「MBTIに科学的根拠はないのか」 京大生が割と真面目に調べてみた
昨今流行し、SNSのプロフィールに記載されることの増えてきたMBTI。
今回はこのMBTIの科学的妥当性について調査し議論していきたいと思います。
まずは、調べる前に私が持っていた印象について。
正直に言いますが、「なんかうさんくさいかな」と思っていました。
その理由は後述するとして、この「うさんくさい」というのも私の主観に過ぎず、実は非常に合理性の高いテストである可能性もあるわけです。
その妥当性が気になってしまい夜も8時間しか眠れない時期が続いたため、こうしてまとめるに至りました。
では、順を追って見ていくことにします。
そもそもMBTIとは
まずMBTIとはどういったものなのか。
Wikipediaを参照すると以下のようにあります。
うーん。この「疑似科学的な」という文言が非常に気になってしまいます。この疑似科学についても調べてみると、
なるほど。Wikipediaを参考にすると「MBTIは科学的根拠に基づいていない」と言えてしまいそうです。
…とは言いつつも、流石にWikipediaだけで判断するのは少々調査不足の感が否めないので、根本にあるユング理論について概観を掴むために「ユングの生涯」を読んでみました。
ここではユングの精神科医としての経験等から理論が形作られたことが示唆されています。(非常に読みやすく良い本でした)
内向-外向の概念を初めて提唱したのがユングである等々、ユング自体の功績は疑うことはできませんし、現代の性格分析、心理学の発展に寄与した偉大な学者であったことは間違いありません。
しかし、現代科学の手法から見た合理性という観点から見ると、その理論自体が科学的検証に耐え得るものとは言えないのかもしれません。
16PersonalitiesとMBTIは別物だった?
16Personalities公式にて依拠している理論や、その理念について丁寧な記載があります。
このページの"Our Approach"の項目にどのような理論を用いてテストが構成されているのかが書かれています。
一言で言えば、
「ユングの理論とMBTIのいいとこ取りをして、Big5の理論も組み込んだよ」といった感じでしょうか。
もっと細かく言えば、MBTIで使用されていた記法(INFJみたいなの)を使用しつつ、現代の性格分析の理論の中で最も科学的根拠があると言われているBig5の理論を組み込んでいるということみたいです。
どのようにBig5の理論が組み込まれているのかについては、具体的な記載がありませんでした。
とりあえずは、MBTIに科学的に有力であるBig5の理論を組み込んだものが16Personalitiesであるが故に、MBTIが科学的ではなかったとしても16Personalitiesもそうであるとは限らない
という言い方が無難でしょうか。
公式による評価
テストの妥当性については公式で調査されていました。Google Scholarでも16Personalityについて調べている論文を探してみたのですが、数が少ないように感じました。
英語版のみを参考にした調査ではありますが、日本のテストにおいても参考に値すると思われますので、結果を要約すると、
・質問に重複はない
・期間を空けて(6ヶ月程度まで)実施しても同じ結果を得られる
・複数要素に関連し得るような質問はない
ということ。
つまり、分類自体の妥当性については見受けられませんでしたが、少なくともテスト自体の完成度は高いと言えるようです。
結論
16Personalityが科学的に正しく分類されているかについて調べてきました。
結論としては、明確に正しいとする根拠も間違っているという根拠もないということになりそうです。
つまり、自己理解の参考にはなるかもしれないが、完全に信頼できる類のものではないということ。
やや自分の勉強不足感が否めないので、もう少し学んでから意見をまとめ直す必要があるなと感じました。
参考文献
1.ユングの生涯
2.Gifts Differing: Understanding Personality Type
3.Our Framework | 16Personalities
4.Reliability and Validity | 16Personalities