「七年の大患難」は正しい説なのか
はじめに
多くのクリスチャンのあいだで、七年間の大患難時代が来るという教えが、当たり前のように語られています。
かつての私も、これを盲目的に信じていました。
このことについて、私たちは今一度、聖書からきちんと確認する必要があります。
七十週の預言
ダニエル書には、「七十週の預言」と呼ばれる箇所があります。
「七年の大患難」説は、この箇所から生み出されました。
冒頭でわかるように、これは神の民とエルサレムについての預言です。
「週」と訳された言葉は、七の周期を表す言葉であり、ここでは七年という意味で使われています。
つまり、神の民とエルサレムについて定められた期間は、七十週、すなわち490年間であると告げられているのです。
「週」は七年ですから、七週と六十二週は、483年となります。
実際、エルサレム再建の命令が出てから483年後、イエス・キリストがバプテスマのヨハネの前に現れました。
この預言のとおり、キリストは十字架で死なれました。
それからは荒廃が預言されています。
さて、七十週のうち、七週と六十二週(すなわち六十九週)が過ぎると、メシアは断たれるとありますが、この残りの一週については、さらに詳しく預言されています。
これが、メシアの断たれる残りの一週についての預言です。
ところが、この残り一週を、遠い未来に起こる出来事とした人々がいるのです。
それが「七年の大患難」説の正体です。この説では、預言の「彼」を、未来に現れる独裁者と位置づけます。
しかし、これを遠い未来の出来事とする理由は何一つありません。
素直に読むなら、これはメシアが絶たれる残りの七年のことです。
「彼」とは当然、メシアなるひとりの君、イエス・キリストのことです。
実際、預言のとおり、「彼」は多くの人々と新しい契約を結びました。
そうして週の半ば、すなわち宣教から三年半たったとき、自らが全人類の罪の生け贄となって、犠牲と供え物を廃されたのです。
残りの三年半
残りの七年のうち、三年半でメシアは断たれました。
すると、神の民とエルサレムについて定められた残りの三年半はどうなったのでしょうか。
一つは、こう解釈することができます。
そののち、弟子たちは三年半のあいだユダヤ人に宣教を続けたが、ついにステパノという殉教者が出て、ユダヤ人への宣教は終わった。
実際、その事件をきっかけに、パウロが動き出し、福音は異邦人へと移って行きました。
しかし、もっと素直に読む方法があります。
「また荒す者が憎むべき者の翼に乗って来る」とあるように、残りの三年半を、そのまま大患難と読む方法です。
この期間は延長されて、今も続いているのです。
大患難
三年半、すなわち1260日。それは聖書において、いつも大患難を表すキーワードとして使われてきました。
1260。この数字は、意味のないものではありません。
ダニエルの預言した、残りの三年半を示唆する数字なのです。
1260日、三年半、四十二か月、一時と二時と半時、これらはいつも、聖徒が逃げ、かくまわれる期間を表してきました。
この期間が終わると、主が来られ、天と地は焼かれます。
そして私たちが焼かれないために、この期間はずっと延長されてきたのです。
ここで、残りの一週の記述を思い出してください。
「彼は一週の間多くの者と、堅く契約を結ぶ」とあったように、イエス・キリストは、今も多くの人と契約を結び続けています。
私たちが一人も滅びないように、主は長く忍耐しておられるのです。私たちのせいで、花婿が来るのが遅れているのです。
けれど、第七のラッパが吹かれるとき、この期間は終わります。
聖書はずっとこのことを教えてきました。
私たちはもう、大患難の渦中にいるのです。
この延長期間は、いつ終わるとも知れません。その日は不意にやって来ます。
用意ができていないなら、泣いて歯ぎしりすることになるでしょう。
間違った教えを信じ、「まずは未来の独裁者が来るはず」と思っているなら、戸が閉められることになるのです。
おわりに
「七年の大患難」や「患難前携挙説」など、間違った教えが、多くのクリスチャンを眠らせています。
メシアが絶たれて以来、荒廃が進んでいる証拠です。
ダニエルが預言したとおり、残りの三年半のあいだに、神の民とエルサレムは荒廃を続けているのです。
気づいてください。
聖書のいう神の民とは私たちであり、エルサレムも私たちのことなのです。
これこそ、私たちの持つべき自己認識です。
エルサレムを建て直しましょう。荒れ果てた城壁の破れを繕うのです。
これが最後の働きとなるでしょう。真理を悟り、戒めを回復し、本当の悔い改めを宣べ伝えなければなりません。
間違った教えをすべて取り除き、聖書の真理を取り戻しましょう。
正しいのは、いつだって聖書だからです。
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