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新宿タワマン殺人事件 誰もが加害者にも被害者にもなり得る地獄を生きる

この記事は

・「ストーカー殺人事件」として報じられたのに、いつの間にか「タワマン殺人事件」と変更されているこの事件。和久井容疑者への同情的な声が集まっています。僕たちは犯人にも被害者にもなり得るし、それを避ける生き方もできる……というお話。


おまわりさん、犯人はコイツです


肉体労働→帰って家事→風呂入って即睡眠→早起き→職場近くのスタバで1時間原稿→肉体労働

そんな生活を始めて10日ほど経ちました。想像の8倍くらいつらい。辞めたい。つらい。もう若くないと実感する日々です。

知人から「吉田さん、戸田で逮捕されてたよ」と謎のLINEが届き、ニュースを検索してみたら……

まあ、我が目を疑ったよね。

似てるどころか、これ俺じゃね?

休憩中に先輩へ話してみたら、「あまりにも似すぎてて、親戚かもしれないから触れないようにしてた」と真顔で言われる始末。

なので記念にパチリ。

妹は大爆笑してた。


ストーカー事件→タワマン殺人事件への切り替わり


戸田の僕が逮捕されたニュースを検索してる最中、新宿タワマン殺人事件の見出しが目に止まりました。

ニュースを見ない生活だったためおぼろげな記憶だけど、事件発生当初は「ストーカー殺人事件」と報じられたよね?

事件発生当初・ストーカー殺人事件

現在・タワマン殺人事件

なんでやねんと思ったら、和久井容疑者は「結婚を約束されたから金を渡した。婚約破棄を告げられたから金を返してもらおうとしたが、無視された」といった主張をしてる。

一方の平澤俊乃は生前、警察に対し「ストーカーにあってる」と被害を訴えていた。週刊新潮の記事によると平澤の友人は「大金を受け取る前からストーカーにあっていたようだ」と語っている。

おやおや?

友人の話が本当なら、平澤はストーカーから大金を受け取ったの??

殺害された平澤俊乃

平澤は大金について「和久井が自分の店へ通うための前金として受け取った」と警察に話しているけど、受け取った直後に和久井を出禁にしてる。ならば前金は返さなきゃダメでしょ

3年前、平澤のストーカー被害は認められ、和久井に対し接近禁止令が出ていた。しかし、平澤の要望で昨年6月に解除されてる。なぜ!?

和久井の父親はこう語っています。

「突然、彼女と結婚するから家を出るって言ってさ。彼女へ金を渡した途端、店に行っても冷たくされてケンカになっちまった。それで倅(せがれ)が“金返せ”って言ったら、店を出禁にされてストーカー扱いされたと。世間ではさんざんストーカー野郎とか言われているけど違うよね。女がだまそうとして、それに引っかかっただけでしょ。バカだから

週刊新潮

つまりここで、「和久井によるストーカー殺人」ではなく「平澤による結婚詐欺」の可能性が出てきた。これにより報道各社は見出しを変えたわけね。


一つの趣味にのめり込む人


和久井容疑者は愛車のNSXとNRを売却して1000万円以上を捻出したもよう。状態のいいNSXなんて簡単には見つけられないし、もうそれだけで大切にしてきたんだろうなと分かる。

バイク好きにNRを聞いてみたら、「二輪博物館に展示していいレベルの単車」と言われビビった。

和久井の父親いわく、

「車やバイクをかわいがっていてさ。買ってから20年ちかくたつ車なのに、毎日毛布やシートをかぶせて、その上に自衛隊が使うような折りたたみテントを張って雨露をしのいでいた。それらをどんな思いで売り払ったのか」

週刊新潮

こりゃもう〝愛情〟だ。

そんな愛車を売却した際の、容疑者による投稿が残っていた。

普通はNSXみたいなリアルスポーツカーを買うなんて発想にならないし、それを改造しながら良い状態を維持したなんて、一体どれくらいのカネと時間をかけたんだろう。

それは確かに〝愛情〟と言っていいし、分かる人には分かる、分からない人には一生分からない世界でしょう。


SNSは和久井容疑者に同情的


人の趣味には2種類あって。

多趣味な人と、一つの趣味にのめり込む人。

後者は常人には理解できない行動を示します。趣味に費やすリソースが100あった場合、120でも200でも使う。人によっては子供の頃からずっと。

一つの趣味にのめり込む人は、それだけで幸せなんです。

人生の全てを注ぎ込むレベルの趣味、そのシンボルであるNSXとNRを手放してまで、和久井は平澤俊乃との結婚を選んだ。

なのにその道は絶たれ(というか最初からそんな道は存在しなかった)、和久井にはもう何も残されていなかった。

和久井自身の判断により手放したのだから同情の余地はないはずだけど、平澤による結婚詐欺だったら話は変わる。

SNSで容疑者に同情的なのは「人生をかけて注ぎ込んだシンボルが詐欺によって奪われた。相手はシンボルの価値を理解せず、申し訳ないとも思っていない。その空虚さ、絶望」を感じ取ったからです。

