとうございます・・・

今回の話は定義が曖昧なジャンル間の関係を取り扱い、
いうなればぐしゃぐしゃに濡れた紙コップで霧をとって湿度を測るくらい
あやふやなことを議論しているので万人が納得するような結論はすぐには導けないですね。
長く皆で考えていきましょう。

そう、そこのあなたも!



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