【12月4本目】中小企業は日本の宝!という幻想は中小企業を滅ぼす
日本人は中小企業大好き
無人探査機“はやぶさ2”の帰還が大きなニュースになりました。国民の涙と感動を誘った“はやぶさ”と同様、町工場の技術をふんだんに搭載しており、NASAも注目しているらしい。日本の中小企業は凄いなと感心します。
日本の企業数は359万社。そのうち99.7%にあたる358万社が中小企業とのことで、まさに日本は中小企業大国。
不可能を可能にする技術。現場の頑張りと経営者のビジョンで壁を突破していく情熱。アナログチックではあるものの、それゆえギリギリまで折れない粘り、強靭さ、弾力を持ち、外部からの理不尽を受け入れる度量と胆力を併せ持つ、日本の中小企業は“ものづくり”を支える国力そのものなのです。
・・・・・・そうかぁ?
伝説のアナリスト デービッド・アトキンソン
日本人の中小企業幻想に真っ向から反発したのが、デービッド・アトキンソン。オックスフォード大学で日本学を専攻し、ゴールドマンサックスで日本株の「伝説のアナリスト」と言われました。バブル崩壊後、日本の金融機関が確し続けた不良債権を指摘したのは彼です。
大企業は大量の会議やハンコ文化で生産性は低いと言われるけれど、従業員数や労働時間を見たとき、生産性が低いのは小規模企業である。どのような統計を見ても、日本に限らず中小企業の生産性は大企業を超えられない。
国家の宝は中小企業ではなく大企業や中堅企業であり、経営資源(リソース=ヒト・モノ・カネ)を大企業に集約させることで日本は大いに復活するだろう。
大企業に吸収されるまで行かなくとも、下請けとして生存する中小企業ではなく、高い技術力を保ちつつ、一定の経営規模を持つ中堅企業を育てよという主張です。
ぶっちゃけ「外国人に何がわかる!」と脊髄反射したくなりますけど、アトキンソン自身、小西美術工藝社という中小企業を経営しているから説得力あるんだよね。
僕はアルバイトを含めると、遊技機販社、パチンコホール、ディズニーランド、セブンイレブン、攻略誌編集プロダクションなどで働きましたけど、残業代をしっかり払ってくれたのはディズニーランドとセブンイレブンです。どちらも日本を代表する大企業ですよ。他はどこも寝不足と疲労との戦いだった。
もしも中小企業がそれほど素晴らしいならば残業代を払えよと。払うと潰れるなら、それこそアトキンソンの主張するように「不要な会社」ということになってしまう。
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