実際の平澤は何をやったか分かっていないのに、詐欺による略奪と絶望のフレームを感じ取ってしまった。事実より感情を優先するのはSNS社会の悪い点でしょう。

ただこれは年齢無関係。昔からあるテーマでして。

夫のバインダーを勝手に処分した妻

鉄道模型嫁

どちらも創作の可能性はあるものの、「夫の趣味を捨てたい(捨てた)」との投稿は今も散見されるため、よくある話なんでしょう。


1000万円の重み


平澤俊乃は銀座のキャバ嬢でトップを続け、ガールズバーの経営でも成功していたらしい。平澤と和久井の〝1000万円〟は、おそらく等価値じゃない

夜職の女性は自身の収入だけでなく、金持ち男性を相手にすることも多いため、ぶっ飛んだ金銭感覚になりがち。

今、僕は時給1250円の仕事です。1000万円を稼ごうと思ったら1000日以上かかります。飲まず食わず給料全額つっこんでも1000日。生活しながらだと10年でも難しい。

でもきっと、平澤はその重みを理解できないよね。

だからこそSNSでは和久井に対し同情的な意見も生まれる。

「法律は和久井を助けない。逆に平澤を『ストーカーの被害者』として救済する。真の被害者である和久井は、致し方なく自力救済をした」

と。

自力救済とは、法律で救済されない被害者が自分で自分を救けること。基本的に違法です。例えば他人の車があなたの駐車場に止めてあった場合、警察は解決してくれません。レッカー移動すらしてくれない。仕方ないのであなたは自分で車を移動させる。
この場合、逮捕されるのは車を移動させたあなた。理不尽ですが、駐車した人は逮捕されません。


アイデンティティ・アイコンとは


平澤はカネの価値を軽く見ていた?
和久井は人生を賭けた趣味を奪われ殺人に及んだ?

そんなフレームで事件を眺めたとき、こんな言葉が思い浮かびました。

Identity-Icon

僕の作った造語です。アイデンティティーを示すシンボルのこと。

アイデンティティーとはご存知のように自己同一性。ざっくりいうと「私はこういう人間です」と説明する際の、「こういう」の部分です。そのシンボルを〝アイコン〟として表現しています。

例えば吉田圭志のアイデンティティーのうち、ポジティブに捉えているものはこんな感じ。

  • noteを書くライター

  • パチンコ好き

  • 株好き(負ける)

  • 漫画や買物はちょっと好き

  • 野球は東京ヤクルトスワローズ好き

  • レンタカー回送で一般道をダラダラ走る旅が好き

などなど。

これをスマホの画面に置いてみます。

アイデンティティーを示すアイコンが並ぶ

これが僕のアイデンティティーアイコン(以下、IDicon)。わざわざ作ったアイコンではなく、ほぼ実際のホーム画面です。

皆さんも自分のIDiconをイメージしてみてください。


IDiconの数が圧倒的に不均衡


平澤と和久井のIDiconを比較したとき、アイコンの〝数〟において凌駕するのは、間違いなく平澤でしょう。

平澤はキャバ嬢としてNo.1、YouTube配信ライバーとして、グラビアモデルとして、モテ続けた。

高級服、ブランドもののバッグ。宝飾品、ネイル。持ち前の美貌に、キャバ嬢として成功した経歴。そして自分の店。さぞかし沢山のアイデンティティーを持っていたことでしょう。

一方、和久井容疑者のアイデンティティーは愛車に紐付いたものばかりで、クルマ・バイクは本当に唯一無二の趣味だったんだと分かります。バツイチですし、過去の仕事を誇る投稿も見当たらない。

ここに大きな非対称性を見る。

アイコンが一つ失われたときの精神的なダメージは、平澤と和久井、どちらが大きいか。

言うまでもなく和久井です。

和久井容疑者

平澤にとって、例えば〝ネイル〟のアイコンを取り上げたところで相手への殺意には至りません。なぜならIDiconをいくつも持っているから。

しかし、和久井には車やバイクしかなかった。

平澤も、宝飾品を取り上げ、高そうな服も許さず、店を潰され、老化して美貌を失い、SNSも閉鎖させられたら話は変わってくる。唯一残る「キャバ嬢としての過去」のみに執着し、病んでいくはずです。

IDiconを奪われた場合、残りが減れば減るほど執着の度合いは高まる


IDiconがゼロになると?


