非デザイナーの僕がNEMTUSのロゴデザインをしてみたお話し
はじめまして、初投稿。
ENU(ところによってnao*)と申します。
このたび、NPO法人のNEMTUS様より企業ロゴデザイン提案の機会を頂きまして、そのデザイン製作過程をnoteで記事公開してもよい許可を頂いたので、話題も気持ちも温まっているうちに発信してみたいと思った次第です。
非デザイナー目線での企業ロゴデザインの製作背景をなるべく細かく(13000文字…)説明しているつもりです。
是非これからロゴデザインをしてみようと思ってる方や、デザインに興味のある方に何かしらのきっかけにでもなれれば幸いです。
自己紹介とやる気問題
はじめに軽く自己紹介をさせてください。
タイトルにもある通り、僕は非デザイナーです。ロゴデザインの記事なんて投稿しちゃってますが、普段の仕事はデザインとはまったく関係ない婚礼関係の営業マンしてます。
職業上、カメラや撮影機材などを扱うことは多いので、撮影(特にポートレート)やPhotoshopを使用したレタッチなどの画像を処理するような写真関係では強いと自負しておりますが、何故デザインをやっているかというと「楽しいから」に尽きます。
デザインはすべて自分の感性に従いながらの独学でこなしており、基本的なスキルはあまり(ほとんど)備わっていません。
ですので、NEMTUS副理事長のねむぐま氏よりロゴ製作のご依頼を頂いた時は、素人デザインクオリティで作ってしまって本当にいいのかなと、クソどん底不安がいっぱいでした。
何故、非デザイナーの僕が、今回このロゴデザインを依頼されたのか、というところですが、それは「副理事長のねむぐま氏と仲良かったから」と「NEMというコミュニティにおいて一定のアピールをしてきたから」だと思います。僕の場合、もちろんプロじゃないので、デザインをする時はこういったコミュニティの活動がきっかけとなって行うものばかりです。(というかそれがほとんどです。)
そんな僕でしたが、「デザイナーじゃないから」「企業ロゴデザインって初めてで」なんて、できなかった時の言いわけも用意しつつも、なんとか今回のプロセスをやり遂げることができたことには心からホッとしています。
極限にビビりながらのデザイン製作でしたが、副理事長ねむぐま氏のバックアップはもちろん、「NEMTUS」という素晴らしい企業ネーミングが背景となる企業思想や目的はデザインで具現化しやすく、僕の頭の中のデザインパズル脳がカチカチと綺麗にはまっていく快感すらあったのを覚えています。
NEMTUS紹介
それでは、NEMTUS様のご紹介から。
NEMTUSはNEMブロックチェーンのコミュニティから生まれた東京都のNPO法人(設立認証申請中)で、コミュニティ内部のNEMとブロックチェーン界隈の高度な技術力を持ち合わせたスペシャリストでメンバー構成されているうえに、NEMのコミュニティならではの暖かさや柔軟さのあるスペシャルな団体です。
NEM技術普及推進会 NEMTUS(東京都生活文化局)
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/houjin/npo_houjin/data/0000001250.html 内の設立・転入認証申請NPO法人一覧に記載されております。
ブロックチェーン技術の先端を走るNEMTUSは、NEM +『〇〇』を創造支援し、これからの新しい時代を担う先駆者として、社会貢献をおこなっていきます。
その活動は多岐に渡り、オープンソースプラットフォーム関連技術をメインとし、NEMブロックチェーンの認知を広める勉強会から、NEMの普及に努めるサービス提案、社会への事業展開を目的としています。
NEMTUS設立時の理事長様のお言葉がありますので是非ご覧ください。
NPO法人NEMTUS設立について(nemlog)
https://nemlog.nem.social/blog/44855
また、NEMTUSが扱うブロックチェーンの「NEM」とは、金銭的な自由、分散化、(機会の)平等主義と公平性、および連帯感の原則に基づき、新しい経済圏の創出を目標としてはじまった暗号資産(暗号通貨)のプロジェクトです。(こちらはクリプトストリームより引用させて頂いてます。)
NEMの詳細な情報は下記のリンクをご覧ください。
NEMブロックチェーンとは?(CryptoStream)
https://www.cryptostream.jp/nem_xem/
