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好きな小説4

一応、ベストテンということなので、続けます。
川上未映子は評判が良かったので、まず、読んでみようと読んだのが、彼女の「すべての真夜中の恋人たち」でした。ほーっと思って大好きになった。

かの小説は性的な接触が苦手な女性の恋愛の話だ。性的接触が、一生なかったり、遠のいている人は私の観察では結構多いと思う。
昔、小学生のころ公園で性器を見せつけられて、性が怖くなった女性の話を読んだ。
その程度のことって思ったけど、人ってホント弱いのだって思った。当事者の気持ちはほんとわからない。どんな背景があるかもわからないし。でも、ひとは、私も簡単にその程度のことって言ってしまいがちだ。

訳ありなふたりはデートする。男は色々と経歴をうそで固めている。
それでも、切実なふたりは愛を深め合うが、決して結ばれず別れてしまう。

立場や境遇で共に歩めない人で、どうしても忘れられない人を人は持つことがあるかもしれない。それが、真夜中の恋人なんかなって、甘く思った。

男性と性的に接触できないというのは彼女のテーマのひとつで、芥川賞をもらった「乳と卵」の長編版である「夏物語」ではセックスができない女性が
子供がどうしてもほしくなり、生殖医療の力を借りようと色々な人の間をさまよう話だ。

その過程で誰知らぬ人の精子をもらって生まれたことで、親のエゴに傷つけられて苦悩する人たちに出会う。
自分の精子をばらまく怒りに満ちた男に会う。そして、自分の家族の苦悩について思い至る。

シングルマザーで娘を育てる姉とその娘のつらさ。それが前作の豊胸手術に固執する姉と反抗する娘の性への恨みつらみがみえる。そして、その後の親子の確執。女性にとって性は、子供を生むことにつながる大きなことなんだなって思うと、性をこばむことの意味が見えてくるかなって思う。この2作は私の中で今生きている女性の生き様を感じさせる話だ。

一応、ベストテンで書き出したのだが、やっと9作目かな。もう少しダラダラ話にお付き合い願います。

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