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前田大和さんの戦力外構想を時系列から見た貢献を踏まえて今一度考える回


今朝衝撃のニュースが入ってきたため、今緊急でカメラを回しているんですけども

【DeNA】大和が来季戦力構想外 デント病と闘いながら今季42試合出場、現役続行の可能性も(日刊スポーツ)

個人的には遂に来たか…という感想と、今年は流石に無いと思っていたわ…という感想のハーフアンドハーフくらい。なんせ記事タイトルにもあるように普通に試合そこそこ出ているからね。

FA戦士大和、個人的にはベイスターズを中堅チームに押し上げるに当たって底支えをしてくれた選手の一人であると同時に、後期は若干よくわからない使い方によって評価が乱高下した不憫な選手の一人でもあると思っているため、時系列を踏まえてしっかりと振り返ってその功績を評価していきたいと思います。

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1.FA移籍前、〜2017を振り返る。

前田大和さんはFA権行使によって2017オフに阪神タイガース→横浜DeNAベイスターズへ移籍しました。まず、FA獲得を評価するに当たって当時のチーム状況と大和個人のポジションを確認しておきましょう。

阪神タイガース在籍当時、大和の使われ方といえばわりかし便利屋寄りだったと思っていた人が多いのではないでしょうか。実際、2014年は最多出場がセンターの894イニングにセカンドが100イニング前後、打席数は500前後とスタメン扱いに近いものでしたが、2015年はセンターとセカンドで合計600イニング前後、2016年はセカンドが中心となり守備イニングは合計600イニング前後、2017年は今までとは打って変わりショートが431イニング、セカンドが145イニング出場。打席数は毎年250〜300打席程度と、ポジションをたらい回しにされながら併用で使われる選手といった立ち位置でした。

そんな使われ方の中でもプレーの質に関しては比較的優秀なスタッツを残しており、例年200打席以上立ちながら、甲子園をホーム球場としている割にOPS.600前後と守備型としては破綻が無い打力(といってもリーグ平均よりは流石に劣るが)と、打力のマイナスを帳消しにするレベルの高い守備力で、総合的にはリーグ中位程度のWARを産み出せる野手として活躍していました。特に移籍前の2017年なんかは出場機会比でリーグ上位の選手と張れるくらいにはすごい。

ただ、上記でも挙げた通り、阪神タイガースでの使われ方としては若干便利屋寄り。プレーの内容を加味すればもっと出場機会を得て活躍出来るのに…と思うのも無理は無いでしょう。

思い返せば高い守備力があったのに2016年までは鳥谷敬がショートを完全にロックしており、2017年もショートでは北條や糸原など若手を使いたい、他ポジションもセカンド上本やセンターには糸井、高山、俊介などが居るという阪神側の思惑もあり、中堅であった大和に機会を与えるのは難しかった気もします。まあ2017年の大和って上本、福留、糸井と同じくらいの貢献度あるんで、大和なんか要らなかったとか今更阪神ファンがほざくのは大概意味がわからない話なんですけど

一方のベイスターズ。2015年は倉本寿彦、白崎浩之の分担でショートを埋めていましたが、2016年と2017年は倉本寿彦がショートでほぼフル出場していました。一応、柴田竜拓などの代役候補は居たものの、何故か知らんけど全く休養を入れることなく倉本を完走させ(これはぶっちゃけ選手どうこうよりベンチの使い方が悪いだろ)「守れればギリ許されるレベルの打撃力と、打てればギリ許されるレベルの守備力のマリアージュ」により3年中2年はポジション単位でゴリゴリにWARマイナスを献上してしまう激ヤバポジションが誕生していました。

そうした経緯もあり、FAで手頃な値段かつポジションを埋めてくれそうな選手が出てきたりしたら獲得に向かうのは当然だったと言えるでしょう。出場機会を求めた大和と安定して貢献が望めるショートストッパーを求めたベイスターズの奇跡的な需給の一致が生まれたわけです。当然、私もめっちゃ喜びました。記事のヘッダ画像くらい喜びました。シーズン中盤から大和タンパリングでFA補強しろ!(ルール的にダメです)と言うくらいにはベイスターズは凄惨な状況だったのです。この点をどうかご理解頂きたい。

上記の獲得理由については、下記記事内で言われている内容がベイスターズ側の評価の全てを物語っているでしょう。

以下引用。

高田繁GMは、FA交渉解禁と同時に速攻でアタックをかけた。

「守備でチームの力になって欲しい」

 それが口説き文句だった。

「うちはFAで強化するチームではないが、大和選手にはなんとしても来てもらいたかった。内野でも外野でもどこを守ってもゴールデングラブ賞が取れるほどの守備の名手。三遊間の深いところや、ベース寄りのところをアウトにできる。今年はスイッチに挑戦して短期間でモノにした。右、左関係なく打てるのも大きい。ウチは左打者が多いので、左(投手)のところで打線に加わってもらえる。1点をバッティングで取ってもらうのももちろん大事だが、セーフをアウトにするというひとつのプレーで失点を防ぐことができる選手。守備だけでレギュラーが獲れる。バッティングは打率・250を打ってくれれば十分に価値がある」

今見ても文句を付ける部分がほぼ無い最高のコメントだな。と思います。

2.FA移籍後の前期、ラミレス政権の2018〜2020を振り返る

移籍後の大和ですが、概ね事前想定通りの使われ方だったと言っても良いでしょう。

2018年はショートで910イニング、2019年はショートで1107イニング、2020年はコロナによる短縮シーズンながらショートで392イニング、セカンドで126イニングと主力として出場していました。

