決意の数だけ何度も見つけて|NightOwl『Flight in the Storm』 横浜ベイホール
言葉にした途端、なにか大事なものが消えてしまうんじゃないか。
NightOwlへの想いが強まっていくほどに、そんな不安や怖さがあって、そっと筆を取る手を止めてしまっていました。
でも、記憶が消えてしまうことのほうが怖くて。
横浜ベイホールで観た彼女たちの笑顔、ファンの笑顔が忘れられないから、その記憶を少しでも鮮明なうちに、言葉に残しておくことにしました。
公演中にメモを取っていたわけではなく、忘れっぽい性格でもあるので、記憶違いなところがあるかと思います。また、今回もきっと嘉那推しとしての視点が多いです。
長くなりますが、温かい目で読んでいただけると嬉しいです。
未完成な翼で飛んできた7ヶ月間
11月4日に開催された、横浜ベイホールでのワンマンライブ『Flight in the Storm』を振り返る前に、触れずにはいられないのが、4月6日に恵比寿リキッドルームで行われた『夜夢夜夢祭ツアー ファイナル』のこと。
2ヶ月で全国9都市を回るツアーを経て、メンバーとファンが垣根を越えた仲間となり、満員御礼、涙と笑顔の大成功を収めた公演でした。
長い夜を越え、黎明を迎えたNightOwlはこのまま勢いに乗って……!と思っていたのですが、移り変わりの激しいアイドル業界。順風満帆に進んでこられたとは言えないと思います。5月にあった大阪のサーキットフェス・MAWALOOPでは2日目、FANJtwiceのトリを満員で締め括るといった勢いがありましたが、夏以降、グループとして伸び悩む日々を過ごしてきました。
事務所の方針があったのかもしれませんが、アイドルが一年で一番の盛り上がりを見せる夏に、大型フェスイベントに一切出られなかった。それが全てではなく、どのライブも大切に違いないですが、悔しさ、やるせなさを漏らすメンバーやファンもいて。なかなか手応えを感じられない期間だったと思います。
転機を迎えたのは、2ndフルアルバム『dawn.』のリリースが発表されてから。4年ぶりとなるフルアルバムの発売に合わせ、7月から10月までの間、東京、大阪、仙台、埼玉、福岡の5都市でリリースイベントを行いました。
その間に並行して、横浜ベイホールに向けて一人でも多くの仲間を増やしたいという思いから、NightOwl主催対バンツアー『Bite the Night Tour』も開催。仙台、東京、愛知、福岡、大阪の5都市で、同じ時代を切磋琢磨するアイドルグループとの対バンに挑みました。
リリースイベントは、全国各地の人々と交流を深め、屋外イベントでは写真・動画撮影を許可するなどの新しい試みで、リアルでもSNSでも、NightOwlのことを知ってもらうきっかけを広く作れるように。
対バンツアーは9月8日の仙台公演から始まったのですが、先にライブを行った2組の熱さに刺激を受け、それに負けじと4人のパフォーマンスが昂るライブに。また、このツアーでも、1公演1曲のみ動画撮影を可能にするという、新しいチャレンジを仕掛けました。
この日印象的だったのが、最後に披露した『黎明』。ツアー初日に駆けつけたファンへの想いや、活動に対する希望や不安の両方から、涙を流しながら懸命に届けてくれた凛音ちゃん。ほか3人の眼差しも「やってやるぞ」と言わんばかりの鋭さで。横浜ベイホールに向けて、武者修行的なツアーでもあるのだと、仙台を皮切りに覚悟を感じました。
その後の4公演も、出演グループのライブを時間が許す限り鑑賞し、自分たちにないものを吸収し、心に火を灯したまま自らのライブに昇華して。対バンならではの闘志燃えるツアーでした。
各公演のアフタームービーはこちら。
リリースイベントや対バンツアー以外にも、様々なライブに出演していたのですが、横浜ベイホール前最後のライブに触れておきたくて。
10月30日、大阪のMusic Club JANUSで行われた『環状線メリーゴーランド2024』。横浜ベイホ前になぜ大阪なのかという声も耳に挟みましたが、私はライブを実際に観て、大阪でやることに意味があったと思いました。
