「Japan Six Sheet Award 2023」にて銀賞を受賞いたしました
初めまして。エンビジョンに在籍している加藤元太朗です。
この度、僕が制作した作品が、「第11回ジャパンシックスシートアワード 一般公募部門」にて、銀賞を受賞いたしました。
このアワードは、屋外広告のクリエイティブ賞として、 日本における屋外広告、シックスシートフォーマット(タテ1755mm ×ヨコ1185mm)での表現技術の向上を目的として、2012年よりスタートしたものです。
僕にとって、今回がジャパンシックスシートアワードへの初応募でした。これまでに数々のデザイン関連の広告賞に応募してきましたが、今回念願の受賞を果たすことができました。素敵な機会をくださった協賛企業の皆様、主催者であるエムシードゥコー様に心から感謝申し上げます。
さて、ここからは今回応募した作品の制作工程やアイデア出しについてご紹介します。制作中に実践したことや感じたことを整理も兼ねて、僕なりの思考プロセスを言語化してお伝えします。
このnoteが、デザイン系広告賞への挑戦を考えている方々にとって、少しでも参考なる部分があれば嬉しいです。
全体の制作工程
今回の制作は、大きく分けて下記のSTEP.1〜4の流れに沿って進めました。アイデア出しの段階ではSTEP.2と3を繰り返し、納得のいくものが出てくるまで熟考しています。
STEP.1:課題選び
今回の募集では、八つの協賛企業からさまざまな課題が提供されていました。初期段階では、これらの課題を1つに絞ることなく、「面白そう」と感じた複数課題に対してアプローチしました。制作途中で納得いかず断念したものもありますが、最終的にアウトプットとして納得して形にできたのは、プロバスケットボールチーム 千葉ジェッツふなばし様の課題でした。
課題選択のポイントは、兼ねてより「スポーツ関係の広告を作ってみたい」という理由からです。「作品を作りたい」という想いから取り組めるのは、コンペだからできることだと思います。
STEP.2:下調べ・情報収集
まずは現地調査からスタートしました。
バス停広告を含む様々なOOH※広告を日常的に目にしてはいましたが、普段バスを利用しない僕にとって、これらはあまり親しみのない媒体でした。そこで、実際に広告が掲載されているバス停の実地調査を行い、近くを歩く人達の様子や現場感を肌で感じ取りました。
次に、課題に関する徹底したリサーチを行いました。
具体的には、「バスケットボールの魅力とは何か?」「バスケ観戦の楽しさとは?」「千葉ジェッツとはどのようなチームか?」「バスケを観戦したことがない人はどのような人か?」など、頭に浮かぶあらゆる疑問に対して、徹底的に調査し、資料を集めました。
STEP.3:アイデア出し
STEP.2で集めた情報から要素を抽出し、書き出しながら連想ゲームをするようにアイデア出しを行いました。考えているだけでは忘れてしまうので、どんなキーワードや抽象的な形、文章など何でも良いので思いつくことをメモをするようにしています。
物事を深く考える際には、思考が行き詰まることがあると思います。無理に「考える」ことを続けると、しばしば「考えているつもり」の状態に陥りがちです。この「考えているつもり」でいるときに浮かぶ言葉や絵が曖昧で、腑に落ちないものや筋道の通らない考えが多くなると感じます。
コンペに限らず、僕のクリエイティブ経験から学んだ個人的な教訓は、本当に「考えている」時と「考えているつもり」の自分の状態を客観的に見分けることです。「考えているつもり」の状態に陥った時は、脳が「ギュー」と緊張する感覚がある時で、それが休憩を取るべきサインだと捉えています。そうした時は、考えることを一旦放置して、全く異なることをして気分転換を図っています。
アイデア出しの方法は人それぞれだと思いますが、僕はジェームス W.ヤングの「アイデアの作り方」という本に書かれている方法を参考にしています。
STEP.4:具現化
STEP.2と3を繰り返した後、そこから生まれたアイデアを基にイラストを描き進めました。
今回のイラストでは「観る人の距離感」を特に意識しました。遠くから歩いている人や、広告を遠目で見る人が「何だろう」と関心を持つよう、視覚的な引きを意識しています。一方で、バス停で待っているような近距離で見る人に対しては、詳細を伝えることに重点を置きました。
しかし、コピー文に関しては最後まで大いに悩みました。思いついたコピーを次々にレイアウトしてみた後、時間を置いて再度見直し、必要な修正を加えるというプロセスを何度も繰り返しました。最終的には、自分の中で特に気に入った案を会社のメンバーや家族にも見せ、印象や意見を聞いた上で、作品の仕上げを行いました。
おわりに
普段の業務でのアイデア出しとアプローチは同じでも、今回のようなデザインコンペは細かな制約がなく、自由に表現できる点が楽しみであり、クリエイティブな思考のトレーニングにもなると感じています。
結果として、想いを込めた作品が評価してもらえると、冥利に尽きますし、僕自身のクリエイティブに対するモチベーションや自信にも繋がりました。
今後も表彰台の1番上を目指しながら、挑戦を続けていこうと思います!
2024/2/21:追記
1月下旬から2月上旬まで、受賞した作品が実際に東京・千葉のバス停に掲載されました。赤のインパクトもあり、強く印象に残る広告となっていました。
●執筆:デザイナー 加藤元太朗
●編集:カシマ
●エンビジョン公式X