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クリスマスイブは、若い男子が初めてのお泊まりに来てくれました。

タイトルから、ワカメの婚外恋愛をご想起くださった皆さん、ありがとうございます。いつまでも乙女でいたいと、私も願っています。

さて、クリスマスイブのお客様は若い男子。といっても小学校6年生のT君。大学の先輩の息子さんであり、子供たちの大好きなお友達がであるT君がクリスマスイブにやってくることになった。本当は、先輩も一緒に来るはずだったのだけど雪やら仕事の都合でかなわず、山梨の甲府駅からあずさに乗ってはるばるT君一人で来てくれたので、新宿駅の到着ホームまでお迎えに行ってキャッチ。長い髪をしたT君は中性的な空気をまとっていて、子供ながらに雰囲気がある。そこから電車と徒歩で我が家にお連れした。

子育てをするまでは、「子供はみんな子供でしょう、一様に騒がしくて訳わからない人たち」、って一括りにして捉えてしまっていたのだけど、実はいろんな子供がいることにこの10年で気がついた。大人も色々な人がいるのと同じように、小さい頃から子供っていうのはかなり個性が表れている。いや、むしろ大人より剥き出しだから多様性があるかもしれない。

T君は、私の周りでは普段見かけない、野球と純文学好きの少年だった。美術や建築に詳しいご両親の影響もあるのかもしれない。「風が吹けば桶屋が儲かる」っていう言葉の意味をT君が息子に説明するときに「本質的には、『こじ付け』ってことだよ」と言い抜くような鋭さを持ちながら、野球を始めると楽しくなって大はしゃぎする可愛らしさを持ち合わせている。胸キュンだ。

T君は昼過ぎに到着し、日が出ている間は近所の公園で子供たちと野球をして、晩御飯はおでんを一緒に食べた。

おでんを食べながら、T君がうちのキッズに「君たちも純文学を読んだ方がいいよ」と言ってくれたおかげでだいぶいい刺激が入った。我が家の子供たちはドラえもんと東大王とYouTubeのトライアングルを無限ループしているのだけど、翌日は図書館で星新一を借りていたし。星新一が純文学なのかはわからないけど、細かいことはこの際どうでもいい。

今年のクリスマスケーキは、なんとなく買い忘れてしまった。世のきちんとしたお母様方からしたら、え?そんなことある??って思われそうだけど、そんなことがある。しょっちゅうある。でも毎年こんな感じなので、子供たちも特にケーキにこだわっている様子はなくて「クリスマスにおでん、いいね!今日寒いしねー」と盛り上がってくれている。そして、デザートはゲストのT君が持ってきてくれた信玄餅と、T君のおじいちゃんが作った甘い干し柿をみんなでいただく。信玄餅も干し柿も美味しくて幸せいっぱい。

クリスマスといえばおでん

デザートを食べながら、寝ている間にサンタクロースが来るかどうかを議論する3人の子供たち。

T君は、「サンタクロースに手紙書かないとね」「直前の連絡だったら手紙よりメールがいいんじゃない?」などと提案をする。それを受けて便箋で手紙をサンタクロースに書きはじる子供たち。ドローンなどの欲しいもののリストと、「牛りゅうをどうぞ」(牛乳のこと)などと書いてある。コップに牛乳を入れて、テーブルにおいて。ビスケットはなかったから煎餅を添えていた。

サンタクロースをお迎えする準備が整ったあとは順番にお風呂タイム。うちの子供たちがお風呂に入っている間にT君が、台所にそっと入ってきた。「ねぇねぇ、ワカメさん今夜のサンタどうするるの?」と小声で聞いてくる。え?とドキッとしてしまう私。どうやら、ずっと話を合わせてくれていたらしい。

大人か!!

君のような素敵な男子には、ワカメはきっと同年代だったら相手にもしてもらえなかったと思うから、この年の差でお友達になれて幸せだよ、と思ったけどそんなことを言われてもたぶん気持ちが悪いので黙っておいた。

さて、我が家にサンタクロースがやってくるのかどうか?

これは夫担当なので私はまったく関与していなかったのだけど、無事にクリスマスの朝に3人にサンタクロースが来ていた。プレゼントはカシオのカジュアルな腕時計で、3人ともお揃いのもの。T君の来訪は急に決まったことだったので、晩御飯の後に夫が買いに行ってくれたみたい。夫、かなりのグッジョブ。おおらかに見えて、実は細かい夫も「あの子ならいつ来てもらっても嬉しいねぇ」としみじみ言っていただから頑張りたくなったのだろう。

娘は朝起きて、サンタクロースのためにテーブルにおいておいた牛乳が減っていないのを見て、「他の家でも飲んでお腹がタプタプだったんだね、きっと」と推察していた。面白い。せっかく出しておいたのに減っていなくて寂しそうだったので、飲んでおいてあげれば良かった。来年もおいてくれていたらそうしようと思う。

T君が帰る電車の時間。「君は本当にいつでもうちに泊まりに来ていいからね、早く新宿からウチまでの道のりを覚えるんだよ」、と伝える。新宿駅のホームでハイタッチをして、あずさに乗るのを見届けた。

きっと彼は10年後には才気立った大学生になっているだろうし、その10年後にはどこかの世界で眩しく活躍しているんだろうなあと思う。そしてモテてモテて仕方がないことになるのであろうなあ。クリスマスにいいもの見たなあ。

T君を送り届けて帰宅したのち、サンタクロース担当をねぎらうと、「まるで王子様みたいだったね、彼」という。干し柿を持った王子様、クリスマスにようこそ。また来てね。


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