対等・多重人格デモ行進2
「いきなりセラピストの顔をする」というご指摘を受けて
そういえば思い出したことがひとつあった。
20代半ばの頃、まだがっちがちの枠の中で自分も生きていて、
肩書きや自分の生きる道も持っていなかったコンプレックスまるけの頃
人々にこれでもかというほど嫉妬に狂っていた時期。(まあそうは見せていなかったが)
年齢などにとらわれることは元々少なかったけど、とにもかくにも
「自分には取り柄も特技も資格もなにもない」
と頑なに思いこんでいてよくわからない外国を彷徨い続け、
死にそうだったわたしは、
専門的な使命のもとで仕事をしているひととか、立派な資格があるひととか、
有名大学とか名のある一流企業に激しく、それはもう激しく反応していた。
そういう人に超絶憧れたし、憧れて一緒に過ごすのはいいけど
嫉妬で気が狂うかと思うような気持ちになることは多くて
ある時一時、付き合っていた恋人が、まさに
わたしの欲しかったその全てを持っているような男だった。
わたしには、逆立ちしても入れない(と思っていた)
ニューヨークのアイビーリーグ(アメリカの名門私立大学8校)で研究しており、
ぶつくさアンニュイな面持ちで専門的なことを勉強していた割に、
実家の広大な敷地の中にある家業を継ぐかどうか迷って
口を開けば
「悩んでるんだ」
と言っていた。
ここから先は
2,222字
¥ 100
いつも購読・ご購入・サポートどうもありがとうございます!