企業イメージを集め情報を整理する
今回のロゴデザインのご依頼を頂いた時に、クライアント側からはある程度の方向性のような、下記のビジュアル展望がありました。
副理事長ねむぐま氏「①:出来るだけかっちり!! ②:コミュニティに近いやわらかさもあるといいな!」
ワシ「お、おう!」
というクライアント側からの要望も頭にいれつつ、まずはNEMTUSの企業情報を元として、僕の中で企業イメージをまとめるワードマップ(マインドマップのようなものだけどそうではない。)を作成し、デザインのヒントとなるような言葉やキーワードを整理していきます。
はじめに、NEMTUSという企業についての理解を深めながら、そのイメージを次の内容のように整理していきました。
・高い技術力の提供
NEMブロックチェーンを扱う企業としての役割。ブロックチェーンの高い理解と技術力を合わせ持つNEMTUSは、NEMブロックチェーン導入のメリットを提供し、既存サービスや新サービスの展開に新たな未来のエッセンス(可能性)を加えてくれる。
・先進的な活動
未来的な新技術(一般的に見て)のブロックチェーンを扱う先見の明。NEMTUSはそのブロックチェーン技術を高い水準で先導していく。NEM +『 』を創造支援し、これからの新しい時代を担う先駆者として、NEMのブロックチェーンを通して社会貢献をおこなっていく。
・コミュニティの柔軟性
物事を共有し、NEMの普及という同じ目標に向かって集ったブロックチェーンのスペシャリストであるメンバーと共に、人と人がNEMの技術を通してシームレスに繋がり広がる。
上記のようなNEMTUSの企業イメージをある程度まとめながらワードマップを作成していき、今回のロゴデザインの方向性となるような企業のトーンアンドマナー要素を感じて、言葉やキーワードを選出していきます。
・技術、先進的、未来感(メイン)
・先見、見通し、躍進(サブメイン)
・コミュニティ、暖かさ(アクセント)
まとめた企業イメージから、NEMTUSのロゴデザインでは伝統的で歴史的なデザインではなく、近代以上の未来感のあるデザイン、つまりシンプルに洗練されているデザインでいこうと方向付けができます。
それは高い技術を推進するNEMTUSの先進的なイメージを構築しやすく、そして、クライアントからの第一要望にもあった通り、技術の信頼や誠実さ、真面目さを伝えるような一定のカッチリさもカバーできるため、この方向性をデザインのメインとします。
さらに、コミュニティの暖かさ=アクセントとして取り入れた方向性も同時に考えていきます。
ロゴデザインに進む前に
ロゴデザインにおいては、既視感や意匠権などの大前提はありますが、個人的に製作上で特に大事なことは以下のようなことだと考えています。
・パッと見ただけでも印象に残る
・どのデバイスでも視認性がある
・誰にでも使いやすい
・ロゴの耐久性
・企業のトーンアンドマナーを捉えている
これは、近年のスマホビューやデバイスの普及が後押しとなり、シンプルでミニマリズムなデザイン、どんな背景にも溶け込みやすく誰でも扱いやすい単純化されたロゴが好まれている傾向があり、2020年現在でもデザイントレンドとして確立されております。
ロゴデザインに限るデザイン論ではないのですが、ディーター・ラムスによる「良いデザイン」の十か条をご存知でしょうか。
良いデザインは革新的である。
良いデザインは製品を便利にする。
良いデザインは美しい。
良いデザインは製品を分かりやすくする。
良いデザインは慎み深い。
良いデザインは正直だ。
良いデザインは恒久的だ。
良いデザインは首尾一貫している。
良いデザインは環境に配慮する。
良いデザインは可能な限りデザインをしない。
※wikiページより引用
すべてのデザインに通じる部分があり、この考えはミニマリズムなデザインが好まれる2020年現代でも賛同できるものではないでしょうか。
「良いデザインは可能な限りデザインしない」
必要最低限の要素で可能な限り美しく仕上げる。長らく、僕が目指している(というか個人的に好きな)スタイルであります。
これは「シンプル」という考えとは違います。あくまで、デザインの造形のアウトプットが「シンプル」に偏ることはありますが、そのシンプルさを作りだすことは、おそらく思っている以上に「複雑」に考えなければいけません。
誰もがシンプルミニマルで美しいと感じるロゴほど、実は細かい調整を多くおこなっているものです。
話が逸れました。時を戻そう!
