日本一売れてる車 ノートePOWERに乗ってみた
おことわり
評価は個人の感想であります。
とても売れている車ですけど辛辣に書きました。
実際に乗ってる人を腐すものではありません。所有している方、気に入っている方は、読まずに閉じていただければ幸いです。購入を検討している方は記事を丸ごと信用せず、試乗やレンタルをして吟味して下さい。
……と、ここまで書いて、カー雑誌が褒め言葉だけなの分かったわ。メーカーからの圧力以前の問題として、気に入って買った人を腐しかねないんだね、厳しいレビューというのは。
書き辛い。
外観(エクステリア)
正面の写真。
いかにも今の日産車フェイス。というか今の日本車か。大きめのグリルにシルバーのメッキ。青い縁取りは「ePOWER」の証かな?
これ、日産エンブレムの上部分までグリルにしたら、雷型でクラウンっぽくなるかも。
インテリア
あ、これは安っぽい。
良い意味でチープなのではなく、リアルに安っぽい。
昔の軽自動車的。
1200ccのクルマと考えれば許容できなくもないけど、ノートは2000ccあたりまでの車種をカバーしている以上、この安っぽさはキツイっす。
いかにもプラスチックなインパネ回りやダッシュボード。シフトノブ代わりにおもちゃのコマンダーをつけたような感じがもう、ね。ハンドル部分のシルバー装飾も安っぽさに拍車をかけています。
インパネまわりは光沢のある黒いプラスチック。操作系は使いやすいんですけど、テカテカぴかぴかでした。
ただ、シートの座り心地は良かった。黒のファブリックに白をあしらったモノトーンも、ちょっと特別感ありますね。
乗ってみて
寝かせきったフロントガラスと大振りなバックミラーにより、視界は意外と圧迫感ある。
カー雑誌やネットの評判を見ると「広い!」と書いてあるんですよね。確かに5ナンバー枠をフルに使い切る5ドアタイプであり、空間そのものはワゴン車かと思うほど広い。フロントウィンドウも大きく見通しも良いけれど、燃費を稼ぐクルマにありがちな圧迫感はありますよ。
運転を始めて
鏡じゃないバックミラー。
モニターになってるのか!Σ( ̄◇ ̄;)
すごい!未来感ある!Σ( ̄◇ ̄;)
ePOWERがどうこうよりも、まずこのバックミラーの未来感すごかった。そして慣れるまで時間を要しました。私はあまりスピードを出さない方なので後続車に張り付かれがち。バックミラーで確認するたび、強烈な違和感に襲われます。
リアカメラからの映像なので後方の視野角は優れる。しかし室内を見られない。自分を見られないのは、案外気に入らなかった。別にナルシストではありませんけど、バックミラーで自分を見ることってあるじゃん。ない? ないっすか? 鼻毛を抜く時とか。
車庫入れを補助するアラウンドビューモニター機能は、小さい分割画面、しかも解像度が低いため、とても見辛い。車庫入れ時、3分割された画面のどれを見ていいのか迷いました。
ただ、車幅感覚は取りやすい。5ナンバーだからってのもあるだろうけど、取り回しのしやすさは素晴らしかった。
後方の視界
後部座席は高めのヒップポイント。運転席を見下ろす形になっており爽快です。頭、足元ともに余裕あり!