その日最後に歌った曲は『Shining Ray』。「大阪で知ってくれてる人も多いと思うけど、一緒に歌ってくれますか?」との呼びかけに、フロアが全力で応えます。その結果、平日の夜とは思えないぐらいの声量が響き渡りました。
そしてステージから捌ける前に、「大阪のみんなにパワーをもらった。ありがとう。行ってきます!」と伊桜ちゃん。横浜に来てくださいと懇願するのではなく、感謝の言葉と“行ってきます”を伝えてくれるのは、NightOwlのホームである大阪を信頼してくれている証だなと。大阪の人間として、心にくるものがありました。
夜にかかる虹を待ち焦がれて|横浜ベイホール
そして迎えた、11月4日。
横浜ベイホールの扉を開けると、メンバーの歴代衣装が出迎えてくれました。身長が合わせられたトルソーに、1stから6thまで、メンバー自ら大切に着せてくれた衣装たちが並びます。
彼女たちの汗や涙はもちろん、ファンの思い出も染み込んだ衣装の展示というサプライズに、ライブが始まる前から胸が熱くなりました。
そして今回も、開場前に有志のファンが集まり集合写真を撮影。ベイホールの看板と晴れた空の青が、鮮やかに共鳴していました。
その後まもなく開場し、ライブが始まるのを待っていると、あっという間にフロアが人で埋め尽くされました。
嵐が去るまで歌い続けよう|Flight in the Storm〜Beyond the Night
いよいよ開演。羽ばたく梟のバックドロップを背に、この一夜のために結成されたバンドメンバーが登場。バンドセット用に作られた荘厳なSEを奏で始めます。
楽器の生音に導かれ、NightOwlの4人がそれぞれ登場。白く煌びやかな、真新しい衣装を身に纏って。会場内は歓声に包まれます。
力強いギターの音から始まった1曲目は、この公演の表題でもある『Flight in the Storm』。梟の目つきに匹敵するほどの鋭い眼差しが、この夜にかけてきた4人の想いを物語っていました。
この曲は一曲丸々、メンバーの嘉那ちゃんが振付を担当。毎晩夜中までダンスのヒントを探し続け、様々なグループのライブに通い、個人でダンスレッスンも受講し、新しいNightOwlのためにできることを全て捧げ、こだわり抜いた振付。初手からギアを上げる嘉那ちゃんのダンスに、ほかの3人も食らいつきます。
熱を帯びたのはダンスだけでなく、伊桜ちゃんを筆頭に歌声のパワーもどんどんと増していき、まさに嵐の中での飛行を思わせるもの。この時点で、「バンドサウンドに負けてしまわないか」という考えは杞憂となっていました。
続く2曲目は、NightOwlのキラーチューンでもある初期曲『Feel Alive』。
イントロからファンの唸るようなMIXが会場内を轟かせます。前回のリキッドルームでの声がとても大きかったのですが、それを優に上回る声量で、ステージにいる全員を圧倒します。
そんなファンの熱量に悪戯な笑みを溢した伊桜ちゃん。さらに火が付いたのか、歌声を力強く掻き鳴らします。メンバー、バンド、ファンの全てが全身全霊で挑んだFeel Aliveは、2曲目にしてフロアを熱気で包み込みました。
3曲目は、『Daybreak』。この曲は音楽の美しさもさることながら、梟が羽ばたくような振付と構成が印象的。Daybreakは英語で「夜明け」を意味し、今年発表された楽曲『黎明』に加え、2ndフルアルバムのタイトル『dawn.』も同じく夜明けを意味します。つまり、NightOwlは4年前から夜明けを目指して羽ばたいてきたということ。
ほかの曲に比べて低めのキーということもあり、とくに憧ちゃん、凛音ちゃんが等身大の自分を吐露するような表現も好きなポイントです。
「君の手を引いて連れてゆくから」と伸ばす手の力強さから、夜明けを迎えた今、さらなる高みへファンを連れてゆくという決意を思わせてくれて。