次に、そのロゴデザインの使用シーンを考えていくことも重要です。
1. パッと見た印象はどうか
パッと見ほど大事な要素はないです。美しいか美しくないか。整っているものは美しい。無駄がないものは美しい。分かりやすいものほど美しい。が僕は好みなんですが、クライアントがどこを着地点としているかで、そのパッと見の方向性も変わってくると思います。
2. アイコンやファビコンに適切か
ロゴのデザイン展開、SNSでの展開は当たり前だと思いますが、他にもアプリケーションアイコンやWeb用のファビコンなど使用するには、ロゴが小さくても認識できるものでなければいけません。その際、デバイスにとらわれない視認性も考慮し、必要であればレスポンシブでのロゴデザインを展開します。
4. 誰にでも使いやすいロゴか
デザイナーだけが使えるロゴでは意味がありません。ホームページやSNSでのアイコンイメージ、社員証や提案資料を内部スタッフで作成する際のデザインの統一性など、目指すところは「ロゴさえあればなんとかなる」です。
5. ロゴの耐久性はどうか
僕の場合は、どんな形であろうとも最終的にグリッドデザインで整えていきます。1,2,3,5,8,13,21(1:1.618)のような黄金比や白金比、三分割法などを使えばある程度グッと完成形に勝手に近づきます。そうやって複雑にバランスよくシンプルに整えられたロゴは自然と耐久性があがります。
6. 展開に合わせてのDI要素はあるか
形やカラー、空間や傾きやアクセント、モノグラムなどなんでもいいのですが、事業の変化に合わせてDI(ダイナミックアイデンティティ)の可変的なデザイン要素も考えておきます。ロゴデザインでは、どのようにでも使えるように最初から作っておくことが重要かもしれません。
7. 商品化した際の映えがあるか
よくあるのはTシャツのモックアップなどでしょうか。エコバッグやペットボトルなど、もしその企業が商品化した際に、そのロゴが入った商品は「人を惹きつける」ことができるかどうかという事です。
8. 他のロゴと比べて見劣りしないか
この度のデザインの場合は、NEMなどのブロックチェーンロゴと比べてどうかということろを念頭におきました。アイコン同士が並んだ際などに、自分が作ったロゴだけ悪い意味で「浮いていないか」、いい意味で「目立っているか」、すぐに「見つけられるか」などの要素を考えていきます。
9. トーン・アンド・マナーは的確か
トーンアンドマナーとは、簡単に言えばNEMTUSの雰囲気にあっているかどうかという事です。「NEMTUSらしさ」が伝わるデザインかどうか。企業ごとに伝わるイメージや雰囲気がありますが、そのトンマナはロゴが的確に表現しているかどうかのテストなどを、モックアップなどを使用して行います。
ex. 既視感や意匠権の確認など
大前提ですが、パッと見た時の違和感や既視感など、「どっかで見たな?」という印象を与えては駄目であって、意匠権の確認などは絶対前提条件ですね、言わずもがなですが。
構築した企業イメージをもとに素案をひたすらラフる
さてさて、実作業ではないデザイン持論的な前置きが長くなりすぎて申し訳ないのですが、前述のこれらの考え方無しでは僕のデザインを進めることはできませんので、今回のNEMTUSロゴデザインの設定において大事な事という前提をお伝えしました。
ようやくロゴのデザイン構築へと入っていくのですが、まずはNEMTUSの企業イメージやコンセプトを頭の中で考えながらひたすらラフ案を思いつきでノートに殴り書きしていきました。
イラレでNEMロゴを見つめながら方眼ノートに書き殴り、時には会社のメモ帳に書き殴り、そして時にはお風呂のカガミに書き殴り、さらに時には寝ながら空中に想像で書き殴り、まさに24時間四六時中寝る間際から起きた瞬間まで(割とマジ)NEMTUSの事を考え続けました。
