なぜ京都は共産党がこれほどまでに強いのか ネトウヨによる分析
この記事は
京都市長選挙の経過と結果
「京都は自民も民主もない。あるのは共産か、非共産だけ」
立憲民主党幹事長の福山哲郎(参院京都府選挙区)も、民主党代表を務めた前原誠司(衆院京都2区)も、自民を代表する保守派の西田昌司(参院京都府選挙区)も。口を揃えて「京都は共産党」と言います。
事実、前原と西田は京都県議時代に共闘し、県議会で共産議員と対峙しました。福山は初当選時に定員2を共産党候補と分け合ったこともあります(自民党は当選できなかった)。
一強の自民党であろうと気を抜けばすぐに赤く染め上げられてしまう。それが日本の古都〝京都〟なのです。
自民党が裏金問題に揺れる中、京都進出を企てる維新が候補者を立て、35年ぶりに「共産vs非共産」以外の第三極を示します。
ところがその維新候補は違法パーティー疑惑で、維新からの支援を打ち切られてしまいました。
いつものように「共産vs非共産」の一騎打ちとなりました。
結果はこう。
自民分裂に維新候補。保守票は分かれます。
村山祥栄が不祥事を起こさず維新の支援を受け続けていたら、松井孝治の票はさらに削られ、新市長は共産党の支援する福山和人になっていたでしょう。
幸か不幸か、維新候補の〝やらかし〟に保守は救われた。
逆に共産党は千載一遇の好機を逃した格好です。
ちなみに松井孝治は鳩山政権時代の官房副長官で、〝マニフェスト〟の概念を民主党へ持ち込み、作り上げ、民主党議員となった人物。いわば政権交代の立役者です。
ただ、政権を担うには未熟すぎた民主党へ失望し、一期限りで政治から離れます。以降はラジオ番組や雑誌などで活躍していました。色々と話を見聞きしたところ、日本には珍しい愛国左翼と言っていいでしょう。
元民主ゆえ立憲や国民民主は推せるし、安倍・菅義偉両総理を高く評価していたため自民党も推せる人物、しかも政策に精通してる。
よくもまあ、これほど都合のよい人物を担げたもんだと思います。
共産党の〝牙城〟はこうして生まれた
とはいえわずか16,000票差ですよ。出口調査では福山リードでした。
なぜこれほどまでに京都は共産党を支持するのか。
答えは戦後における「京都の特殊性」から見えてきます。
零細商工業者の経済的な側面
まずご存知のように、京都は古い歴史を持ちます。明治維新前は天皇陛下のおわす土地だったのですから半端じゃない。文字通り2000年の歴史を持つ、日本の〝古都〟です。
ゆえに、古い自営業者が多い。
創立数十年なんてヒヨッコで、百年超えて当たり前。場合によっては1000年を超える会社や商店もあります。
戦後、彼らは取り残されました。多くの企業は〝商都〟大阪で旗をあげたのです。企業の成長に不可欠な金融機関もまた、東京に次ぐ第二の都市・大阪を重視します。
かつて13行あった都市銀行のうち、大阪に本店を構えたのは、住友銀行、三和銀行、大和銀行と3行もありました。さらにお隣の兵庫には太陽神戸銀行もあった。
しかし京都に本店を置く都市銀行は無い。それどころか地銀すらなかったのだから驚きです。
京都の零細商工業者を支えたのは〝信用金庫〟でした。都市銀行が見向きもしない会社や商店に根を張り、京都は日本最大の信金王国となります。
京都中央信金の資産総額は6.6兆円。中堅地銀以上の預金残高を持ち、254行ある日本の信金でぶっちぎりの首位に立ちます。
二番手の京都信金も3.5兆円。「メガ信金」と呼ばれる資産1兆円を大きく上回る全国4位の規模です。
1953年、日銀・一萬田総裁の意向で京都銀行が作られるます。
しかし、京都銀行は京セラ、村田製作所、オムロン、日本電産、ワコールなど、京都生まれの上場企業を中心に営業したため、零細商店に優しくない。
大手銀行どころか地銀すら融資してくれない零細商店。そんな彼らに手を差し伸べたのは、共産党の支持母体・民主商工会(民商)です。
民商は零細商工業者の保証人となり、信用金庫を紹介します。やっと金融機関から融資を受けられた経営者にとって、民商は神ですよ。彼らは親族をあげて共産党を支持するようになった。
