多様な専門性を強みにデジタル導入を支援、フィジカルとデジタルのかけ合わせで生まれる新しい価値 ―enXross 2nd協賛企業インタビュー・GlobalLogic
皆さん、こんにちは。
enXross事務局です。
日本最大級のエンターテインメントシティ・東京ドームシティを舞台に、デジタル技術を活用した経済圏創出や、お客さまの感動体験アップデートの実現を目指すプロジェクトenXross(エンクロス)。
今年はXR(クロスリアリティ)をテーマに、2024年7月4日にトークセッションや企業展示などのイベントが行われ、盛況のうちに幕を閉じました。
enXrossプラチナスポンサーであるGlobalLogic。
2021年に日立グループに加わったシリコンバレー発の企業で、誰もが知っている世界有数のトップブランドのDXを推進してきた実績がある、デジタルエンジニアリング業界のリーディングカンパニーです。
そのGlobalLogicの中で、価値の源泉とも言える戦略デザインをリードする専門チーム「Method」の責任者であるTimothy Moreyさんに、Methodが提供する支援と、エンターテインメントとテクノロジーの可能性について、お聞きしました。
顧客と近い距離でともに考え、提案する「デジタルエンジニアリング・パートナー」
― GlobalLogicさんはシリコンバレー発の企業として、現在は日立グループに参画しています。会社の特徴や強みを教えてください。
Timさん GlobalLogicは24年前にテクノロジーカンパニーとして発足し、世界中でデジタルソリューションを提供しています。現在では3万2000人を超える組織に成長しましたが、発足当時はDX(デジタル・トランスフォーメーション)という概念も浸透しておらず、そうした環境でソフトウェアのエンジニアリングを主軸にしてきたことが私たちのDNAとなっています。
発足からしばらくの時期を成長のウェーブ1とすると、ウェーブ2は2010年代に訪れました。この頃にはデジタライゼーションという概念が社会に広がり始め、業務へのデジタル活用も始まりました。GlobalLogicはどのようなかたちでデジタル導入をするのが最適なのか、お客様の「デジタルエンジニアリング・パートナー」として、コンサルテーションを重視しながら、デザイン主導の提案を行うことで成長してきました。
現在ではウェーブ3として、AIやデータを活用しながら、既存のアセットを使ってお客様がどう事業やビジネスを成長させていくか、一緒に考え、提案させていただくことを重視しています。
私たちの特徴は大きく2つあります。
まず、お客様との距離の近さです。サービス提供の際には、お客様を外から見るだけでなく、自分たちがお客様の立場にいたらどうか、どういう形で、どういうものが見えているかを認識し、どうやって成長していくのがベストかを考えながら、提案を進めます。
そして、3万人を超える組織でありながら、アジャイルな姿勢を貫いているところも特徴です。テクノロジーの発展は年々加速していますが、技術の進化に、機敏に、柔軟性をもって適応できている点が成長力の源泉だと考えています。
多様な専門性をもつメンバーが共創し、唯一無二のプロダクト・サービスをつくり上げる
― デザイン主導でデジタル導入を進める点が強みの一つということですが、Timさんが責任者を務めているデザインラボ・Methodについて教えてください。
Timさん Methodを説明するとき、私たちは「デジタルプロダクト・コンサルタンシー」という表現を使っています。日本語では、デジタルのプロダクト・サービスをつくるときの相談相手、といったニュアンスでしょうか。
Methodはデザインラボですが、デザイナーだけで構成された組織ではありません。組織のうち3分の1はデザイナーで、残りの3分の1はプロダクトマネジメントを担うプロダクトストラテジスト、そしてもう3分の1がエンジニアです。異なるスキルをもった職種のコラボレーションによって、私たちの提供するサービス、「Methodのマジック」が実現されるのです。
一般的に、デザインという言葉には、色彩や形状といったイメージがあると思います。ただ、デザインという概念全体で見るとそれはごく一部で、デザインが生み出す価値の根幹は、それが実際にどう機能するか、という点にあるとMethodは考えています。
例えばMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス、移動に関するサービス)は、ソフトウェアと移動の融合がコンセプトですが、今現在存在していないサービスであるともいえます。
MaaSがあることで人々や街がどんな恩恵を受けるか、実現にはどんなビジネスモデルやテクノロジーが必要か、ということまで考える必要があります。これがデザインという営みの一部であり、デザイナーやソフトウェア開発者、アーキテクトといったさまざまな職種が1つのチームになって取り組まなければいけないのです。