ロゴデザインの素案だけではなく、前述で設定した企業イメージやコンセプト、デザインの方向性を頭の中に刷り込んでいくような感覚で、ブレのないイメージを反復しながらポエムでも伝わる言葉も同時に考えて選んでいきます。
この作業の中で、今回タイプデザインに使用した「NEM+US」などのビビビッとくる展開したキーワードを思いついたりします。
カラーコンセプトを定義
次に、カラーの選定も構築したNEMTUSの企業イメージコンセプトをもとに設定していきました。
メインカラー:262626
真面目さや誠実さ、ブレない堅実さ、そして芯のある柔軟さ。印刷業界の方などはピンとくると思いますが、黒という要素は各色の集合でもあり、すべての色が重なった結果です。後にシンボルデザインでも説明しておりますが、この「重なる」や「交わる」といったキーワードは、NEMTUSの企業コンセプトに使用しております。
サブメインカラー:00B4B4
見通しがよく澄んでいる、未来感や進め感をイメージしたカラーです。この青には、例えば信号機でいう「進め」のような前進のイメージと、海や空のような大きなものに包まれる安心感のような、そんなイメージを含ませています。
アクセントカラー:DC4A3D
コミュニティの活発的な明るさや、NEMの土台を育てる温かさをアクセントとして採用しました。本来のNEMに使用されている真昼のような鮮やかなオレンジではなく、夕焼けのような美しく趣のあるオレンジを採用。メイン、サブメインとのカラーバランスを考慮しております。
カラー設定はデザインにおける企業のインプレッションに極めて重要な要素ですので、カラー設定も、のちのシンボルやタイプデザインの提案資料とまとめて提出するよう作成していきました。
コンセプトに沿った仕掛けを形にしていく
ラフ案でピックアップした案を、いくつかイラストレーターで形にしていきました。初回の提案ではロゴタイプ×1種、シンボル×2種の提案を行いました。
それぞれの提案におけるコンセプトや仕掛けは以下の通りです。
ロゴタイプ提案 ①
タイプデザインではNEMTUSと一緒に歩く「US」、一緒に未来を創る「US」、つまり私たち自身が導き、NEM+US(私たち)で作る新しい未来がより素晴らしい「=」(答え)となるよう想いを乗せて、その先のサービスやテーマをユーザー自身が完成させる理念を前提のもと、僕の考えをロゴタイプデザインへと落とし込みました。
ロゴタイプデザインのベースフォントには "BrandonGrotesque" を元に作成しています。そのプロポーションはもちろん、ゴシック系デザインに加えて角が面取りされており、可読性があがっています。
ロゴタイプデザインはやりすぎもやらなすぎも駄目です。少しのデザインアクセントや引っかかりを残す程度に留め、受け手に「誠実さ」や「先進的」をメインとしつつ、「柔軟さ」といった印象も残していくことを目標にデザインをしていきました。
シンボル提案 ①(第1案)
この(可愛らしい)第一提案のシンボルデザインは「空間」と「答え」をテーマとした案となりました。
NEMTUSが加えた多種多様な色や形が、NEMを通してより素晴らしい「答え」(=)となり、覗きこんだ空間から見える景色は、その象徴やカラーが加え(+)られ新しいアイデアへと発展するよう意味をもたせています。
ロゴ自体にも耐久性と黄金比を兼ね備えたバランスで製作しております。黄金比という言葉はよく聞く言葉であるので説明は不要かと思いますが、黄金比をデザインにあてがうととても良く見える、さすが黄金比あなどれない。
