2024年7月末 投資メモ 育ち盛りのAI相場 エッジAI飛躍するの予感
今月のポイント
買い場が秋まで続くか
AIの成長が加速するも市場の評価とずれる
非常に健全な懐疑だが、「相場は懐疑の中で育つ」ので、その懐疑を養分にAI相場は今が育ち盛り
次のスケールのモデルでその懐疑が吹っ飛ぶ可能性が高い
市場が織り込んでいないテーマ
AI PCとAIスマホ、機能面に失望だが、ユーザを虜にするキラーアプリが生まれる土壌が整っているので、市場が熱狂するのに1年以上はかからないだろう
chatGPT4o miniと自動運転で明らかになってきたこと、モデルは大きくしないと能力が上がらないが、一度大きくしてから必要に応じて小さく凝縮しても能力は大きく低下せず。そこから期待できるのはエッジAIの性能の飛躍、それからエッジAIモデルを作るために一層多くのGPUが必要になること。
全体像
今後5年〜10年の展開
ブーム(前菜)→低迷(休止)→本番(メインディッシュ)
インターネットの時とう対応して
前菜:95〜2000年のドットコムバブル期
休止:2000〜2002年のドットコム冬の時代
メインディッシュ:2002年〜インターネット全盛期
現在はブーム(前菜)の序盤
ポイント
大相場で一番大事なのはいつ何を買うかではなく、乗っておいて降りないこと
上手に乗り換えられれば利益は増幅される余地がある
「インフラ → クラウドなどの中間サービス → 製品・サービス」の順で来る見通し
半導体銘柄の全盛期は序盤(今)
AI本命銘柄やAIによって躍進する銘柄は中盤から終盤
Nasdaqは全期間を通して強い
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方針
今の局面は向こう十年単位でみれば数少ない買い場になるだろう。インフレ問題、大統領選、そして予想通り夏の調整が訪れたが、AI成長の基本に変化はなく買い増しの機会と考える
戦略1:積立買い
戦略2:上抜け
をうまく組み合わせたい。
テーマと見通し
次の順で業績に現れ、株価が動く可能性が高い
エヌビディアなどAI半導体 → AWSなどクラウド提供業者 → AIを使って稼ぐ企業
現状
エヌビディアなどのAI半導体が絶好調、グーグルとマイクロソフトの決算でクラウドが成長加速している。AIを使って事業する会社は軒並み苦しい中、Adobeなど、成果が見え始めている会社出てきている
当面は先行投資フェーズ、AI本体よりもAIのハコ
応用上クリティカルな問題の多くはまだハードウェアの進化によって解決されることが多い
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市場
展望・予想
夏には一度調整して、秋の決算サプライズで本格的に上昇との見通しはそのまま
これまでのAI半導体銘柄への買いは短期勢によるものが多く、AIの将来性を理解して保有しているわけではなく、案の定調整局面で一目散に逃げ始めている。
Nvidia B200はさっそく供給不足、クラウド事業者は投資規模を拡大して投資家から嫌気されているが、エヌビディアには朗報。来月の決算は注目だが、ブラックウェルが発売し始めたばかりであること、初期は不良と調整が必要であるためコストが増える一方で既存のH100は値下げする可能性もあると考えると、秋までは波乱と横ばいが続くかもしれない。
本格的な相場は先行者の成功に他社が追随することから起きるもの
最も本格的に動いているのは最先端をいくメタとテスラ。つまりアーリーアダプタかイノベーター。これが今後どのようにアーリーマジョリティに広がるかが重要
グーグルやピンタレスト、AdobeなどAIによる業績押し上げがちらほら見え始めている。
もっと強いインパクトがどこかで出てくるだろう
例えば、メタの新しいキラー機能、自動運転、AIスマホなど
高金利による消費の冷え込みと雇用悪化のマイナス面を、AI投資による押し上げが相殺するだろう。ポイントは二つ
米国大企業が潤沢なキャッシュを使った怒涛のAI投資
それがネガティブに受け取られているが、疑問が払拭されるのにそう時間がかからないはず。
参考として、95〜2000年のドットコム相場では大手の投資はキャッシュフローの1.3倍で、つまり借り入れをしてまで投資をしていた。それに対して今はまだ0.7倍程度で、利益の範囲内の投資になるため、さらに増やす余地はある。
AIによる生産性と利益の向上 → すでに見え始めているが注目まではされていない
GAFAMの利益率の上昇がそれを物語る
追随する企業で業績改善が何期か続けば相場に効くだろう
新しい技術は導入コストが高いため、この過程は大手から始まり、中小に波及するだろう。前菜は大手メインになって、メインディッシュでは中小が好調になりそう。
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(そのうち整理したい)「95年に何が起きたか」
インフレと利下げ見通し
今の状況と95年を比較する意見が多い。似ている点も多いが、違う点も指摘されている。本質は一つだけだ、それはインターネットによる生産性向上とAIによる生産性向上と富の創出。
このような時代では初期において企業の設備投資によってインフレが押し上げられるものの、それが生産性向上につながるためそこまでは加熱せず、そのため
