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【小説】あくまのしょくじ

きのうのよる、ぼくはとてもこわいことを
しってしまった。

ぼくがこれまでにずっとだいこうぶつだとおもって
たべていたりょうりがあくまの、もしかしたら
もっとわるいもののたべるものだったんだ。

このことをしったぼくはいろんなことが
こわくなった。

いったいぼくのせいでどのくらいのひとが
めがみえなくなってしまったのだろう。

いったいどのくらいのひとがぼくと、
それとぱぱとままのことをきらいに
なっているのだろう。

これからたべるのをやめたとしても
たべたものはもどらないって
がっこうのせんせいにおそわったから、

もうもどることなんてないんだろう。
ぼくはなんてことをしてしまったんだ。

いてもたってもいられなくなったので
ぼくはゆうちゃんとともくんにきいてみることにした。

「ねえ、たまごやきってたべたことある?」

「あるよ。まさかかいくんたべたことないの?
あ、でもせんしゅうのじゅぎょうさんかんのとき
これがぼくのこうぶつだっていってたじゃん。」

「そうだよ。ぼくはきいろいほうじゃなく、
まわりがしろくなってるほうのたまごやきがすきだ
っていってたよね。」

「ちがうよ!そのまわりがしろくなってるほうを…
ゆうちゃんもともくんもたべたことあるの?」

「?どうしたのおおきなこえで。
ぼくきのうたべたよ。ぱぱもままもうちは
みんなすきだから。」

「あたしもさんにちまえにたべたよ。
それがどうしたの?」

「そっか…。みんなもたべてるんだ…。
じゃあ、ここだけのはなしだけどね。
あれはじつはたまごやきじゃないんだよ。」

「「えっ!?」」

「あれは、たまごやきじゃなく…め、めだまやき…
っていうんだって…!」

「えっ!?めだま!?だって、たまごを
やいてるんだからたまごやきじゃない。
ちがうよそんなの。」

「こわいこといわないで!」

「ほんとうだよ!だってままがいってたんだから!」

「だって、もしめだまやきだとしたら、
たまごをやいているときにいつめだまになるのさ!」

「そうだよ!こわい!」

「でもままがいってたんだもん!
あっ、でもいつめだまになるんだろう…。」

「ね、だからうそなんだよ。ままがおかしいんだよ。
じゃあもしきょうせんせいにきいてみて、
めだまやきっていわれたらそうだってことにしよう。」

「うん、そうだよ。」

「そっか。わかった、ごめんね。」

そっか。たしかにいつめだまになるのか
わからないもん。ままもまちがっちゃったんだな。


「「「えぇっ!?うそだぁ!!」」」

「玉子を割ったまま焼いた料理のことでしょう?
あれは玉子焼きじゃなく目玉焼きっていうんだよ。」

なんていうことだ。せんせいまでもいうんなら
もうこれは、ほんとうにほんとうのことなんだ。

「えっ、じゃあ、せんせい。ぼくは
わるいこだから、もう、ヒーローに
なれないってこと?」

「ぇえええぇーっ、ひっ、ひええぇぇええーんっ、」

「だって、せんせいっ、なんでたまごをやいたら
めだまになるんだよっ!」

「えっと、あっ、そういう事だったの。

じゃあゆうちゃん、ともくん、かいくん。
なんで目玉焼きっていうのかパパとママに今日の夜に
聞いてきてみましょう。ね?」

「…はぁい。」

「…ぐすっ。ひゃぁい。ひっ。」

「…はーい。」


やっぱりせんせいもいうんだったら、
ほんとうなんだろうか。

なんだか、かえりみちもみんなから
みられているみたいでこわい。

みんな、ぼくがめだまをたべてるやつだって
おもってみているのかな。

あっ!あのひといまこっちみたような…。

いまのぼくがつかえるかわからないけど、
ヒーローのスペシャルわざの
かみはやだっしゅではやくかえろう。


「おかえ…えっ、どうしたの!?
誰かに追いかけられた?」

こわいとおもってならしていたぼうはんぶざーを
みたままがいう。

「ううん、なにもないんだけど、その、
ままにききたいことがあるんだ。」

「…?とりあえず手洗いうがいしてから来なさいね。」

「あ、うん。」

せんめんじょのほうにいく。

もしほんとうにめだまやきだっていわれたら
どうしよう。

でもせんせいはなんでめだまやきっていうのかって
いってたから、ほんとうはめだまを
やいてないってことなのかな。

とにかくままにきこう。

「ままー。てあらったしうがいもしたよ。」

「はい、いい子ね。それで、何が聞きたいの?」

「んと…その…。あのね。きのう、たべた
たまごやき、あったでしょ?」

「昨日?ああ、あれは本当は目玉焼きって言うって
昨日言ったじゃない。目玉焼きがどうかしたの?」

「…!やっぱり!」

「…?」

「あのね、きょう、せんせいにもきいたんだけど、
せんせいもめだまやきだよっていってて、その、
なんで、たまごをやいてるのに、めだまに、」

「あっ、そういうこと!」

「えっ。」

「ちょっとこっちに来なさい。
火が出るから危ないけどね。」

まさかたまごがめだまになるのを
みせられるのだろうか。

こわい、こわい。

でも、みなきゃ。これまでにいっぱいのひとの
めだまをたべてきたんだから。

「かい、フライパンの上に今ママが油敷いたから。
ここに今から卵を割ります。」

「うん。」

しゅうううううううぅーとおとがでる。

「これで玉子が今目玉焼きになりました。
いっつも食べてるのはこれよね?」

「うん。でもめだまが…。」

「うん。かい、そこにある鏡で自分の目を
見てごらん。」

「…?」

「これはただの玉子焼きだけど、形が目玉に
似ているでしょう?だから、目玉焼きって言うの。
目玉を焼いているわけじゃないのよ。」

あっ…!

「そうだったんだ!」

「うん。そうよ。それで今日朝からなんか
変だったのね。」

「だってきゅうにこわいこというんだもん。」

「あはは。ちゃんと説明すればよかったね。」

「ほんとだよ!」

そっか。そうだったんだ。
ぼくはじゃあこれからもめだまやきをたべていいんだ。

あした、せんせいにおしえてあげよう。
なつやすみのしゅくだいっていうのにもこのことを
かいてみんなにおしえてあげようかな。


「でね、めだまににてるからめだまやきだって!」

「あたしのぱぱもそういってた!」

「うんうん。そっかそっか。また1つ
いいこと覚えたわね。あとはともくんが来れば
みんな賢くなったことになるわね。」

あさいちばんでがっこうにいくと
ろうかにせんせいがいて、ゆうちゃんも
きてたから、いっしょにせんせいにおしえてあげる。

あとはともくんかな。
なんだかきょうはおそいけど、
あさのかいまでにはくるかな。


…おそいなぁ。ともくん。
あさのかいはじまっちゃったよ…。

「じゃあ、ともくんから昨日何か聞いたよって
言う人はいないのね。はい、わかりまし

がらっ、とどあがあく。ともく…えっ!?

「「「「「きゃあああああああ!?」」」」」

「せんせ…ぱぱと…ままに…きいたら…
めだま…たべられちゃ…

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えぴさん
創作の原動力になります。 何か私の作品に心動かされるものがございましたら、宜しくお願いします。