「記憶に残りやすい」フリーフォント
「記憶に残りやすい」ことが科学的に実証されているフリーフォント、それが「Sans Forgetica」です。
Sans Forgeticaとは「学習内容を記憶に定着させること」を第一にデザインした欧文フォントで、
上の画像の名札にはこのSans Forgeticaで「NAFUDA」と入力しています。
パッと見て読みにくいですよね。
実はこの「パッと見て読みにくい」感覚が記憶への定着においては有効であるとされていて、
認知心理学でよく知られる「望ましい困難」と呼ばれる原理があり、
望ましい困難とは、情報を認識する、または記憶を掘り起こす作業が大変になるほど、学習の力、つまり記憶の検索力および保存力が高まるという原理です。
つまり、
パッと見てよくわからない
→あぁ、こう書いてあるのか...と、少し時間をかけて認識できる
→ある種の処理の複雑さと絡まって情報が深く記憶に刻まれる
といったようなイメージです。
実際こういった「読みにくいフォント」で表示された情報の方が記憶に残るという研究結果もあり、だからこそSans Forgeticaは「記憶に残りやすい」フォントであると言えるのです。
ただし以前の投稿で記した通り、あくまでエパックス株式会社として推奨しているのは「パッと見て読みやすい」フォントで、
今回はその推奨の真逆をいくような話ですが、「記憶に残す」という目的に対してはこういう方法もある、ということで、
Sans Forgetica以外にも、これなら同じ原理が適応されるのではないかというフリーフォントをご紹介いたします。
記憶に残りやすい!?日本語フリーフォント
1)源界明朝
源界明朝とは、「源ノ明朝」を基に、読める限界ギリギリまで破壊された世界観を表現した見出し向けの明朝体です。
一部のインクがポロポロっと剥がれたようなイメージになり、良いのか悪いのかは置いといて、名札をずいぶん使い込んでいるという印象を与えるかもしれません。
Sans Forgeticaほど読むために処理を要することはなく、割と読みやすい方です。
▼ダウンロードはこちら
https://flopdesign.com/blog/font/5146/
2)インビジブルゴシック
アウトライン(外線)が破線になった、インパクトのあるユニークなフォントです。
名札の文字は一色ベタ塗が圧倒的に多いため、インビジブルゴシックのように外線のみで、しかもその外線が破線ともなれば、
瞬間的には読みづらいですし、ある種のインパクトを与えることは間違いないでしょう。
▼ダウンロードはこちら
https://nippori30.com/
3)トゲトゲロック
ご覧の通り、文字に絞り込みをかけたようなフォントです。
インパクトは大ですが、ロックテイストが強いため、使うシーンは選ぶかもしれません。
こちらもなかなか瞬発的には読みづらいので、認識処理には多少の時間を要するでしょう。
▼ダウンロードはこちら
https://nippori30.com/
4)FGゼロラバウル
文字に切れ目が入ったようなフォントです。
そこまで読みにくくはないですが、やはり切れ目が入っていることで一瞬認識にストップがかかるような印象です。
ただし漢字の一部は上記のように切れ目が入らないので注意が必要です。
▼ダウンロードはこちら
https://fontgraphic.jp/fgzerorabaul
記憶に残りやすい!?欧文フリーフォント
1)Sans Forgetica
最初に登場した、この話のきっかけになったフォントです。比較用の参考として載せています。
▼ダウンロードはこちら
https://sansforgetica.rmit/
2)50 Blizzards
文字の一部に切れ目が入ったステンシル風のフォントです。文字自体少し変形気味のため、瞬間的には読みづらいです。
Sans Forgetica同様、大文字小文字の両方が使えます。
▼ダウンロードはこちら
https://fontmeme.com/jfont/50-blizzards-font/
3)ICBM SS-25
文字の一部に切れ目が入りつつ、日本語版で出てきた源界明朝のように少し文字が破壊されたようなデザインのフォントです。
読みづらさに加えてデザイン性も高いですが、大文字しか使えませんので注意が必要です。
▼ダウンロードはこちら
https://www.dafont.com/icbm-ss-20-25.font
4)Old Stamper
文字通り、古いスタンプのようなフォントで、上下に線が入っています。
文字の輪郭が揺れており、一部に傷があるようなフォントなので瞬間的には読みづらいです。
こちらも大文字のみです。
▼ダウンロードはこちら
https://www.dafont.com/old-stamper.font
“読みにくい”のと“読めない”のは違う
上記以外にも読みにくいフォントはあるでしょうが、選ぶ際に重要なポイントは
「“読みにくい”のと“読めない”のは違う」ことを抑えておくことです。
つまり、パッと見(瞬間的)では認識できないけど、よく見たら、あぁそうだったんだという、結局は読めるということが重要です。
これなら読みにくいだろう!と思って、暗号のようなほとんど可読性の無いフォントを選んでしまったら…。
パッと見てよくわからない
→よく見ても何て書いてあるかよくわからない
→理解できなかったため記憶に残るはずがない
これでは本末転倒です。
読みにくいフォントは記憶に残りやすいかもしれませんが、先述の通り、あくまでエパックス株式会社として推奨しているのは「パッと見て読みやすい」フォントです。
そのため名札屋であるネームバッジインターナショナルジャパンやエパックス楽天市場店では上記のフォントはお選びいただけません。
どうしてもご使用になりたい場合は、その旨別途お申し付けください。
エパックス株式会社 ネームバッジインターナショナル、エパックス楽天市場店、デコレーションアイテムの通販サイト:Decoccyanなどを運営する、名札・ネームバッジの製造・販売会社。 自社でUV印刷機を所有し、印刷から出荷まで、自社一貫体制で行い高品質な名札を提供し続けている。