紙やすりが好き
昨日、彼女のお気に入りの木製の製品に汚れがついてしまった。
檜の匂いのする、大変お気に入りだったので可哀想で、考えた結果、紙やすりで削り取ることにした。
久々に紙やすりを店頭で見て、「うわ、こんなに種類あるんや」て驚いた。
目の粗さで番号がついていて、今回は一番細かいやすりにした。
家に帰ったのが22時すぎで、お風呂に入って、夕食を作って、ビールを飲んで23時。
ホッと一息ついた時に、どうしても紙やすりの事が気になってしまった。疲れているが、チラチラ紙やすりのことを考えてしまう。
久しく忘れていたが、私は紙やすりが大好きだった。
どれくらい好きかというと、
小学校の卒業制作で手作りのオルゴールを作るのだが、その箱が木製で、他の子が彫刻刀で模様を削った後、早々にやすりをかけ、色塗りに入って行く中、
私一人だけ永遠に彫刻刀と紙やすりを永遠ループして、結局完成しなかったくらいだ。
どんなに制作に興味のない男子でも完成させていたから、完成できなかったのは間違いなく私だけだった。
友達の要らなくなった紙やすりを回収して、全てボロボロになるまで削った。
それくらい好きだった。
削るほど丸みが出るのが好きだ。
時間を掛けるほど、自分の好きな曲線や表面になっていく。
今思うと、不思議少年すぎるな、と思いつつ、今も全然変わっていなくて、やすりをかけながらクスリと笑ってしまった。
10分くらい集中していたら、ほぼ汚れがなくなった。
私は水彩画も好きで、少しずつ色を足して行く感覚が好きなのだけども、
やすりも同じで、力加減を意識して場所によって強弱をつけて削って行くと丸みや滑らかな凹凸ができて好きだ。
仕上げに周りの色と同じになるよう、全体も軽くかけて出来上がり。
すごく感謝された。
まさかこんな所で自分の趣味(性癖?)が役に立つとは。
よく考えると、和食の煮込み料理なども、少しずつ味を加えて行く感覚があって好きだ。
のんびり屋なので、少しずつ、微妙な変化を加えて行くのが楽しいのかもしれない。
秋の、ゆっくりと紅葉のグラデーションになっていく様も好きだったから
「ああ、なるほど」
と思った。
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