この海ありえないでしょ!2
初めての沖縄は衝撃だった。
日本を甘く見ていた。
テレビの番組もネットでも海外の情報ばかり漁っているのであまり日本のことは詳しくない。
ムッとする那覇に降り立って、南国感をいまいち感じないのは、香りがないせい。海外の空港は降り立った瞬間からいい香りがする(ような国にしか行ったことがない)
花の香り、コロンやお香の香り。そんな南国の香りを期待していた私はちょっとがっかりした。
においがない。
あーあ、やっぱり日本。
(この時点でまだ日本の沖縄を甘く見ている)
飛行機の席が隣り合わせになった面白おかしいおじさまとなぜかレンタカー屋さんでばったり。
初めて会ったのに飛行中ずっとおしゃべりして、何回も沖縄に来ているらしいのに、美ら海水族館は言ったことがないって言ってたな。理由は、男一人で行くもんじゃねぇだろ?ってことらしく。
そこで、もし明日行く美ら海水族館を一緒に行く約束してたらちょっと面白い旅になっていたかもな、なんて思いつつ。
いつも同じレンタカー屋さんを利用するっていってたな。これだけ数あるのにまた会うなんて、運命かも?
いやいや、震災で大変な目にあったおじさま、家庭のことは聞かなかったけど、お孫さんがいるなら幸せだよね。
私の恋路はさておいて、早速エンジン回しましょ。
他人の車はちょっと慣れないわ。ましてなんだか運転しにくい?小さくて小回り効きそうなのに。自動でワイパーもライトも動かないって。すべて手動なのね、気を付けよう。
アクセル踏んでも走らない~。みんなこんな思いしているのね。
ゆっくり38キロで行こう。高速道路も80キロ制限だし、沖縄の人はみんなゆっくりだわ。
そうじゃない、おまわりさんがたくさんいるからだよってオジサマが言ってたな。ほんとにつかまってる人いっぱいいる。
こんなにおまわりさんが走っていたら速度、気を付けたくもなるよね。
道路の要所要所に停められてるドライバー。
気を引き締めていこう。
いまいちどんよりとした夕方に着いたので、海の青も空の青もお預け。
陽が沈む前にホテルについて、最高の夕陽を拝むべく頑張って車を走らせる。
途中寄りたい観光スポットもあるけど、ホテルまで遠い道のり。2時間は必要だから、夕陽が沈むのに間に合うかしら?
せっかく海が見えるお部屋を予約したんだから、夕陽はお部屋からロマンチックに眺めたい。出来たらカクテル片手がいいな。
そのためには超速球でチェックインしなきゃいけないし。
道の駅、何とかパーク、寄りたい、見たい、ダメダメ今日は夕陽を見る日。
たった2泊だから今日を逃したら明日しかないからね。
今朝は、7時半に家を出て、空港に10時過ぎについて12時前のフライトで4時には那覇空港へ。レンタカーを借りて、2時間走る。あ、レンタカーの手続き時間を忘れてた。夏休みじゃないからそんなに混んでいないことを期待してる。
ずっと海辺を走れるかと思ったけど、高速道路は島の中心を走るから、ホテルに着くまで海の景色はお預け。
ワクワク気分は閉じ込めて真面目に走る。
持ってきたUSBをつなぐ差し込み口がなくて、音楽は聴けずじまい。スマホの電源はそろそろやばいから音楽聞くのはやめとこう。
地元の音よね、とかけたラジオの調子ののんびり感にやられまくる。
あ~、これこれ!沖縄のアクセント。どこかほのぼのしていて南国っぽい。
沖縄の音階は何か足りないって聞いたことある。ソとファ?がないから、それらを抜かして曲を作ると沖縄っぽくなるって聞いたわ。どの音だろう?
沖縄のローカル話題を聞きながら市街地に戻ってきた。ここを抜けるとあとはさとうきび畑。畑の先に海岸線が見えたら今日泊まる豪華ホテルが見えてくるはず。
旅行代理店の人に、ここは新婚旅行用にとっておいた方がいいかもよ、と言われたロマンチックなホテル。
だって次いつ来るか、次があるかどうかも分からないから、後回しにしない。今、行く、今やる。
やりたいことは先延ばしにしない。
だっていつ命が終わるかわからないから。
冗談と思うかもしれないけど、人の命の終わりをたくさん見てきたので
大切に毎日を過ごそうと思ってる。
もっといろいろできただろうな、今彼がいたら、ここに彼女がいたら。
そんな風に毎回毎回思うことがある。
素敵な人たちは人生を終えるのがとても速い。
私も早く終わりたいけど、まだまだ修行が必要なようで、神様はちっとも私を呼ぶそぶりはないのだけれど、彼らみたいにあっという間に消えてしまうかもしれないので、楽しみは先送りしないことにしているの。
長生きして年を取ってからいろいろできるあちこち行けるって思うかもしれないけど、若いうち、楽しいうち、やりたいときにやらないと、年を取ってからじゃもう旅行にも行きたくなくなるし、そんな元気もなくなるし、楽しめなくなるって90才になるおばあちゃんが言っていた。
だから、今。
やりたいこと、やる。
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