また、「=」の形は皆様ご存知の通り、坂本龍馬の海援隊、そしてそれを目標としたソフトバンクの象徴でもあります。新しい時代の流れを創る先駆者として誇り高い目標を掲げ、そして一歩先の新しい時代を具現化するパワーが満ちております。
シンボル提案 ②(第2案)
第2案シンボルデザインでは、第1案シンボル同様にNEMのシンボルを軸に考えておりますが、こちらは「+」の重なりを重視して作成しました。
NEMTUS設立の言葉にもあるように、ブロックチェーンNEM単体ではなく、そこに何かを重ねる(プラスする)ことで真の力を発揮することを念頭に、様々なサービスや人、コミュニティと重なり交わった結果、プロセスの達成と付属する信頼、共感や想いが再び重なることを意味しています。
イメージは、例えばまず握手をしてお互いの信頼を作り、達成したらその喜びを共感しハイタッチする。はじめとおわり、手を重ねることでプロセスを分かち合い、信頼や結果、つまり「=」が生まれていく。それは、NEMTUSとユーザーが作りあげていく「=」であるはず。
NEMTUSは名前の通りに足し算なんですが、このシンボルデザインは見れば見るほどに引き算でできた単純な造形であり、これ以上ない程に前述のコンセプトを持たせる最短距離で作られた作品であると思いました。
だから、到達しやすい、イメージしやすい、誰もが使いやすい。
こちらもグリッドデザインに使用している線の太さ含めるグリッド円はすべて黄金比の1:1.618で構成しており、角を落としていないことで「鋭さ」や「先進的」「革新的」なイメージを保持しつつ、耐久性の高いロゴへと仕上げています。
ロゴ提案のストーリーを魅力的に作る
クライアントへの提案書にこそ、デザインにおけるトーン・アンド・マナー要素を盛り込みやすいので、自分が考える企業デザインのイメージを伝える良い機会ではないかとも思っています。
また、提案書には意図やアイデアを的確に伝えることができるよう、ストーリー性も持たせていきます。例えば、始めのトップに下記のページのような「ユーザーが答えになることで完成するデザイン」などというポエムを盛り込むことで、ロゴ提案資料ページを見るその時までに「どういう意味か」を考えてながら読み進めてもらうきっかけとストーリーを作り、ロゴデザインの提案を、僕が作った世界に入り込んでもらいながら伝えることができます。
NEM+US
NEMと私たちで作れるもの
NEMと私たちが誇れるもの
NEMで私たちが答えるもの
NEM to EARTH
NEMは可能性を形にできる
NEMとともに近道を歩ける
NEMの上に立つ事で開ける
自分の心にひっかかっていた「NEM+US」の言葉。
NEMTUSはNEMに〇〇を加える(+する)事で動き出します。NEMとわたしたちで何を作っていけるのだろう、どんな道を歩けるのだろう。そして、どんな答え(=)が待っているのだろう。
クライアントの副理事長ねむぐま氏と「どうしてこのロゴデザインになったのか」「+の意味と解釈」そして、ロゴシンボルに「=を押し出す意味」など、NEMTUSのコンセプトや企業方針、今後の展開などを含めて徹底的に熱く語っていきました。
議論を重ねることによって今回のデザインに対して深く共感していただき、さらに「ちゃんなおはNEMTUSの事を一番考えてくれているかも」とフィードバックをもらえて、本当に嬉しく思いました。(彼は僕のことを"ちゃんなお"と呼びますw)
このように、デザイン、コンセプトシートを煮詰めながら、提案資料作成にもロゴ作成の実作業時間同等に時間を使って作りこんでいき、僕もねむぐま氏も納得したうえで、NEMTUSへの提出ができました。
NEMTUS「別な案も見てみたい」