これを実現するために、私たちは、プロダクト・サービスを開発するサイクルのできるだけ上流の部分から入らせていただき、全ての過程に伴走することを大切にしています。
― つくり上げるものがどんな機能を発揮するか、人や社会にどんな影響を与えるかまで考えることがデザインということなのですね。
Timさん はい。私たちはこれまでに、銀行のシステムや航空券のチケット予約など、すでにある機能の開発を行ってきましたが、既存のものをよりよいかたちにしてお客様に提供することに加え、お客様のプロダクト・サービスを唯一無二のスペシャルなものにすること、という2つを同時に実現することを目的にしています。
そのためには、多様なスキル、タレントをもった人財のかけ合わせが必要で、そうした人財が存在するMethodだからこそ、これが可能だと考えています。
― 多様なメンバーのコラボレーションに加え、顧客との対話も重要になるかと思いますが、コミュニケーションの観点でMethodさんが大切にしていることは何ですか。
Timさん Methodのデザイナー、ストラテジスト、エンジニアは、それぞれ異なる専門教育やレッスンを受けてきています。皆、世界の見え方自体が違っていて、こうした人財がお互いにコミュニケーションを取りながら新しいものをつくっていくということは、とてもチャレンジングなことです。
異なるスキルをもつ人財が協力して新しいものをつくっていくとき、まず必要になるのが他者の視点をリスペクトする謙虚さです。
リスペクトを前提に、コンフリクト(衝突)することも、時にはプラスに働きます。多様な人財が意見をぶつけ合うことで、結果としてよりよいものをつくることにつながります。他者へのリスペクトを払いつつ、ディスカッションを続けていく。こういったコミュニケーションの意識をMethodとして重視しています。
積み重ねてきた歴史にデジタル技術を重ね合わせることで生まれる可能性
― 今回のenXrossはXR(クロスリアリティ)をテーマにしました。今後、東京ドームがその魅力をより発揮していくためにはどんなことが必要か、ご意見をお聞かせください。
Timさん 東京ドームさんは、ユーザーにフィジカルな体験を提供することで成功してきた歴史をもつ企業だと理解しています。
デジタル技術の活用に際しては、フィジカルな体験に対して「新しいレイヤー」を追加するイメージをもっていただくのがいいのではないかと思います。
東京ドームが提供してきた対面でのサービスの上にデジタルという新しいレイヤーが乗り、データの利活用なども加えることで、ユーザーだけでなく、従業員や会場のスタッフに対してもその体験をよりパーソナルな、質の高いものに昇華できるはずです。
例えば、ラスベガスにあるsphere(スフィア)という体験型の商業施設は、フィジカルな体験にデジタルを追加し、よりよいものにするという代表的な事例です。また、アーティストのABBAは、ステージで自分たちのアバターを駆使したパフォーマンスを行い、エンターテインメント×テクノロジーという観点で革新的なアプローチの1つです。さらに、Meow Wolf(ミャオウルフ)というアート集団はデジタルを活用した体験型の展覧会等を開いたりしています。
個人的に、今一番面白いと思う技術は、VRです。東京ドームが提供するスポーツイベントやアーティストのライブなどの体験型イベントを、AR、VRを使ってその場にいない人にも届けるといったことが今後の可能性として考えられるのではないでしょうか。
― ABBAは非常にキャリアの長いアーティストですし、東京ドームも長い歴史があります。歴史あるものとデジタルとのかけ合わせは新しい価値を生みそうですね。
Timさん おっしゃる通りだと思います。
人間は物理的な生き物で、五感があり、場所に対して知覚、感覚があります。東京ドームは、多くの人から「場」という要素を強く認識されてきた施設だったかと思いますが、今後はその「場」にデジタルというレイヤーを乗せ、サービスを提供できる範囲をどんどん広げていく、かつ、さまざまなコンテンツとのかけ合わせを図ることで面白いものが生まれるのではないかと考えています。
― デジタルを重ねることで東京ドームという場にはいろいろな可能性が生まれそうですね。本日はありがとうございました。
GlobalLogicの昨年の記事はこちらから:
「子どもから大人まで、全世代のよりよい暮らしのためにweb3を実装する」
東京ドームシティの新プロジェクトenXrossについてはhttps://www.tokyo-dome.co.jp/enxross/をご覧ください!
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