そして4曲目、『暁闇』。伊桜ちゃんの歌声が鳴ると同時に、フロアがどよめきます。各楽器の高い演奏技術を要するこの楽曲は、バンドセットで聴けることを楽しみにしていたファンも相当多かったようで。メンバーだけでなく、楽器隊の真剣な表情にも音楽へのプライドを感じました。
間奏では楽器の音に操られるかのように、4人が踊り狂います。死の中に生を感じる、NightOwlの楽曲で唯一無二の奇妙な感覚を味わう瞬間。間奏を終え、凛音ちゃんの吐息混じる歌声、伊桜ちゃんの力強くも儚げな高音。暁闇という世界観に入り込んだ二人の表現力は圧巻でした。
5曲目はガラリと表情を変え、ファン人気の高い『incubate』が流れます。
「それでいいんだよ そのまま ありのままの君で」の言葉のように、メンバーのアイドル活動だけに限らず、聴く人それぞれの生き方にも寄り添ってくれる、共感できる歌詞であることが、人気の理由の一つなのかなと。4人で向かい合い円陣を作る振付で、お互いを確かめ合うような優しい表情が愛おしくて。
incubateのように、1stフルアルバム『Dear, Night』の収録曲は、嘉那ちゃんがNightOwl加入前にレコーディング、リリースされた曲で、ソロでの歌割りがない曲がほとんど。そのことについて彼女に尋ねたことがあるのですが、「歌割りはメンバーだけじゃなく、ファンにとっても特別で大切なものだから、誰かの歌割りを貰いたいとは思わない。自分はその分ダンスで届ける」と伝えてくれました。初期曲に推しの歌割りがなく寂しさを感じていた自分が、いかに浅はかだったかと気付かされ、その日から真新しい気持ちで彼女のダンスを受け取れるようになったのを覚えています。
そして6曲目に届けてくれたのは、『Beyond the Night』。この曲はセットリストの終盤に入ってくると思っていたため、序盤での登場に意表を突かれました。後から振り返り、次に続く曲のことを考えればとても腑に落ちますが。
Beyond the Nightは、メンバーの心情が鮮明に伝わってくる曲。今回はS、A、B、C、カメラとエリア分けされた会場でしたが、エリアの垣根を越えるようにして、自分の推しをグッと支えるようなメンバーコール、そしてペンライトの光が束を成して輝いていました。
中盤のシンガロングは、ファンの力量の見せどころ。会場を揺らすほどの声圧に、メンバーは驚きと嬉しさの表情を見せてくれます。これこそがライブの醍醐味だと、私も嬉しくなりました。
君の声が満天の星となり|After the Rain〜Shining Ray
6曲を連続で終え、ここでようやくMCが入ります。
ライブに夢中であまり記憶が定かではないのですが、初のバンドセットであること、新衣装のポイントなどを話していた気がします。
そして、ここで新曲『After the Rain』への曲振りが。
メンバーの足元をスモークが霧のように覆っていき、視覚的にも楽曲の世界観を匂わせます。バンドサウンドの勢いに乗って、嘉那ちゃんから始まり、それぞれが歌に想いを込めていきます。満員で成功を収めた恵比寿リキッドルームワンマンからの、順風満帆とは言えなかった日々や、アイドルグループとして6年目を迎えた活動に対する葛藤。Flight in the Stormとの2部作ということもあり、雨風に打たれたからこそ見られた景色がそこにはありました。
一人ひとりの夜に寄り添ってきた、NightOwlの楽曲で初めて登場した「虹」という言葉。夜明けを迎え、嵐を越えた彼女たちは、「寄り添うだけじゃない 連れていくから」と、断言してくれました。Daybreakリリース時から伝えてくれていた約束を果たしてくれたのです。
この曲はメロディラインの音程やリズムが特殊で難しく、歌唱の技術が求められるものだと思っています。歌って踊るアイドル。自分のパートを丁寧に歌い上げる様子から、6年目にアイドルの原点に帰り、歌うことに真っ直ぐ向き合ってきた期間だったのではないかと感じさせられました。
終盤で、メンバー同士顔を見つめ合い、微笑み合う姿から、「キラキラ光る 君の声」はファンだけではなく、メンバーという大切な仲間に宛てた言葉でもあるのではと、想像を巡らせました。