恐ろしいことに、IDiconは一つずつ減るわけじゃない。連鎖するんです

消失の連鎖を生み出す主な原因は【貧困・病気(怪我)・老化】の三つ。

例えば僕の場合、工場倉庫での仕事を始めたことでパチンコを打つ時間を失いました。

当然、レンタカー回送をする時間もなく、旅も失われる。

株式口座に残った現金で運用を続けたものの、3日で3万円損したことで「日給換算で労働分が全部飛んだ(事実上のタダ働き)」となった。

足が棒のようになるまで歩き、荷物を持って腰を痛めたのに、手元へは1円も残らない。

貧困により漫画や買物も消えます。

野球観戦は現在唯一の趣味となっているものの、我らがヤクルトスワローズは最下位あたりをうろちょろ。土日に神宮球場まで行く体力もカネもなく、これもまた消えます。

肉体労働を始めた際に「noteは続けます。絶対に」と繰り返したのは、それしか残らないと分かっていたから

IDiconがゼロになった画面はどうなるか。

色を失います。

再び画面を埋める気力が奪われる。

慣用句として〝アイデンティティの喪失〟と言いますけど、ビジュアル化すると強烈です。「自分の人生に何の意味があるんだろう」「楽しいことなんて何もない」となる。

派遣先との約束で媒体原稿も書けなくなりました。今の僕はnoteへの執筆こそアイデンティティーです。


誰もが加害者にも被害者にもなり得る


僕の場合、IDiconを誰かに奪われたわけじゃない。株式投資の失敗は完全なる自責です。今後、資金的な余裕が生まれればIDiconは復活する。未来がある。だから耐えられる。

和久井の場合(結婚詐欺が本当ならば)唯一無二のIDiconを平澤に「奪われた」格好です。少なくとも彼はそう感じていた。

恐ろしいことに世の中、他者のIDiconを消す外道がいます。

  • 他者のIDiconを消すことに何とも思わない人

  • 他者のIDiconを消すことに快感を覚える人

  • 他者のホーム画面を自分のアイコンのみにしたがる人

IDiconを沢山持っている勝ち組は、一つ一つの大切さや、一つしか持てない人の愛着を理解できない。複数持つ自分と比較し、愚か者に見えてしまう。成功者が異様なほど上から目線で傍若無人になるのはこのため。彼らはこちらのアイコンを消すことに躊躇しません。

相手のIDiconを消すことに快感を覚えるサイコパスもいる。暴力亭主のように相手の自由を奪い「コイツのIDiconは自分のみ」とすることで支配欲と独占欲を満足させる怪人もいる

そういった悪党のIDiconは厳重に保護され、かつ数も多い。自分と同じ辛さを味わわせよう、復讐しようとしても、その多くは徒労に終わります。

なので〝殺人〟という究極の自力救済(加害)へ及んでしまう。


IDiconとは「生きる意味」。ゼロにするな


悪党のIDiconは厳重に保護され、数も多い。であるならば、これを参考にしましょう。IDiconを増やし、「奪われても他がある」との状態を作る。

まずは趣味を増やしましょう

・増やす? 量より質でしょ?
・好きこそものの上手なれと言うでしょ?
・職人気質は素晴らしい!
・趣味が高じてプロの域に達すれば尊敬される!

確かにその通りだけど「一つしかない」と失った際のメンタル崩壊リスクを高めてしまう

もしも和久井容疑者が車やバイク以外の趣味を多く持っていたら、全く異なる結果となったと思いませんか?

かの悪女・いただき女子りりちゃんは、

「趣味の多いおぢは狙うだけ無駄」

と、商材の中で語っています。

画像引用・FNN

たくさん趣味を持つおぢ(おじさん)は簡単にくれない。いただけない。時間の無駄だから「趣味を持たず金を持つ孤独な非モテおぢを選べ」とアドバイスしています。本当にクソですね。

〝趣味〟〝特技〟なんて真正面から考えると悩んじゃうけど、ポイントは「時間を忘れて没頭できること」です。

アイデンティティーをアイコン化して考え、決してゼロにしない。特に子育てを終えた世代は、悪党の毒牙にかからぬよう、アイコンを増やしておきたいところ。

お金のやりくりで大変なのよとアピールされたら「俺の方が大変だよ!趣味にお金を使うからwww」と、笑いながらマウントを取るくらいの図太さを持って、加害者にも被害者にもならず、厚みのある人生を生きましょう。

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