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それが膨らむのを待つ
誰かを幸せにしたいから料理をするなんて、
一度も考えたことない。
料理が好きだから、何かを作るなんてことも、一度も。
菓子を焼くことは、
誰かが、それを、食べるためで
それが自分にとって
何を意味するかなど
たぶんほんとうに、
わたしにとって
無意味だと思う。
でもわたしが、
お菓子を作って誰かにあげたことで
相手は怒って
わたしは嫌われた。
中心に、近づこうとすればするほど
それはわたしを外に弾き出す。
雨音と、
オーブンの中の
中途半端なシフォンケーキ
何かを堪えて、
それが膨らむのを待つ。
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