そして、「もっと盛り上がれますか」との煽りと一緒に始まった8曲目は『Be the one』。そのまま音を繋ぐようにして『ヨルウタゲ』が流れ、NightOwlの中でも踊って声を出して楽しめる2曲が続きます。
Be the oneでの「オイオイ」という掛け声は、NightOwlと対バンをすることも多い東京のアイドルグループ・Finallyのファンが発案したもの。ファンから偶然生まれた遊びが、ライブの定番と化したのです。フロアのあり方に一つの正解はきっと存在せず、どんなライブの見方もその人自身の正解だと思います。ただ、ライブが楽しくて思わず声を出してしまうような、そんなワクワクする熱量に勝るものはないのではないでしょうか。
ヨルウタゲは、嘉那ちゃんと振付師のALISAさんが、全国のお祭りを調べ上げてインスピレーションを受け、振付を制作した楽曲。会場中が体を揺らし、恵比寿リキッドルームとはまた違った、横浜ベイホールならではのお祭りが出来上がっていました。
そんなお祭り騒ぎから一変、次に披露したのは『宵々夜』と『melt blue』の2曲。180度表情を変え、大人で色気あるNightOwlを魅せてくれます。このタイミングで、一度バンドメンバーは舞台袖へ。
宵々夜は、NightOwlの中でも女性らしさを活かした振付が特徴の一曲。夜を重ねるごとに味わい深くなる曲だと感じていて、今の彼女たちだからこそ引き出せる魅力に溢れていると思います。
曲の最後、「今夜は、目離さんとってな」と色っぽく語りかけた嘉那ちゃん。あまりの不意打ちに思考停止。
その酔いが覚める間もなく、melt blueへ。バンドセットということで今回はセットリストから外されると思っていたのですが、思わぬサプライズに心躍ります。melt blueがリリースされたのは2022年。ステージを重ね、キャリアを重ね、あの頃よりもっと熟成されたNightOwlが作る世界は格別です。セットリストの中でこうした緩急がつけられるようになったのも、楽曲が十分に増えた証だなと。
大人なNightOwlの余韻に浸ってると、嘉那ちゃんの口から「次の曲に行く前に。私たちは可愛いとか好きとか、ちゃんと言われたいタイプです」との曲振りが。フロアから黄色い声が上がり、そして始まる『渡羽』。あの瞬間、誰もが嘉那ちゃんの虜になっていたのではないでしょうか……。
ここで再びバンドメンバーがステージへ。
後に話を聞いたところ、ベイホでのライブ直前にプロデューサーから「アイドルらしさをプラスして」とのオーダーがあったようで。「可愛い」に振り切ったのは曲振りだけではなく、曲中の歌い方や踊り方、仕草にまで至り、まさにアイドルとしての長谷川嘉那を切り拓いた瞬間でした。
そして、凛音ちゃんの「いつもよりみんなを近くに感じたいので、一緒に歌ってくれますか?」との呼びかけから『Shining Ray』。
フロアの一人ひとりがボーカルとなり、体中に響くほどの歌声で応えます。その歌声がイヤモニを貫通したのか、それを外して嬉しそうに耳を傾ける様子があったりと、満面の笑みを浮かべるメンバーがとても愛おしかったです。
恵比寿リキッドルームでの満天のShining Rayを超えてしまうとは、一人ひとりの熱量が大きくなっているだけではなく、更に大きな会場で、それだけ仲間が増えたということでもあると思います。
自分を信じて|Shooting Star〜All Night Long
そしてこの場のMCで、NightOwlから重大発表が。
2025年3月から、全国16都市を回る史上最大規模ツアー『宵の光芒』の開催が決定し、ファイナル公演は6月5日、Zepp Shinjukuにて行われるとのこと。
Zepp Shinjukuの言葉を聞いた瞬間、思わず涙が溢れ出しました。近くにいた知り合いと肩を寄せ、抱き合わずにはいられなくて。まだ夢の続きが見られる、もっと大きくて広い景色を彼女たちと目指していける、その約束された未来が心の底から嬉しかったです。
発表後に歌う一曲目は『Shooting Star』。
