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東京ドームシティに思い出を『ピン留め』する。”音楽”への想い、そして最新技術との調和【enXross HACKATHON 参加者インタビューvol.3「enits」】

皆さん、こんにちは。
enXross 事務局の野中です。

enXross HACKATHON」では、全93チームから選ばれたファイナリスト10組による最終プレゼンテーションが行われました。
ハッカソン参加者にフォーカスを当て、決勝に選ばれた日本チーム全6組、そして奨励ピッチの優勝チーム1組、計7組のインタビュー記事をお送りしております!

 第三回は、enXross HACKATHON 決勝ピッチ ファイナリストの「enits」です!プロジェクトマネージャーとしてチームを率いた多田 努来真(タダ ドラマ)さんにお話を伺いました。

「皆いつも以上に『本気』を出してきたなと感じました」

「enXross HACKATHONは、作品のレベルが高い」と参加者は口を揃える。多田さんが語るのは、enXross HACKATHONと、他のハッカソンの特異点。そして、東京ドームシティを開発者として見た際の気づきだ。

―――(多田さん)enXross HACKATHONに参加して、技術領域がXR専門の大規模ハッカソンだったと感じました。他のXRハッカソンにも参加したことがありますが、ここまで大規模なイベントはあまり経験がありません。

そして、今回はXRの同窓会のような感じで知っているエンジニアが多かったのですが、大きな舞台だと「皆いつも以上に本気を出してきたな」と感じました。参加者それぞれが、これまで他のハッカソンで出した作品よりもさらにしっかりと作り込み、プレゼンテーションまで完璧に仕上げていました。

このように作り込むことができた理由としては、今回は開発期間が比較的長く、じっくり取り組むことができたというのがあったと思います。さらに、スポンサーによる支援や、賞金額の大きさもモチベーションとなりました。

東京ドームシティを改めて見た際の気づきとしては、私が普段が行っているイベントに比べてお客さんの種類がすごい多様だなと思いましたね。
これまで東京ドームシティのイベントに何回か行ったことがありましたが、今回改めて、日によってイベントが変わってたり、店舗も結構バラバラだったり。そして、子供からご年齢が上の方まで年齢層がすごく幅広いと感じました。あと、5万人もの人が毎日のように野球場に集まるのは凄いですね。

このように東京ドームはイベントで集客するタイプの商業施設で、日頃から様々な目的で人が訪れていると感じていていたので、東京ドームシティに来た人の「思い出」をテーマにしたいというのを前提として考えていました。

多田さん(左側)と、決勝ピッチでプレゼンターを務めた杉浦さん(右側)

「音楽×最新技術で瞬間の心情を世界に残したい」

音楽と最新技術(ARや生成AI)を組み合わせて、目に見えない「思い出」を可視化することにチャレンジした多田さん。enXross HACKATHON ファイナリストとして高い評価を受けた「ALVAS」に込めた思いと背景を紐解く。

―――(多田さん)「ALVAS」は、その場所・その時の感情に基づいた音楽を生成AIで作成してシェアできるSNSで、東京ドームの思い出を音楽として残すことができるアプリです。

「ALVAS」の根幹である”音楽”には思い入れがあります。私は大学時代からジャズをやっていて、ずっと音楽に携わってきました。コロナ禍でクリエイターの稼ぎが厳しくなった際には、クリエイターを補助するような仕組み作りに取組んでいたこともありました。

なのでenXrossに出場するとなった時、東京ドームに訪れる人の「思い出」と「音楽」を組み合わせたいと考えました。加えて、生成AIやXRという「最新技術」についてもずっとキャッチアップしていたので、それら全部を組み合わせて最終的なカタチとしました。

「ALVAS」のアピールポイントは、一般的に文字や画像中心となりがちなSNSの共感を超えて、音楽の力を活用することで更に一段深い部分に踏み込むことにあります。共感を得るという点は同じですが、投稿者が見せたいコトへの共感だけではなく、「非言語的な心情」を音楽を通して可視化することで、閲覧者が投稿者の本心を理解できるようにすることを目指しました。
その為にも、「目に見えない『思い出』を可視化する」というプロダクトコンセプトを掲げ、人がどう体験し、どの感情を引き出すとより感動するのかを探求する仕組みを加えました。これにより、ユーザーの内面を可視化し、より深い共感を生むプロダクトを目指しました。

さらには、自分の持ち味を活かして、国境を越えてALVASが愛されるように「全体のUI/UXの最適化」を重視しました。誰でも説明がなくても理解しやすいUI/UXを実現するため、デザイナーと協力して細部まで詰めました。文字入力を極力減らし、直感的に操作できるように工夫しました。
将来的には、国内だけでなく海外を含めた幅広いユーザー層に、それぞれが良いと感じる場所で利用してほしいと考えています。

以上が、私が「ALVAS」に込めた思いとその背景です。

ALVASでできること➀:「街にある音楽を探して楽しむ」
音楽再生時は音楽をループさせたり、歌詞を見ながら音楽を聴くことができる
ALVASでできること➁:「音楽を生成・シェアする」
その場所・その時のあなただけのオリジナルミュージックが生成・シェアされる

東京ドームシティから世界へ広がるプラットフォームへ。

海外を含めた幅広いユーザー層に対して、東京ドームシティを越え、それぞれが良いと感じる場所で利用してもらうことを目指す多田さん。
XR業界の成長を感じながらも、まだまだ課題も残されているという。


―――(多田さん)XR業界のコミュニティは、5〜6年前は本当に小さくて、皆んながお互いを知っているような状況でした。それが、少しずつメンバーが増えて、皆んなでこのコミュニティを押し上げていける感じになって、今回のenXross HACKATHONのようなプロジェクトに取り組む機会も増えてきました。

そんなコミュニティの成長と共に、「ポケモンGO」や「XREAL ARグラス」、「Apple Vision Pro」などの定期的なヒットの機会はありましたが、XR業界にはまだまだ課題が残されています。例えば依然としてコンテンツの作成が難しいことや、マネタイズが課題となっています。

そこで我々は、開発者と利用者の双方が課題を感じることなく、マネタイズし易いXRプラットフォームを作ることを目指しています。
今回「ALVAS」において、費用面では運用費を抑えられるようにインフラ構成を工夫しています。また収益面では、企業と提携してプラットフォームに上にコンテンツを載せてもらい広告収益を得る、という方法も考えています。

これからも様々なアイデアを活用し、XRがビジネスと親和性の高い成熟した業界へ成長していけるよう、挑戦を続けていきたいと思います。

インタビュー・テキスト by野中康平・町田貴芳・木村亮
enXross HACKATHON、最終プレゼンテーション前の「enits」チーム(多田さん撮影)

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