低所得層・向島団地
京都市の南のはずれ、宇治市にほど近い向島駅前に、巨大なニュータウンがあります。
高度経済成長期にベッドタウンとして整備され、最盛期には2万人が住んだとされる向島ニュータウン(通称・向島団地)は現在、高齢化に悩まされています。
空き室増加にともない、低所得者向けの市営住宅・公団住宅として運用され、貧困層も定住。住民の民度は悪化していきます。
さらに今度は中国人労働者が住むようになり治安も悪化。そうなると若い人は寄り付かなくなります。
現在はブラジル、ベトナム、ペルーなどからの移民も住んでいるようで、高度経済成長期に夢の住処を買ったはずの高齢者は、ほんとキツい。
貧困・生活保護
意外かもしれませんけど、京都府の生活保護受給率は非常に高く、なんと全国7位。
生活保護といえば日本共産党ですよ。
地域の党員は貧困世帯へアプローチし、市役所の住民課で受給申請をサポートします。要件的に受給困難な場合は市議会の共産党議員に登場いただき、見事受給資格ゲットでございます。
貧困層にとって、共産党は神です。
そりゃ無償で赤旗配達しますわ。
アカデミズム・京都大学
共産主義は、優秀なエリートによる指導で愚民(大衆)を導く体制を取ります。ゆえに共産主義国の中心には必ず頭脳明晰なエリートがいる。
全人代(全国人民代表大会)は中国の国会と言われますけど、彼らは各地区の共産党を代表する人達であり、選挙で選ばれた代議士ではありません。
民主主義国家の国会とは程遠い、組織に忠誠を誓うエリート集団です。
日本も例外ではなく、日本共産党や同党支持者には高い学歴を持った人が大勢います。そもそも共産主義は、頭良くないと理解できない。僕には無理。
日本の共産主義者を排出してきた名門校といえば、圧倒的に京都大学。(私立なら東京の法政大学と京都の立命館大学)。
京大の熊野寮は左翼暴力集団の活動拠点となっており、現在も公安の監視対象です。ノーベル賞を受賞した元京大教授の湯川秀樹は有名な共産主義者ですね。
宗教・清水寺
あとね。自民党って公明党と組んでるでしょ。公明党の支持母体といえば、ご存知「創価学会」。学会は池田大作の指揮のもと、伝統宗教(特に仏教)を厳しく糾弾します。いわく金の亡者、仏門を名乗る資格のない堕落した存在であると。
いやお前が言うなとのツッコミは横へ置くとして、仏教側からすれば創価学会は敵です。「は? 自民は公明と組むの?」となるわけ。
京都で反創価学会の最前線に立ったのは、清水寺の大西良慶。
この方は日本宗教者平和協議会の会長として、
などを主張します。
もう、めっちゃ共産党。
また大西は、平和・民主・革新の日本をめざす全国の会の世話人も務めました。現在この団体の世話人には、志位和夫や小池晃が名前を連ねています。
清水寺のイメージって「京都を代表するお寺」「舞台から飛び降りちゃうアレ」「今年の漢字1文字」でしょ。共産党との関係なんて普通は知らない。
30年に及ぶ共産党の治世
あらゆる階層へ、日本共産党は浸透した結果、京都市民、京都府民は共産党の首長を選びます。
1950年から1978年まで28年間、蜷川虎三が京都府知事として君臨します。
また、京都市長には同じく共産党の舩橋求己が選出され、1971年から1981年まで10年にわたり市長を務めました。
府市ともに共産党首長だったのだから驚きです。
彼らは市電を廃止し地下鉄を通し、古い町並みを残す形で京都を発展させます。全国に先駆けて、空き缶ポイ捨てを罰する条例を作ったりもした。
もしも高度経済成長期に自民系知事だったら、京都の街は破壊され、超高層ビルに埋もれて価値を失ったんじゃないかな。
1980年代以降も京都府知事および京都市長選挙は「共産vs全政党」の構図で争われ続けました。最近は共産候補の全敗ですけど、ちょっとしたきっかけで今回のような接戦となりますし、左京区は共産候補が勝利します。
今後も京都は共産党の〝牙城〟であり続けるのでしょう。
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