前回の恵比寿リキッドルームでのライブを締め括った曲。
「約束をしようよ 次に会う時は また最高の笑顔で」
またこうして約束を交わせるということ。未来がある限り、彼女たちが目指す先がある限り、この歌を聴き続けることができる。歌詞や振付の中に隠された今までの楽曲たちが、これまでの思い出も一緒に抱きしめてくれて。
そしてこの曲でも「必ず君を 連れて行くから」と語ってくれています。約束の場所はZepp Shinjukuへと繋がれました。
ここからは、メンバーそれぞれが曲振りを担当。思い思いの言葉を紡いでくれました。
長谷川 嘉那
「次に進めることは嬉しいことだけど、何度も立ち止まりそうになっても、みんながいてくれたから進んでこられた。これからも自分のそばにいる人の幸せを願えるように」
自分のこと、NightOwlのことを、好きでいてもらえるのは当たり前ではないといつも話していた嘉那ちゃん。だからこそ努力し続けるんだと、みんなを幸せにするんだと、そんな思いを込めて届けてくれた『ロンリー・ナイトパレード』。「今度こそ泣かずに歌い切りたい」と溢していた彼女は、ベイホでは最後まで涙を見せませんでした。「歌うのが楽しい」とまでに思えるようになったこと、苦手に向き合ってきた努力の賜物だと思います。
そばにいるよと言わんばかりに、全力のメンバーコール、推しジャン、ペンライトの光で、それぞれのファンが推しに愛を届けます。一人一人が奏でるパレードが一つになった夜。NightOwlをいつから知ったなんて関係ない。あの場にいたみんなが多幸感に包まれた瞬間だったと思います。
雨夜 憧
「今まで、どうしても一歩踏み出すとき、私は手放しに走り出すことが出来なくて。でも、その先の景色を見に行くことは、勇気を出した一歩の先にある。明るい方へ進むには力が必要で、みんなと過ごした日々を思い出して、力に変えて進んでいけるように」
ベイホールまでの期間、何度も個人で配信を行い、自分の思いと向き合い、取り繕うことをせずに考えや思いを話してくれた憧ちゃん。自分のことを話すことはきっと怖いことで、勇気が必要で、それでも涙を流しながらでも、ありのままの自分を見せてくれていました。そんな思いとともに『Dear, Night』のイントロが流れます。
自分と向き合うことで見えてきたみんなのこと。そんなみんなに私は一歩を踏み出すんだと決意表明するかのように、歌に想いを詰め込んでくれました。
「もがいて 描いてく 明日夢見る 僕ら一心同体」
百城 凛音
「NightOwlのファンでいてくれることは、時間やお金をかけてもらってるだけじゃなく、みんなの人生を分けてもらってるということ。だからこそ、みんなのことを幸せにしたい。しんどい夜があったら、うちらが夜明けに連れていきたい」
そんな凛音ちゃんの言葉から始まった『黎明』は、メンバー同士向かい合う円がいつもより小さくて。ぎゅっと互いの肩を寄せ合い、涙ぐみながら4人で大切に歌い上げます。
後からの裏話で「せっかく4人で歌い出しのユニゾンを練習したのに、泣いて歌えんかった」と凛音ちゃん。12年もの間、アイドルを続けるということ。きっと誰よりも、悔しい夜を何度も過ごしてきたんだと思います。
それでもいつもキラキラの笑顔を届けてくれて、NightOwlきっての圧倒的アイドルで。どんな逆境でも持ち前の明るさを絶やさなかったから、凛音ちゃんがアイドルでいてくれたから、NightOwlは夜明けを迎えられたんじゃないかと思います。
横浜ベイホールに溢れた光の海が、凛音ちゃんはじめ4人を包み込むご褒美になれていたらいいな。
折原 伊桜
「人生はいつも選択の連続で、将来のことは誰にも分からなくて、正しい選択はどこにも無いと思います。だけど、どの選択も自分次第で変えていける。どれだけ無茶だと言われても、馬鹿にされても、NightOwlで夢を追うという選択を、あなたたちと正解にしてみせます。人生をかけて歌い続けるので、この先もついてきてください」
そして最後に歌うのは、結成当初から大切に歌い続けてきた始まりの歌、『All Night Long』。
