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父が亡くなっても三姉妹で集まることにしています

月に一回、父の元に三姉妹で集まることにしていた。

母が亡くなってからのことで、人はみな死んでしまうのだという至極当然なことに改めて思い至り、少しでも父に会っておきたいと始めたことだった。

寿司や蕎麦をとり、美味しいと評判の菓子を持ち寄り、たあいないおしゃべりをしたり、漢字クイズで盛り上がったり。
父は健啖家であり博識でもあった。

昔と比べ、食べ方はゆっくりに、文字は弱々しくなったけれど、寿司は一人前ぺろりと食べたし、土瀝青(アスファルト)を正確に読んで、私たちを驚かせてくれた。

ある日、「お父さんは何が一番うれしい?」と聞いたら
「姉妹三人揃っていること」と笑った。
私たちも笑った。「そんな当たり前のこと?」と。

父が亡くなって一年半、私たちは変わらず月に一回集まってお昼を食べる。
仏壇に手を合わせ、たあいないおしゃべりをする。
気の置けない、かけがえのない時間である。

「お母さん、三姉妹に産んでくれてありがとう。でかした!」という文章を「ひととき」に載せていただいてから13年。父も母も亡くなってしまったけれど、妹たちとの時間をこれからも、可能な限りずっと大切にしていきたいと思う。

2024年6月 朝日新聞 ひととき欄 ボツ投稿


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