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Eat, Live and Love.

<マガジン味付>ジャンク☆☆☆☆☆ 甘さ☆☆☆☆ 外国で暮らしたときにみつめてきた風景や、瞑想に参加したときの記録・海外出産のときに目にした出来事などをストーリー仕立てでお届け…
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#アメリカ

KOBO -パンを焼くまでの50時間

この世界は生と死で成り立っていて その、フレッシュな生の近くで 何かが確かに命をそっと 育まれているのを眺めているのは これ以上ない喜びと祝福をはらんでいる。 ニューヨークに住んでいたころ ブルックリンに住む友人が 「最近こうじで玄米の甘酒をせっせと仕込んでいる」というので、 24時間走っている地下鉄に乗って 訪れると そこにはヒーターの上の一等席にどしっと腰掛ける、 真っ赤なルクルーゼが居た。 贅沢に、布団をかぶって、そのなかですくすくと、 ぬくぬくと成長

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ホーボーケンと秋とパセリ一把3

つづき 所帯染みた家家を横目に歩くと 一軒だけ小さめのスーパーがあって 手ぶらで訪れるつもりしかなかったわたしは 特に何かを買う予定もなく、 ぶらりと その古くて汚い、店の自動ドアをくぐった。 ドアが開く瞬間の 独特の乾いた、アメリカのgrocery store 食料品店の匂い。 マンハッタンにも同じように山ほどのスーパーと呼ぶにふさわしいような店もあったが、 わたしはその、スーパーマーケットではなく”食料品店”という言い方が とても、好きだった。 それは

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ホーボーケンと秋とパセリ一把2

ニューヨークという土地は縦長で、川に囲まれているのだが そのすぐ向こう岸は、ニュージャージー州と呼ばれるお隣の州がひろがっている。 マンハッタンが東京都内だとしたら、 さしずめ江戸川区民がそこまで出勤するような感じで 街中までアクセスが便利で人気がある地域に ホーボーケンという、一歩間違えば毛がはみ出しているような名前の地域があった。 まあ、わたしはボーボーなんちゃらの何を知っているわけでもなく 東京都民でもない上に、江戸川区という場所がどこにあるかすら よく知ら

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Eating, me and...

ごはんを作るシゴトをしている。 毎日、毎食、毎回真剣だ。 何十食も立て続けにフライパンを振っていると 次第にやっつけシゴトになってくる。 レストランで働いたことのあるひとはわかるとおもう。 日々当たり前に 山のように捨てられる残り物や食材達。 にんじんの端っこや 容器からあぶれたインゲンは まだ人の口へ行くのを楽しみに待っているのに 色んな理由から 次々とゴミ箱へ捨てられてゆく。 だから私は一日に 何十本ものにんじんやたまねぎを 腕に抱えてめちゃくちゃに愛を注

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