名実共に圧を感じさせない酒
全国には千数百の酒蔵が存在し、同じ蔵でも銘柄造り違いも数種類はあるだろうから、ふらりと覗いた普通の街の酒屋でも、見たこともない酒に巡り合っても不思議ではない。
秋田県の奥田酒造店の「千代緑」という銘柄。こちらは、蔵付き酵母「MS-3」を使った大吟醸磨きの無濾過生酒。「無加圧甕口」と書いてある。酒を絞る際に圧をかけず、自然に垂れてくるものをそのまま瓶詰めしたものだ。具体的な絞り方はわからなかったけど、圧がかかっていない「袋吊り」と似たようなものだろうか。生産量も少ないらしい。
その味、メロン系フルーティーにして、非常に旨味甘みが乗っており、それでいて、嫌味なく綺麗だ。穏やかな酸に苦味があり、ちょっと味強めの料理にも、クリーム系洋食などにも合いそう。アルコールは感じる。ガス感、普通はあるらしいけど、この個体はそんなに感じなかった。
風味濃厚ながら、押し付けがましくなく優しい。名実共に良い意味で圧を感じない、そんなお酒。