ただ、前席から後席を見るとこんな感じ。
後席の位置を高くした分、前から後ろを見ると視界は狭くなるよね。Cピラー(屋根を支える後ろの柱)に三角のガラスをはめ込んでいるため、悪くなりがちな後方左の視界を確保してあります。
さあ、ePOWER
ePOWERって何なのかと思ってたんですよ。CMでは新次元の電気自動車と言ってるけど、ガソリンを入れないと走らないらしい。
運転し始めてすぐ分かった。プリウスやカムリといったハイブリッドは、まず加速に優れた電気モーターで走る。その後、電気モーター用バッテリーが減ってくると、ガソリンエンジンを回して普通のクルマと同じように走り、充電も行う。加速性能に優れた電気モーターで加速し、伸びのあるガソリンエンジンは高速域を担当します。
ePOWERは常に電気モーターで走る。加速もクルージングも電気モーター。充電が減ったらガソリンエンジンを回し、そのパワーで充電する。つまりノートePOWERのガソリンエンジンは発電専用機関なんですな。ハイブリッドのようにガソリンで直接走ることはない。
電気自動車
外部からの充電のみで走行。
代表は日産リーフ。
プラグインハイブリッドカー(PHV)
外部からの充電で走行。ガソリンでも走れる。
代表は三菱アウトランダー。
ハイブリッドカー
外部からの充電はできない。電気で走行しつつ、切れそうになったらガソリンで直接走行。と同時に発電。
代表はトヨタプリウス。
ePOWER
外部からの充電はできない。電気で走行しつつ、切れそうになったらガソリンで発電。これがノート。
つまりePOWERは、電気モーターとガソリン発電機の役割をキッチリ分けている。役割を分けたことでコストを抑えられるし、壊れにくい。馬鹿でかいバッテリーも不要。
写真ソース→【MOBY】
図を見ると分かるとおり、ぶっちゃけ未来感はあんまないわね。これを電気自動車と言ってしまったら語弊があるし、両方を直接の走行に使うわけじゃないからハイブリッドでもない。
発電機で電気を起こし、それでモーターを回す。発電機の燃料はガソリン。技術的に新しいわけじゃないから、めっちゃ安い。これを「電気自動車の新しい形」と言い切ったところが見事ですわ
ワンペダル走行
走り出した当初はアクセルを離してもそれほど減速せず首をかしげたんですけど、どうやら走行モードがノーマルのままだとePOWERを堪能できないようです。
エコモードにすることでシステムは本領を発揮。
アクセルを緩めた瞬間から強力に減速していきます。
なるほど、これは確かに新体験だ!Σ( ̄◇ ̄;)
画像ソース→【日産自動車公式】
踏み込めばアクセル。緩めればブレーキ。本当に右足だけで発進から停車まで実現できました。「続きは日産のお店で」と言いたいところですけど、ちょっと待てよと。
速度調節のしづらさ
クルマの走行はアクセルとブレーキだけじゃないよね。どちらも踏まない「惰性走行」もある。アクセルもブレーキも踏まない走行時間は結構多いでしょ。燃費を節約する走り方でもある。
この時右足はリラックスするよね。高速道路でたまにアクセルから離し、足首を回してストレッチしたりもしませんか。
ePOWERだと、右足を離した瞬間、いや、少しでも緩めた瞬間からブレーキが掛かり始めるため、惰性走行を行えません。右足をゆるめられず、常に力を入れ続けるため、疲労は蓄積していきます。
カー雑誌などでは「足を左右に動かさないから疲れにくい!」と書いてありますけど、あれは嘘だ。ずっと固定して力を入れ続けねばならず、メチャクチャ疲れますよ。
試乗会のような超短時間ドライブならば分からないけど、1時間も運転すれば足首が、それ以上運転すればふくらはぎが、それぞれ突っ張ってきます。
長時間走ってみて
踏み込んだ際の加速は鋭く、トヨタのアクアあたりと比べると明らかに気持ちいい。シャシーが弱いのか高速域での車両コントロールにやや不安を覚えたけれど、直進安定性そのものは良く、高速道路の80キロクルージングはとても気持ちよかった。
ただ、燃費は高速道路で明らかに悪化します。
カムリハイブリッドは4人乗車でリッター20キロを楽々越えたのに、ノートePOWERは1人乗車で16キロほどでした。街乗りでは19キロでした。
比較的カタログスペックに近い数値を出す私ですけど、ePOWERは勝手が違うのか、スコアは全く伸びませんでした。いくら真夏でエアコンをガンガンかけたとはいえ、半分以下とは驚くばかり。
加速は素早いので、ストップ&ゴーを繰り返すJC08モード試験にマッチしたクルマなんでしょうね。
金沢から福井、福井市内から永平寺、永平寺からさらに奥へと、高速道路や山間の道を走行して痛感したのは、「エコモードを切って、普通にアクセルとブレーキを使った方が走りやすい」という、悲しくつまらない現実でした。
ePOWER欲しい?
室内は広いし、5ナンバーサイズゆえ取り回しもしやすい。バックモニターでの車庫入れや、使いやすい可倒式のトランクルームもある。
人と物を運ぶ点に絞り考えれば理想的なクルマであり、道具として素晴らしいパッケージングと言えます。徹底して現実的なツールであり、そこに未来感ある小技をちりばめている。
未来ではなく、未来感。
そう、未来感はある。
ノートは悪いクルマかと問われれば、そもそも今の日本車で悪いクルマなんて存在しない。2018年上半期で最も売れたクルマであり、50年にも及ぶ日産の念願であった販売ランキング首位を叶えたクルマでもある。悪いわけない。「これでいいじゃん」の集大成といっても過言じゃない。
ただ、自分の活用方法にマッチするかを問うた時、私にノートePOWERは不要かなという結論に達します。高速走行を多用しますから、ちょっと厳しいな。
ソース→【日産自動車】
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