横浜ベイホールでのライブが近づくにつれ、All Night Longに込める伊桜ちゃんの想いも上昇していくのが伝わっていましたが、この日は人生をかけた決意が最大限に込められていたように感じます。彼女はワンマンライブを前に、今まで伏せていたこれまでの人生について明かしていました。
アイドルになるということは、人生の中でも貴重な10代から20代の若い時期を全て捧げるということ。相当の覚悟がないと選択できることではありません。しかもNightOwlでの活動は6年目。先輩も後輩も同期も、何人もの仲間を送り届けてきた背中は、たくましくもどこか寂しく見える瞬間があります。
何が正解か分からない世界でずっと、「自分を信じて」突き進むこと。この日のために、改めて自身の歌の研究に邁進してきたとも。
覚悟を固めたのは伊桜ちゃんだけではありません。凛音ちゃん、憧ちゃん、嘉那ちゃんの歌声、そして拳にもめいっぱいの力が込められていて。初心に返り、真っ直ぐに届ける。歌が持つ力を、この日のAll Night Longから感じさせられました。
そして、割れんばかりの大歓声に包まれ、ステージから退場する4人とバンドメンバー。
光の射す方へ|夜明け前、Living my day
余韻が冷めやらぬうちに、大きな「アンコール」の声が鳴り響きます。最後の声を振り絞り、全員の声が合わさってアンコールの声が最高潮に達したとき、NightOwlとバンドメンバーが再びステージに登場しました。
そして、ギターの音とともに始まった『夜明け前』。フロアの各所から喜びの声が上がります。呼応するかのように、ドラムもベースも明るく元気な音を奏でてくれていました。笑顔なのはファンだけでなく、ステージにいる彼女たちも、バンドメンバーも同様。会場にいるみんなが笑顔となり迎えたアンコール。「光の射す方へ」と指差すほうには、Zepp Shinjukuという明るい未来が約束されている。その事実がたまらなく幸せでした。
NightOwlが最後に届けてくれたのは、『Living my day』。
「living my day 私のため living my day それが君のため」
このライブで伝えたかったことは、この曲に詰まっていたんじゃないかと思います。正解のない世界で、私のために生きるということ。自分自身へのメッセージでもあり、ファンへのメッセージでもあり。
迷いのない目に、優しい表情で歌いかけてくれる彼女たちの顔を見て、NightOwlに出会えて、ここまで付いてきて本当によかったなと。
思うように歩みを進められるグループだったら、もっと楽だったでしょう。でもそうだったら、こんなにも愛せなかったと思います。
嵐の夜があったから、夜明けの空に虹がかかった。
ここまで連れてきてくれてありがとう。
初のバンドセット公演、約20曲もの楽曲を暗譜し、ときには歌詞をともに歌いながら、楽器を掻き鳴らすバンドメンバーの姿。NightOwlへの、楽曲への愛があってこその演奏だと感じました。
次のZepp Shinjuku公演もバンドセットで行うと後に発表され、再び期待が膨らみます。
また、今回も記事を書くにあたり、カメラマンさん、カメコさんの素敵なお写真を多数お借りしました。あの夜にしかない幸せな一瞬一瞬を、写真として残してくださりありがとうございます。
読みづらい箇所も多かったかと思いますが、いちファンのライブレポを最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
近々、NightOwlのライブで会えますように。
Apple Music、Spotify、YouTube Musicのプレイリストはこちら。
『Flight in the Storm』ダイジェストムービーはこちら。
バンドメンバーはこちら。
横浜ベイホールまでの道のり、当日の裏話アーカイブはこちら。
7th衣装の製作についてはこちら。
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