ほどほどのインフレ
高めの金利
高い成長
という通常では起きえない「虫のいい」ことが起きる。
今のところ市場はこのことを織り込んでいないので、雇用統計・物価統計・長期金利の動きに一喜一憂している。逆に言えば、それはチャンスでもある。
AIの状況
AI PC
レビューを見て店頭で触った感じではユーザとして売れる気がしない。その一方で開発者としては欲しくてウズウズする。キラーアプリが生まれる土壌が整えられていて、Iphoneが発売されたが、アプリがまだ少ない時期に似ている。近い将来に大きく成長する予感
モデル圧縮
chatGPT4o miniにせよ、FSD12.5にせよ、大きなモデルを効率よく圧縮することが達成されている。
インパクト1:AI PC、AIスマホ、AI車、ロボットなど、エッジAIの飛躍が近い。
インパクト2:モデルを組み合わせてエージェントを構成するコストを劇的に下げられそう
スケーリング則による性能飛躍は次世帯GPUを待つことになるか。それまではエッジAIやコツコツとしたモデルの改善による話題が注目されているが、まだモデルの大きさの暴力が生きているので、次のスケールの大規模モデルが話題を全部さらっていく可能性が高い。
AIトピック:次のステージの成長エンジン、確率的AIとエージェントAI
現在のAIはあくまでも答えを確率的に生成しているだけ、人間でいうなら思いついたことをそのまま口にしている感じ。これを確率的AIと呼ぶ。
それであのクォリティはすごいが、本来ならば生成された答えを見直して改善していくのが当たり前で、人間でいうと思いついたことを吟味して組み合わせて仕上げていくこと。これを行えるAIをエージェントAIと呼ぶ。
例えば今でもChatGPTに算数の問題を出すと間違えたりするけれど、プログラム書いて答えてと頼むとプログラムを書いて実行結果を元に結果を教えてくれる。かなり原始的で単純な形であるが、一種のミニエージェントである。
エージェントAIを実現する手段はいろいろあって、プロンプトを繋げたり、モデルをつないだり、様々なことが試されていて研究レベルではいい結果も得られている。言語モデルだけで限界があるタスクも、モデルを組み合わせると能力がさらに飛躍することがほぼ確実である。
それなのにいまのところその取り組みが限られている。1つ重要な問題はエージェントAIは確率的AIをパーツにして作られるが、パーツの性能に大きく依存している。そのため、パーツを上手に組み合わせるよりもパーツの性能を上げることに力を注いだほうがいいという状況がある。
それは俗にいうスケーリング則。なのでスケーリング則が止まれば終わり、という考え方があるけれど、今の異常な進化速度が少し落ちつくだろうが、それでもかなり早い成長が続くはずである。それはもう次のステージの話かもしれない。
基本ポートフォリオ
注:推奨というわけではない
イーサリアム
長期的な上げ要因:ETF承認。FIT21で法整備が進む
普及まで最大の障害だったものが解決された
エネルギーとガバナンス問題:The Merge
ガス代問題:zk-rollupで解決
法的問題:ETF承認、FIT21
それでも規制は依然として不十分、ハッキングや詐欺、ブロックチェーンが犯罪の温床になっている状況がすぐに変わらないだろう。四年周期の暴騰後にまた暴落が起きる可能性が高い。
長期的にはWeb3とDAOがAIと結びついて資本主義のバージョンアップにおいて重要な役割を担うことで躍進すると期待
NASDAQ
足元は高めのバリュエーションやAIの有用性への疑問から反落中
長期的にはAIの進化から最も恩恵を受ける銘柄がひしめく。向こう3〜5年にかけて力強く上昇するだろう
AI恩恵銘柄がバランスよく入っているので、長期にわたって比較的に安定して強い
エヌビディアなどの半導体銘柄
クラウド事業者
AI活用するサービスの提供者
Nvidia
H100やB200など、AIの進化にとって最も重要である計算コストの低減に一番積極的に取り組んでいる
スケーリング則から考えてモデル更新に伴う需要は非常に強い
ただAIの未来とスケーリング則のインパクトやそれによる需要を充分に理解していない短期投資家が多い。また、アナリストと機関投資家もこの点を把握していない可能性が高く、一時的な調整が何度も起きるだろう。
逆に言えば、B100でサプライズが出て一段高を目指す可能性も高い。目先の振り落とし場面が仕込むチャンス。
Tesla
最悪期は脱したが本格上昇はまだ先になる見通し
6/13株主総会無事通過
EV車売上が底をうって上向き
自動運転が順調に性能を上げている
来年末には上昇してそう
サプライズとして本業だったEV並みの利益を出し始めたメガパック、自動運転、そしてOptimusと強烈な成長ポイントが並ぶ
ただ時間軸は難しい
FSD12.5の性能が驚異的。これまで更新がある度にテストを行って問題点を整理してきた専門家や自動運転の元開発者たちはロボタクシーが思ったより時間かかると比較的悲観的に見ていたが、ここに来て考えを変えている。来年中、早ければ今年にも試運転が始まるだろう
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