休業要請の全面解除とパチンコ業界【無料記事】
休業要請、短かった? 長かった?
コロナ対策の休業要請は本日6月19日をもって完全解除されました。多くの人は「長かった」と感じているのではないでしょうか。
信じられないけど、緊急事態宣言からわずか2ヶ月チョイ。ダイヤモンドプリンセス号から4ヶ月チョイです。え、まだそんなもの!? と思いませんか。常々「もう年末!もう○歳!最近は時間の経つのが早すぎ!」なんて言ってるのにね。
日本のコロナ対策、正体は「緊張感」
日本政府の対応は世界的に見ても極めて特殊でした。法による強制ではなく「お願い」。命令ではなく「自粛」。お願いだから、自粛だから補償しないという、諸外国なら暴動モノのミラクル対策です。こんなものは日本以外じゃ成立しません。
それでも日本の人口あたり死者数は、欧米に比べて圧倒的に少ない。色々な意見はあるでしょうけど、死者数を少なく抑えたのだから政府は良くやったと言えます。日本人のモラルにアプローチした(法的にそうするしかなかった)安倍政権は、思い切りバットを振ったらホームランになってしまった感じかもしれません。
もう少し解像度を上げてみると、日本人はモラルという名の緊張感でコロナ対策をしたんです。マスク忘れれば怪訝な顔をされ、営業していれば後ろ指を指される「ような気がする」という緊張感こそ自粛の正体だった。村八分の伝統ここにありと言えるでしょう。
なぜ緊張感で国民を制御できたのか
日本人は子供の頃から「島国」を意識させられます。ついでに言えばなぜか「小さい国」というのも脳裏に刷り込まれる。他国と地続きではないため、住む国を変えられない逃げられないという意識も同時に刷り込まれる。
この「コミュニティから逃げられない」という感覚こそが村八分の核であり、緊張感の発生メカニズムです。
日本は世界で唯一、緊張感でコロナ対策をした。先日の記者会見で安倍総理は「このような対策は長く持たない」と言いましたが、彼は分かっているのですね。途中で緩和を挟まねば緊張は長続きしません。これからの対策に必要なのは緩和感の醸成でしょう。
緩和すればコロナ患者は増える。その時はまた緊張させる。ただし何度も緊張を強いれば国民も従わなくなりますから、新たな感染対策や強制を可能とする法整備は必要でしょうね。
パチンコ業界は緊張感のみ求められた
ここ数ヶ月。ホールさんからは「営業するのがダメならダメと言ってくれ。その上で補償してくれ」という意見を山ほど聞きました。しかし日本政府も地方自治体も、自粛要請だから補償はしない、補償しないけど店名は公開するという、パチンコ業界をスケープゴートにしたガス抜きを行ったのはご存知の通りです。
夜の街は当初から問題視されていた、しかもホストクラブではクラスターを発生させた、にも関わらず今に至るまで一件たりとも店名は公表されていません。見回りとお願いに留め、クラスター発生以降も「安全ステッカーを作ろう!」などと激甘な対応に終始しています。
感染者を出していないパチンコホールを叩くのは、百歩譲って仕方ないとしましょう。しかし、当初から危険視され、実際にクラスターを発生させた業界に対する激甘姿勢は何なのか。あまりの甘さに、夜の業界から直接間接のお願いや特殊人脈にまつわるアレコレもあるのかと勘繰ってしまうレベルです。
ヒゲの隊長こと佐藤正久議員に至っては、BSフジの報道番組プライムニュース(6月18日放送)へ出演した際「夜のお店で女の子と距離を開けて飲んだって全然つまんないじゃん」と笑いながら語っていました。
しかし彼は同じ口でパチンコについてこう言ってます。
夜のお店は女の子と距離を開けたらつまらないと三密を容認しつつ、パチンコは三密だから自粛対象にすべきと言い張るのはどういう了見か。罪無き者を処罰するような感覚、論拠無き営業権の制限は、立法府の議員として問題だとは思わないのでしょうか。
危機感が足りないのはどちらなのかという話ですよね。佐藤議員は有能な人だし危機管理のエキスパートではあるのでしょう。男なら女の子を真横に置いて「三密酒」を飲みたい気分の時もあるでしょう。
ただ、野党を批判する自民党政治家も、この程度なのかと。
エビデンス? なにそれ美味いの?w
結果、特に東京都のパチンコホールは休業要請から続々と降りた。当初は99%もの店が従っていたのに(これはホント凄いと思った)、東京都のステップ3扱いに呆れ、ガン無視した。
普段はホールに対して厳しいことを言う私でさえ仕方ないと思いましたよ。クラスターを出したスポーツジムはステップ2で早々に再開できて、クラスターどころか感染者すら出してないパチンコホールはステップ3ゆえ6月以降も休業しろと言われたのだからたまらない。
何の根拠もなしに命じられたのだから、何の根拠もなくいつまでも解除されない可能性が出てきてしまった。
東京都のホール団体である都遊協(東京都遊技業協同組合)執行部は都に対して説明を求めますが、都側はこれを無視。万策尽きた執行部は総辞職しました。
休業要請に従えと組合員へ通達を出したものの、従い続けるといつ再開できるか分からない。結果として「都遊協の言うとおりにすると店が潰れてしまう」という形になってしまったのですから、辞職は仕方ないでしょう。
都遊協のトップは全日遊連のトップでもある阿部理事長。同氏のホールであるSAPもコロナで客数をごっつり減らしていますし、今は東京都の仕事より全日の仕事を優先したいというのが本音だったかもしれません。
しかし結局こんな御時世に組合のトップなどという汚れ役をやりたがる人なんておらず、阿部氏は再任されました。都遊協へ文句を言っていたホールは今こそ自分で手を挙げればよかったのにね。
日本政府は、緊張感による緊急対策から、安定感をもたらす緩和へ移行させました。パチンコ業界はこれからもクラスターを発生させぬよう努力を続けます。そこで後半は「客を減らす感染対策と客を増やす感染対策」について考えます。
この記事はブログへも転載予定です。
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