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"仮想世界"と垣根のない交流。東京ドームシティで体験する新たな『生活空間』【enXross HACKATHON 参加者インタビュー vol.6「WeaverseLab」】

皆さん、こんにちは。
enXross 事務局の野中です。

enXross HACKATHON」では、全93チームから選ばれたファイナリスト10組による最終プレゼンテーションが行われました。 ハッカソン参加者にフォーカスを当て、決勝に選ばれた日本チーム全6組、そして奨励ピッチの優勝チーム1組、計7組のインタビュー記事をお送りしております!

第六回は、enXross HACKATHON 決勝ピッチにて 「優秀賞」を受賞しました「WeaverseLab」です!作品である「WeavedCity」は、決勝選出チームで唯一のメタバース作品として注目を集めました。今回、決勝ピッチでプレゼンターを務めたN-JELLYさんにお話を伺いました。

「WeavedCity」は、東京ドームシティのデジタルサイネージを通じて
メタバース空間と現実世界の交流を実現する

「メタバースの住人」を巻き込みながら生み出す、新たな価値

元々メタバース上で出会った友達同士という、メタバース専門家の四人が集ったチーム「WeaverseLab」。デジタルサイネージを用いることで「東京ドームシティの来場者」と「メタバース利用者」が、空間を越えて垣根無く交流することができる作品「WeavedCity」を披露した。普段なじみがない人も多いメタバースについて、改めてメタバースの特徴と、メタバースと東京ドームシティを掛け合わせることで生まれる価値について聞いた。

―――(N-JELLYさん)メタバースの特徴としては、現実世界よりも気軽に他者と交流を持つことができる、交流中心なところですね。メタバースのプラットフォームで交流している人たちが沢山いて、そこで暮らしているような人達も一定数いるんですね。そういった「メタバースの住人」を巻き込みながら新たな価値を生み出すことができるという意味で、コミュニケーション的な要素が強いと考えています。

我々のチームが出した作品「WeavedCity」では、東京ドームシティに設置されている全てのデジタルサイネージをメタバース上の同じ空間に繋げることで、その中を「メタバースの住人」が自由に行き来することができます。「WeavedCity」を通じて「東京ドームシティの来場者」と「メタバースの住人」がコミュニケーション取ることができたり、メタバースの中から来場者に場内の案内をしたり、さらにはステージパフォーマンスをしたり、ということができるようになります。

エンタメの聖地である東京ドームシティとコラボレーションするメリットとして、メタバースの住人に興味関心を抱いてもらい易くなると考えています。ひいてはメタバース空間の住人にも多種多様な楽しみ方をしていただければと思います。具体的には来場者がメタバースの住人と一緒に、ジェットコースターに乗ったり、飲食店でご飯を食べたり、ゲームセンターで遊んだりして楽しむことができます。このような体験が提供できる施設というのは限られていると思います。

また東京ドームシティへ行きたい人から見ても、メタバースと組み合わせることで、アクセスがし易くなるというメリットがあります。メタバース空間では、現実世界とは比べられないほど簡単に国境を越えた交流ができたり、日頃なかなか東京ドームシティに行きたくても行けないような方々にも東京ドームシティを楽しんでいたくことができたりします。日本の裏側の国から遊びに来る、といった面白いことが起こるのではないでしょうか。

「WeavedCity」は、空間改変の自由度が高いという特徴がある、
ソーシャルVRプラットフォーム「Resonite」をベースとしている

「enXross HACATHONで触れた周りの技術者の考えに刺激を受けて自分の考えをブラッシュアップできた」

XRという先端技術の分野において、大規模なハッカソンイベントの機会はなかなか無いという。このenXross HACKATHONというイベントが、技術者にとってどのようなメリットがあったのか。実力を発揮できる場、評価される場、交流の場、この3点がポイントだと、N-JELLYさんは語る。

―――(N-JELLYさん)enXross HACKATHONはXR業界で最大規模の賞金を提供してくれました。XRの様なまだまだ開発が必要とされるような分野に、この規模の賞金がついたケースは、これまでなかったと思います。
それにXR業界は会社としてというよりも、個人のデザイナーが作家性を発揮しながら発信していることが多いので、そういう方々の発表の場として、そしてその成果を実感できる場としても、とても意味のあるものだったと思います。
このように先進的な技術に対してしっかりと賞金が出て、参加者が成果を実感できるような場として、enXrossはXRという範囲に留まらず、日本のIT業界全体にとっても大きな意味を持つと思っています。

enXrossは国内最大のハッカソンとして、技術分野への貢献も計り知れないと思います。一参加者の目線からですが、他の参加者の技術者としての考えに刺激を受けて、自分の考えをブラッシュアップできたという経験は、クリエイターとしての成長という意味でも大きいです。

さらには他の参加者と繋がりを持ちながら意見交換もできて、大変ありがたい機会となりました。Discord上でのコミュニケーションもそうですし、決勝ピッチ当日のレセプションパーティーの後に2次会を開いたりしたんですけど、そこで話が盛り上がりましたね。普段どういうことをしているのか、Discordでは話しきれなかった面白いと思っていること、モチベーションなどを話合うことができてすごく刺激になりました。

メタバース上のアバターと現実世界の人が、サイネージを通してコミュケーションを取る様子。
両方の世界をシームレスに繋ぐ「見せ方」には苦労したという

目指す未来は、"人間"と"3Dアバター"の『共同生活』

今回、優秀賞受賞という見事な結果を残した「WeavedCity」。今後は東京ドームとコラボしながら事業化を目指していくことが期待される。事業化の先にある「WeavedCity」の理想形、そして最後にメタバース普及を目指す中でN-JELLYさんが考えている"使命"とは。

―――(N-JELLYさん)将来的には、「WeavedCity」でリアルの景色の中をアバターが歩いているという状態にしたいんです。今はサイネージに限定して現実と繋がっていますが、もし空間全体がメタバースと繋がっている状態になると、本当に2つの空間が重なると考えています。メタバース上の東京ドームの入口に立ったら、リアルの東京ドームの入口にもそのアバターがいるという状態になります。そしてメタバースの中でも、リアルの人がその場所にいたら、メタバース上でもその場所にいるように見えるという風になれば、ほんとうに差がなくなるんですよね。

私がよく見るSF小説で、サイボーグと人間の見分けがつかなくなって、サイボーグが人間に溶け込んで生活しているというのがあるんですけど、私が想像する未来はそういうアバターがリアルの人と同じように生活をしていて、そういえばあの人はアバターだったね、みたいな感覚になるのが良いなと思っています。

我々の最終な目標としては、この世界観を全人類に体験していただいて、その利点を享受していただきたいというところなんですが、じゃあ今すぐ皆さんゲーミングパソコンを買って、VRヘッドセットを買って、このプラットフォームに来てくださいと言っても、当然無理な話なんです。

なのでまずは我々が、メタバースというものについて皆さんの意識的な抵抗がなくなるような、実は日常的に何気なく触れていた技術たちの裏側にはメタバースがあったんだと無意識に恩恵を享受する状況を作らなければいけないと思っているんですよね。そうするとVRはヘッドセットを被らないといけないので、今回の作品のように現実と絡めることで現実に生きる方との接点が増えていけばと考えています。

インタビュー・テキスト by野中康平・木村亮
enXross HACKATHON 決勝ピッチでは、VRヘッドセットを使用しながら
スクリーン上の3Dアバターが実際に同じ動きをする演出を行った


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