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天空率計算では塀が無いほうが有利?!

天空率計算の際に
「道路付近にフェンス(塀)がないほうが良い結果が出るのでは?」
と、思われたことはありませんでしょうか。
多くはありませんが、
お客様からこのような質問をお受けすることがあります。
今回は、お問い合わせいただいた内容を基に、
簡略化したサンプルデータを用いてご説明いたします

過去の事例をみてみましょう。

【塀あり】

高さ0.5mの塀が敷地の間口両側にあります。


【平面図 №1】
【平面図 №5】
【アイソメ図 №1、№5】
【天空図 №1、№5】
【計算表】

後退距離2mの計算結果はクリアでした。

それでは、さらに計算結果を有利にしたいという理由から塀を削除して
再度、計算をしてみましょう。

【塀なし】

〈敷地に塀はありません。〉
【平面図 №1】
【平面図 №5】
【アイソメ図 №1、№5】
【天空図 №1、№5】
【計算表】

後退距離を「塀あり」の場合より多く距離をとっているのにもかかわらず、
計算結果はクリアしませんでした。


「後退距離は多めに取った方が有利なのでは?」
と、思った方もいらっしゃるかもしれません。

今回のご質問は
「フェンス(塀)の有無による計算結果でクリアしない」
と思われましたが、
「後退距離を最大限にとらない、または適用しないほうが有利に働く」
場合があることがわかります。

たとえば、
「塀なし」の敷地と天空率解析の簡易設定にあるプロパティ記載の表で建物の後退距離を手動で「3.475m→2.0m」に設定してみましょう。


【塀なし:後退距離2m】

【平面図 №1】
【平面図 №5】
後退距離を手動で「3.475m→2.000m」
【アイソメ図 №1、№5】
【天空図 №1、№5】 
【計算表】

後退距離を縮めた場合の計算結果はクリアでした。

【わかったこと】

・天空率は、測定点から見た半球の天空に投影される空の面積の比較です。そのため、一概に後退距離を取った方が有利とは限らないという敷地形状(領域形状)のパターンがあります。

・一般的に、敷地間口が広く、間口いっぱいに建物を計画している場合は、後退距離を取る方が計算結果として有利になると考えられます

・しかし、後退距離が影響を与える領域によっては、
後退距離を最大限に取らない、
または適用しない方が有利に働く場合もあります。

【参考】

【天空率 適合建築物の後退距離について】

※適合建築物(道路斜線を建物ボリュームに置き換えたもの)の立ち上がりとの距離(A)と敷地の間口の距離が長い場合、
適合建築物の後退距離が必ずしも壁面後退(C)した場合が
最も良い結果になるとは限らないケースがあります。

ご参考になりましたら幸いです。


【参照】
・第130条の12
前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限に係る建築物の後退距離の算定の特例
[ADS通信 Vol.24] 2023.7 ≪必見≫ADSシリーズ「後退距離」の解説 – 生活産業研究所株式会社


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