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東京ドーム"らしさ"てんこ盛り、技術てんこ盛りの「感動体験」。実直に、足を運んで高めた解像度【enXross HACKATHON 参加者インタビューvol.5「mouri45」】

皆さん、こんにちは。
enXross 事務局の野中です。

enXross HACKATHON」では、全93チームから選ばれたファイナリスト10組による最終プレゼンテーションが行われました。 ハッカソン参加者にフォーカスを当て、決勝に選ばれた日本チーム全6組、そして奨励ピッチの優勝チーム1組、計7組のインタビュー記事をお送りしております!

第五回は、enXross HACKATHON 決勝にてパートナー特別賞 「Immersal 賞」を受賞しました「mouri45」です!今回一人での参加にもかかわらず、コンテンツ盛りだくさんの作品を披露しました毛利 真克さんにお話を伺いました。

3Dキャラがツアーガイドとなり、東京ドームシティを歩きながら案内してくれるアプリだ。
各スポットでは、東京ドームシティにちなんだARアトラクションが用意されている

「期間の長いハッカソンで十分時間を使うことができたので、やれることはやった、やり切ったみたいな感覚はあります」

東京ドームシティをうまく活用したコンテンツの豊富さ、加えて各コンテンツのクオリティの高さも非常に際立っていた「東京ドームシティドリームジャーニー」。3週間程の開発期間の内、2日に1回にあたる10日間も東京ドームシティに通い詰めたという。

―――(毛利さん)enXross HACKATHON Day1の時は、東京ドームシティの範囲がよく分からないというのがあって、とにかく場内を歩き回りましたね。一回歩いてみて、看板に書いてある領域が東京ドームシティなんだというのを把握できて。そしてDay1中間発表の後にもう一回外に出て行って、カメラをかざして歩き回って、東京ドームの裏側の方とかも行ったりして。とにかくその日は情報収集して、どういう場所があるのかというところをまずはインプットしました。

作品の軸が「ツアーガイド」だったので、まずは一生懸命東京ドームシティのことを調べて、ガイドの内容を考えることを頑張りました。東京ドームシティは魅力的なスポットが沢山あったので、黄色いビルのエリアから東京ドームのエリアまでずっとキャラクターが喋りっぱなしなぐらい、しっかりガイドのコンテンツを作り込むことができましたね。

また、開発の過程で少しでも作品に集中してもらえる様な素材を集めるのに苦労しました。今回気づいたのですが東京ドームシティは人通りが多く、開発に利用する素材映像を撮影する際にプライバシーの観点などからも通行人が映りこまない様に日の出の前後の時間帯に行って動画を撮ろうとしたのですが。やはりそれでもちょこちょこは人がいらっしゃったりしたので。コンテンツにしっかり集中して見てもらうためにも、余計な情報がまざっていない素材を作るのに苦労しました。

他には「ARコンサート」というコンテンツは、東京ドームホテル最上階にあるアーティストカフェまで行って作業しないと正確な位置が取れなかったということはありましたね。開発環境上の場合と実際動かしてみた場合で全然位置が違ったとかあるので。アーティストカフェに何回も通って作業させていただきました(一応、店側の許可は得ています)。平日の昼など空いている時間を狙いながらも、申し訳なく思いながら作業したりしましたね。

人の写り込みに配慮し、撮影は日の出前後から開始
何度も通ったという、東京ドームホテル最上階のアーティストカフェの夜景

「今回のハッカソンでは、『技術てんこ盛り』で作れたんですよね」

毛利さんにとってハッカソンは、新しい技術を検証したり、一気にやる気を出して作品を創り上げる機会として貴重な機会であるという。エンジニアとして長い経歴を持つ毛利さんは、コンテンツのあらゆるところに「技術」を組み入れていた。特に一番のこだわりは「キャラクターが隣に一緒にいる感覚」だ。

―――(毛利さん)これまで様々なハッカソンに出場してきましたが、私はエンジニアなので「新しい技術を検証する」ことが一つの目的としてあります。決勝ピッチでは一瞬スライドを出しただけでしたが、実際は技術てんこ盛りで作れたんですよね。そういう意味ですごく得たものが多く良い経験だったと思います。

今回スポンサーであるImmersalさんとNiantic, Inc.さんからVPS(画像情報を利用した位置特定システム)を提供いただきましたが、分からない部分は運営者(技術サポーター)に聞ける環境が整っていて、両方の特徴をしっかり理解しながら使うことができました。

作品の中で一番こだわったところは、「キャラクターの所作」です。以前からガイドが「一緒にいる」という感覚が大事だと思っていました。具体的にはツアーガイドのコンテンツで、ちゃんとキャラクターが話しかけてくれたり、利用者のこと気かけていたり、といったところです。

キャラクターがしゃべる声は声優さんにお願いしたんですけど、その声があることによって非常にキャラクターがキャラクターたらしめて、実際に存在してるかのように見えます。あとは首の向きであったり、影をつけたりというところも工夫しました。

このように、ガイドをしてもらう中で情報だけ提供されるのではなくて、「キャラクターが一緒にいて、そのキャラクターが案内してくれてるんだ」というツアーガイドとしての形を創る点に、一番こだわりを持ちました。

『技術てんこ盛り』で作れたという毛利さん、最新技術が盛りだくさんだ

「今の需要に答えるだけでなく、先の『未来』に貢献すること」

広大かつ沢山の人が集まる東京ドームシティという舞台で、開発時の苦労がありながらも、XR技術を盛り込みながら、沢山のワクワクを体験できる作品となった「東京ドームシティ ドリームジャーニー」。毛利さんのXRに対する情熱の根源は、「XR普及による未来への貢献」にある。

―――(毛利さん)私はどちらかというとARに関心を持っていますが、ARという市場はまだまだ日本で成熟していないので、豊富に仕事がある未来はまだ遠いと感じています。XR業界を盛り上げるという意味で、例えば、このツアーガイドのサービスが市場に受け入れられ、そこが一つの市場になっていくことが重要だと考えています。

現状では、ARコンテンツは簡単に表示できるような軽いものの方が注目されやすいですが、私としてはARが社会に浸透して社会実装が進むことで初めて本当のAR市場が生まれていくのではないかなと。

ARが社会に浸透するには、デバイスの進化も必要だと考えています。今は情報媒体としてスマホやパソコンを使っていて、ARを含むXR体験は目を覆うヘッドマウントディスプレイを使ったり、スマホでかざしたりというレベルです。将来的にこれがコンタクトレンズサイズやメガネサイズまで小型化されてくると、間違いなく新しい市場ができます。

このように、市場性・ビジネス性がありつつも未来の技術であると感じていますが、私自身の仕事で社会貢献できるところを考えた時に「今の需要に答えるだけでなく、先の未来に貢献したい」という想いがあるので、これからもXR業界に貢献していきたいと思います。

インタビュー・テキスト by野中康平・木村亮
決勝ピッチでは、迫力のある演出で会場を大いに盛り上げた

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