???「よもや一発で通ると思っていたのではあるまいな?」
意気揚々と臨んだロゴデザインの提案資料提出ですが、ストーリーを盛り込んだ提案書の感触は良かった(?)と思うのですが、結果「シンボルは別な案も見てみたい!」の結果に。優しい優しいお断り方法です、僕のガラスハートは砕けやすいのでありがたいです。
割と個人的にはコンセプトがカチッとはまったシンボル第1案、造形や見た目のミニマルさが好みな第2案、どちらもある程度の自信はあったのですが、ビジュアルの「物足りなさ」や「違和感」、そして「既視感」によって、これらのデザインは自然消滅の方向で!!となりました。
何故見送りとなったのかをまとめると、
1. コンセプトを独自に深掘りしすぎたロゴを作ってしまったこと
2. JIN-仁-を観すぎて坂本龍馬に影響されすぎたこと
3. 「日本の夜明けぜよ!!」と頭の中で連呼しすぎたこと
4. 見た目の印象に物足りなさがあったこと
5. とあるNEMのロンのプロダクトとの既視感
まず第1案では、「+」の表現がまどろっこしかったことと、その答えの「=」が主役感が印象付けになり違和感をもたれてしまったこと。コンセプトは間違いなく第1案がビビビッときておりました。そして、その造形はあくまで「未完成」としての完成だとポエムっていました。
はい、その通りです。ポエムなんですよね。
それが大間違いだバカヤロウ!!
〇〇だと思った、〇〇と考えていた、それらは全部僕の勝手な妄想であり、そう見えて欲しいという「願い」でもあったからです。
見る人にとっては何故「=」なのか意味が分からない。何故坂本龍馬で海援隊なのか。コンセプトは確かにNEMTUSの方向性として合っているけど、そのコンセプトを深堀りして自己解釈し続けてた僕は、自分のコンセプトに酔ってしまっていただけであったと気付かせて頂きました。
2案目では、見た目の物足りなさがありました。シンプルだからね…ではなく、物足りなさとシンプルは全然違います。見た人が「物足りない」と思ったら「物足りない」んです。それだけシンボルの造形に想いを乗せられなかった僕の力不足ということですね。いやー、楽しい。
また予想していなかった「既視感」が浮かびあがりました。まさかのNEMのロンの某プロダクトのシンボルデザインはちっとも頭に無かったのですが、実際に見せて頂いたら確かに造形が似ているやも、と。
ここは僕の調査不足で反省ポイントですね。
デザインの製作には当然反対があるのは分かってますし、僕自身が今回のデザイン自体を楽しむことができているため、まぁショックも勿論ありますが、その先のワクワク感もありました。(本当は泣きました。)
でも、ストーリーを持たせた提案書のおかげもり、企業のコンセプトイメージやカラー設定はズレていないからと皆さんにご賛同を頂いておりました。ですので、シンボルの再提案は「コンセプトの切り口を変えた再提案」を考えていきます。
コンセプトの切り口を変えた再提案をする
決定打にならなかったロゴデザインでも、コンセプト自体は逸れていません。再提案にはクライアント側からの要望に応えながら、コンセプトの「切り口」を変えて行います。
より一層深くNEMTUSにおける理解を進めるためにも、デザインに違和感を頂けるということは助言となり、新しいデザインが生まれる事に繋がる嬉しいものであります。
また、このような場合、このロゴは僕だけが作ったものではなく「皆さんも一緒に作ったもの」という自分事として考えてもらうきっかけにもなり、最終的に仕上がったロゴに愛着が沸く設定ともなりえるものです。(ポジティブ。)
企業のコンセプトはそのままに、色や形をただ変えたものではなく、コンセプトを別な角度から見た切り口を再び整えていきます。