打席数も435→490→225(短縮シーズン)とまあ阪神時代から比較すると良い感じの伸び幅。ただ、打者有利のヒッターズパークだったハマスタでOPS.600前後だった2018,2019は、打撃の質に関しては正直期待以下だったかなと思います。それでも守備力は衰えることなく、過去3年のうち2年ポジション単位でWARがマイナスだったポジションを、総合的にはしっかりWARプラスの水準まで押し上げた貢献は、FAで獲得した選手としては充分だったかな。と思います。欲を言えば打撃でもwRC+80、当時ならOPS.650相当かな?は欲しかった気もしますがそこまでの贅沢は言えませんね。

あと、当時の阪神も北條、植田、木浪なんかを上手く回してポジション単位で言えばWARちょいプラスくらいには回せていたので、もうWIN-WINで良いんじゃね?と思ったり。関わっている全利害関係者が大体得してるんだから、あんまり文句言わないの。って感じですかね。

ただ、若干の転機になったのが2020年、この年を境に流れが変わった気がします。というのも、過去最高の打撃貢献(225打席でOPS.729)を記録した反面、あれだけ貢献を見せていたDeffenseのスタッツが遂にマイナス領域に。野球選手の全盛期が28歳前後であると言われる中、年齢的にも32歳であり、若干のスタイルチェンジが求められそうなタイミングではありましたし、実際ショートでのフルイニングなどはせずそこそこセカンドを守らせたり、適度に休養を挟むなど、使う側も若干考える余地があったのではないかなと思います。
ここから徐々に活躍する場を移していくのか、若手の台頭はあるのか。時代は三浦大輔政権へと移行していきます。

3.FA移籍後の後期、三浦政権2021〜2023を振り返る

>>ここから徐々に活躍する場を移していくのか、若手の台頭はあるのか。

あんまりそんなことはありませんでした。
2021年はショートで595イニング(柴田が279イニング、森が217イニング)+セカンド76イニング、2022年はショートで582イニング(森が375イニング、柴田が311イニング)、2023年はショートで431イニング(京田が552イニング、林が176イニング)、2022,2023においては他ポジションでの出場はほぼ無しと、ユーティリティ性なんか知らん、大和はショートだから。みたいな使われ方になっています。

質の方ですが、2020年から遂に守備でプラスを作れなくなってしまい、打撃も2020年水準には及ばずOPSも下降気味と厳しい内容。ほぼ全ポジションを守れる万能性など、スポット単位で見れば貢献出来そうな要素はありますが、扱いがそれを許さず、なんなら得点圏打率が高いからといって特に今まで打力で強みを見せていたわけでもない選手なのに急に代打1番手とかで出てくる始末。もうよくわからんね。

一時期の阪神みたいに若手の台頭待ちポジションを埋める立場みたいな扱いならまあ良かったのですが、鳴り物入りのドラ1で獲得した森敬斗は2021〜2023で稼働が上がらず(2022は打撃マイナスだけど守備プラスで、それこそ移籍後の大和くらいはやれていたのにね)、中堅どころになった柴田竜拓や、トレード獲得したこちらも中堅どころの京田陽太と併用されるなど、チーム全体として過渡期感がエグすぎる状態のまま使われ続け、結果的にWARも大幅にマイナス水準という結果に。

今振り返って要素を並べても、選手当人の問題ではなく半分以上はポジションに見合わない使われ方のせいだろ。と思いますが、それを言うと怒られちゃうかも。

4.そして2024年…

まず、得点圏打率がどうこう言いながらチャンスで代打とかやってたら(それが主因かはさておき)メンタル不調になってしまいました。いや首脳陣何してんのマジで…?としか思いませんけどねこれに関しては。

なんとこの年になってショートだけでなくファースト、セカンド、サードと複数ポジションを破綻無く守れており(これがやれるなら昨年までもやっとけば良かったのに…)、ぶっちゃけベンチに必要なユーティリティ枠、ベテラン枠としてはまだ全然やれる水準だと思うんですよね。というか、知野辺り代打とかスタメン要員に回して、大和をユーティリティ枠としてベンチに居てもらうで最初から良かったじゃんね。とか思いますがこのような報道が出てしまってはもう遅いんだよな。

本人がどう思っているかはさておき今年のパフォーマンスで病むとか、そういう水準には全然無いですからね。ユーティリティプレイヤーとしての扱いが嫌だと言われてしまっては流石にどうしようもないですが、今年は例年比で一番マシな併用+WARマイナスにはならない程度の貢献度になっているので。

得点圏打率とか真面目にこの世から消したほうが良いよ不快だから。

5.思うこと

割と長々と振り返ってしまいましたが、中堅どころになりつつあったベイスターズにわざわざFAで加入し、このチームを優勝させたいと言ってくれた、なおかつFA後の数年は結果でもしっかりと貢献してくれた大和さんに全体通しての文句なんかまあ無いよね。って話です、てか使い方が妥当ならここ数年みたいにWARマイナスとかならないのも今年の起用で見えてるし、実際まだやれると思うんだけどね。

構想外記事の中では現役続行もあるみたいな話なので、悔いがないところまでやり続けてもらいたい、それだけです。

急いで書いたので色々と前提が間違ってたらすまぬ。

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