ふしぎなこと
その8 ふしぎなこと 2004年11月up
30ン年も生きていると、不思議な経験の一つや二つはあるものである。
実家に泥棒が入ったとき、遠く北海道のホテルにいた私の所に虫の知らせが届いたことがある。
夜中、ドアをがちゃがちゃと鳴らす音がしたのに、廊下には誰もいない・・・。翌日、実家に電話をかけて「何かなかった?」と聞いたときの母の声は忘れられない。
「泥棒が入ったのよ。でもどうしてそんなこと聞くの?」
思い出すたびに鳥肌が立つ。幸い、店のレジから小銭程度を盗まれただけで、家族には何もなかったのだけど。
もうひとつ。今から9年ほど前、岩手県遠野の河童ぶちを訪れたときのこと。文字通り、河童伝説が有名で、自然のままの流れが美しいところ。まさか、河童には会えないよねえなどと冗談を言い合いつつ、川辺を散歩していると、小さなほこらがあるのに気がついた。
中をのぞいてびっくり!てっきり河童様をお祀りしているのかと思いきや(たぶん最初はそうだったのでしょう)、ひとりのおじさんの写真がべたべたと貼ってあった。顔を見合わせて巨大な「?」を頭に浮かべていたそのとき、当のご本人に声をかけられて2度びっくり。
そのおじさんは、ほこらの写真そのままに、にこにこと話しかけてきた。(ごめんなさい。方言はうろ覚えで正しくないと思います)
「東京から来たんかい?」
「あ、はい」(本当は埼玉だけど、まあ、そっちの方ということで)
するとおじさんは、急に声を張り上げて
「東京には、皇居もある、小和田雅子さんもいる(ご成婚前だった)、そんないい所から、こんなへんぴな所へ、ようこそ!」
そして、驚く私たちに、こう付け加えたのだ。
「あんたの所へは、男の子が生まれなさる」
結婚して4年。生活の安定は今ひとつだけど、そろそろ子供もいいよねと言ってはいた。けれどもこの時は、「まさかね」と言う感じだった。
が!帰ってすぐに妊娠が発覚。十月十日で生まれてきたのが、長男である。冗談みたいだけど、ホントの話。
そして、もっともっと不思議に思っていること。それは、私のおなかに10ヶ月もいて、私から生まれてきたくせに、子供たちが私以外の人の特徴を備えていること。長男は、私の祖父に、次男は夫の父親によく似ている。
ちょっと見る限り、私には全く似ていない長男。ママ友達に「誰に似てるの?」と聞かれるたびに「仏間の写真」と答えていたのだが、似ているのは見た目だけはない。
長男は(親が言うのもなんだけど)学年でも結構字がうまい方で、しかも書いた文字をやたらと枠で囲いたがる。そんなところは祖父そっくり。
祖父が遺したアルバム類には達筆なタイトルが貼付してあり、必ずフリーハンドの枠がついている。
次男は(まだ3歳なのに)両手を体の前で組むのが癖で、その組み方は今は亡き夫の父にそっくりである。食べることが大好きで、酒の肴に目がないところまで。
かくいう私も父によく似ていて、幼少のころ道ばたで知らないおばさんに、「あなた、○さんとこの子でしょ!」と、断定された経験がある。
遺伝子のなせるわざと言ってしまえばそれまでだけど、実感として、不思議。本当に不思議。
※※※これは2004年11月に書いた文章です。ご了承くださいませ^^;※※※