「食材」としての酒
「酉」 に 「与」って書く字。そんな漢字は存在しない。ネットで紹介されている場合も「酉与」なんて書かれているので、それに倣うと、「酉与右衛門」と書いて、「よえもん」って読むお酒。
岩手県は川村酒造店が造るお酒で、酒米は岩手の「吟ぎんが」。生産量が少ないらしく、流通も限られており、扱い店では人気があるらしい。
開けたてはガスが強めらしく、酒屋店主曰く「もうガスが無いと思いますけど。。」ということで、開けてからは暫く経っている。冷蔵保存されたもの。
味はね、これが説明が難しい。まず、あんまり他に無い独特の風味が全体を支配している。酒米由来ではないだろうか?酒米は岩手の「吟ぎんが」。
その風味を除けば、固い感じの酸が目立つ。その酸を中心に、苦味、エグ味、旨味そしてかすかな甘味が取り巻いている感じがする。昨今流行りの甘旨フレッシュフルーティーではないが、濃醇系とも違う。独特の酸系ってところだろうか。食中酒向きだろうか。
店主は「完全発酵」という言葉で説明されていた。そう、最近この「完全発酵」という言葉もよく耳にする。酵母に糖を食い尽くさせることを言うのか?それとも、発酵が自然に停止するまで何も手を加えないのか?これはよくわからないけど、いずれにしても、辛口で酸も高そうな感じはする。
個人的には他のラインナップも試してはみたい。味もそうだが、とにかく説明し難い独特の風味が良い雰囲気を出している。
合わせるなら和食か。「〇〇に合わせたい」というよりも、「この酒も一つの構成要素として料理を作りたい」と思うようなお酒。料理のパーツ、食材としてのお酒。
筆者 facebook 2023年6月 投稿より抜粋