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天空率_道路斜線 高低差緩和について「あれっ? 道路と測定点の高さが違う!」

こんにちは。生活産業研究所 サポートセンターです。
立冬を迎えいよいよ寒くなってきましたが、みなさんお風邪などひかれてないでしょうか。
 
さて、今回は天空率の道路斜線、高低差緩和についての投稿です。 

天空率の道路斜線制限において、天空率を算定する位置である測定点高さは、前面道路中心の高さです。
ADSシステムの天空率計算では、測定点の高さはZ値に表示されます。
 
敷地や道路の条件によっては、同じ位置にもかかわらず、与条件設定で入力している「道路の高さ」と計算結果の「測定点の高さ」が違う場合があり、「計算が合わないけど、なぜ?」「システムのバグでは?」などのお問い合わせが来ることがあります。
このような時は、まず、地盤面と道路高さに1m以上差がないか確認して下さい。
道路斜線制限には緩和規定がいくつかありますが、道路が地盤面より1m以上低い場合には緩和が適用されます。
 
詳しく見てみましょう。


  

1. 高低差緩和について

 
以下は、道路斜線の高低差緩和についての概要図です。 

リファレンスマニュアルより

 
前面道路の路面の中心高さが地盤面がより1m以上低い場合、
当該前面道路の高さが(地盤面と前道路の高低差 - 1)/2 だけ高いものとみなすという緩和が適用されます。
 
◆ 例えば、地盤面:±0m、道路中心高さ:-1.5m の場合
 
緩和の数式に当てはめると、
h =(地盤面と前道路の高低差 - 1)/2
 = (H-1)/2 = (1.5-1)/2 = 0.5/2 = 0.25
 
実際の道路中心高さ:-1.5m より、 0.25mだけ高いものとみなすため、
測定点高さは、実際の道路中心高さ + 緩和高さ:-1.5 + 0.25 = -1.25m となります。

【関連法令】令第135条の2、令第135条の9-4
【建築申請 memo】16-9(Ex.4)、16-22
【適用事例】2017版:P222、2022版:P262
 

2. 設定と計算結果

 
ADSシステムでは、地盤面と実際の道路中心高さを入力するだけで、システムが緩和値を自動的に計算します。
 

ADS-win・ADS-LAの画面を例にします。
各BTシステムも同等のメニューになります。
与条件設定>境界線条件>「道路高1、2」にて、前面道路の中心高さを設定して下さい。

与条件設定>境界線条件>にて、道路高さ設定

 
道路斜線の領域:システムが緩和値を自動算定します。
緩和が切り替わる位置で天空率用図形が分かれます。  

天空率解析>天空率計算> 計算結果のZ値が測定点高さ

天空率解析>天空率計算> 計算結果のZ値が測定点高さです。
 

3. 高低差緩和を適用したくない場合

 
ADSシステムにおいて、道路斜線の高低差緩和は、「地盤面の高さ」と「道路の高さ」の差によって自動計算されます。
では、自動計算させないためにはどうすれば良いかなのですが、
「地盤面の高さ」1m>=「道路の高さ」が成り立たないようにすることを考えます。
つまり、システム上の「地盤面の高さ」を「道路の高さ」より低い位置に設定すれば、緩和は発生しません。
但し、実際の地盤面も天空率計算の算定対象であるため、地盤面を計画建物オブジェクトとして作成する必要があります。
 
応用編として、現況地盤形状に近い地盤面、
例えば、地盤面が傾斜していたり凸凹した形状のなりに天空率を検討したい場合は、
システム上の「地盤面の高さ」を「道路の高さ」より低い位置に設定し、各地盤形状を計画建物オブジェクトとして作成して下さい。
この際、高低差緩和を適用したい場合は、各測定点の高さを手計算で算出し、システム上手動で測定点高さを設定することとなります。


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