hololens2を日常使いして感じた拡張現実の移動利用について(+ハッカソン報告)
Vision Proが発表されてから、XR業界が一層盛り上がっています。
同じXRデバイスとして、hololens2やMagic Leap 2などがありますが、私も2020年7月にhololens2を購入し、通勤、旅行、登山など様々な用途に日常利用してきました。
今回はその経験と、それらをもとにハッカソンで作った作品についてまとめていきます。
hololens2は楽しい!!
hololens2はめちゃくちゃすごいデバイスで、2019年の発売から現在まで褪せることなくトップクラスの体験することができます。
何もない空間に3Dオブジェクトを出したり、壁の割れ目からロボットが襲ってきたり、視線で発表原稿を操作したり、たくさんの画面を並べて仕事をしたり・・・皆さんの期待を裏切ることなく、「未来」を実現できる。
↓hololens2を購入して一番最初にやったこと(2020.8)
でも実は日常使いは疲れるよ
ただ、これを毎日スマホと同じように使ってみると、あることに気付きます。
手首を使ったホームボタンも、ウィンドウをつまんで動かすモーションも、かっこよくて機能的だと思っていたいろんなことが、日がたつにつれ少しだけ面倒に感じてくるのです。
そして何より、空間に配置したウィンドウやオブジェクトがじわじわと脳の空間認知機能を圧迫してくるような感覚がして頭が疲れてきます。
1年以上使い続け、私は疲れて日常利用は普通のスマホに戻りました。
↓カッコいいAR操作は、実は非効率的であることを伝えている動画。
Vision ProがUIで解決するもの
そういった問題をApple社のVision Proが視線制御やUIで解決しているように思います。私もMeta Quest Proに有志が作成したVision OS Demoを入れて遊びましたが、疲れにくい、非常に素晴らしいUIだと感じました。
また、ビデオパススルーによって現実とバーチャルの境目が小さくなって頭が疲れる問題も減少してるんじゃないかなと推測しています。
空間コンピューティングは移動が苦手
ですが、そんなVision Proも屋外利用は推奨されていません。
屋外利用が可能なhololens2でも、歩いたり電車の中など、移動時の利用は非常に困難です。
空間コンピューティング系のARデバイスは周囲の環境をカメラなどで認識し、その情報をもとにオブジェクトなどの配置を行います。移動しながら情報を表示するには、周囲の環境を認知したうえで、利用者から一定距離を追従させるなどの処理が必要です。
実際に移動していると、その空間認知が切れたり、ブレが発生してオブジェクトの表示もブレたりして、あまり実用的になりません。
人々が求めてるのはスマホ的な情報拡張では??
空間コンピューティングは非常に素晴らしい技術で、私も心から愛していますが、屋外や移動中に利用したい拡張現実は、普段スマホで行っていること⇒マップやナビが目の前に表示されたり、お店の情報を表示したり、動画視聴やSNSをしたりといった内容ではないでしょうか。
それらには空間処理は必要なく、適切な距離に適切な位置とサイズで表示されれば十分機能を果たすはずです。
透過ディスプレイの可能性
安価で、適切な距離に、めちゃくちゃきれいな映像表示ができるデバイスがあります。XREAL Airをはじめとした透過ディスプレイです。
現状、これらはスマホやゲームの画面出力として利用されていますが、実用的な拡張現実に非常に大きなポテンシャルを持っていると考えています。
つまり、ユーザーの行動に合わせた適切なタイミングに、適切な位置とサイズで、欲しい画面を提示してあげれば、人も機械も処理能力を使う空間コンピューティングよりはるかに便利なものができるはずです。
ハッカソンで仮説を検証してみた
私は、2023年9月2日~9月10日に開催されたwithARハッカソンにて移動を前提とした遊びである鬼ごっこを用いて検証してみました。
そこで作ったのが「視界ジャック 鬼ごっこ」という遊びです。
シーンに合わせてユーザーが操作することなく画面を切り替えたところ、遊びに没入できることが分かりました。また、徒歩移動時には画面表示サイズを小さくし、足元の視界を邪魔しないような画面を作ることで歩きスマホより安全性を高めています。
当初、XREAL Beamなどで実装されているサイドビュー機能によって小さい画面で表示すればいいのではないかと考えテストを行いましたが、相手の視界が見える視界ジャックモードでは、小さい画面に集中することで逆に危険性が増すことが分かったため、プレイヤーが安全行動をとるルールを作り最大画面で表示をしています。
まとめ(+将来展望)
私の体験を元に、拡張現実の日常利用と移動利用の難しさと、その解決方法について記載しました。
ハッカソンでの検証は1週間しか行っていないので、引き続き、透過ディスプレイを前提としたUIや体験設計を模索していきたいです。
世の中にあふれる移動に特化したARグラス(バイク用など)はUIさえ作りこむことができれば、すべてXREALのような汎用型の透過ディスプレイで十分カバーできるはずです。運転中のナビも、ショッピング中も、ずっとXREALみたいな世界を目指していきましょう!!
あと、視界ジャック鬼ごっこプレイしたい人は一緒に遊びましょう!
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