再提案 ①(第3案)
NEMを加えた(+)先に 未来(=)を創る。
こちらは先に提案していた第一案と第二案の流れを引き継ぎ、それぞれで課題だった「=の強調<+の強調」と、パッと見の印象付けを強く、当初のクライアントからの要望にあった通り、より先進的に堅実なデザインを目指し製作したものとなります。
シンボルデザインは、動的に右上がりで交錯する二本の線の重なりを「+」として表現しました。
NEMTUSが行う活動では、交わる想いや思考、サービスとの繋がりや製作過程をクライアントや開発者と共に重ね合い、NEMに様々な活動が「+」されていきます。そのNEMと「+」がもたらす先の未来を、技術とコミュニティが導く結果としてカラーを取り入れた「=」で表しています。
カッチリとした造形となり、まさに企業の想いがエンブレム化しているデザインとなりました。
再提案 ②(第4案)
複数のサービスや想いを繋げる(プラス)ことが、私たち(tの先のUS)の答えへと続いていく。
こちらはこれまでの案とは全く切り口を変えた0ベースで製作したデザインとなります。
プラスを最も前面に押し出し、NEMTUSの想いを形にしたシンボルです。NEMと複数の要素を繋げる(+する)ことで、より大きな形の成果=「私たち(NEM+の先のUS)の答え」へと続いていくことをシンボル化しています。
カラー化による影はフラットなシンボルデザインに視覚的な空間を与えることを意図しています。影は光がある事に繋がり、「+」にスポットを充てた表現としています。DIにも変化をつけやすく、モックアップにある名刺のような大胆なデザインやモノグラムなど、幅が広がるデザイン展開を考えやすいシンボルとなりました。
ロゴタイプのブラッシュアップ提案
再提案のシンボルデザインに合わせて、ロゴタイプも文字間の空間バランスと角の丸み調整でスッキリ調整しました。
特に再提案①の案は、シンボル自体がエンブレム化したようなカッチリ感が強くなっているため、ロゴタイプの変更は必須でした。文字間、空間と角をそれぞれの文字幅を使用した黄金比をあてがうことによって再調整し、より深い統一性を持たせて全体的な視認性をあげています。少しの変化のように見えますが、以前のものよりも展開の幅が大きく広がりました。
そして伝説へ
ねむぐま氏「満場一致で第3案に決定しました!」
満・場・一・致!!
この提案のさなか、ねむぐま氏には伝えていたことがありました。
「NEMTUSの皆さん全員が納得するロゴデザインを作りたいので、誰か一人でもデザインに100%の納得ができないような引っかかりがあれば、何度でも作り直すから遠慮なく言ってください。(納期の許す限り)」
これ、ぶっちゃけカッコいい事言っているようでクソカッコ悪いことだってのは分かってます。
デザイナーとして、請け負ったからには企業イメージのアウトプットであるロゴ造形やデザインを納得させることは「当たり前」の事でもあると思うし、その結果を「当たり前」に作るのがデザイナーであると思うんです。
それを「作り直しはいくらでもする」っていうのはデザイナーとしてはおかしい、気もする。そこんとこ一般的にどうなんでしょう。僕の考えはそう。
ただ、作り直しなど初めから頭になく、一発で決めることを目標にしてデザインしたほうが間違いなく良い物ができます、と思います。
ひとつだけ弁解させてもらうと、今回のロゴデザインに関して判定を頂いたNEMTUSの12名の皆様全員が審査員であって、僕はその12名全員に100%でデザインの納得をしてもらいたかった。そして、それをクリアできない=NEMTUSに相応しくないデザインなんだろうと考えてました。勿論、それは僕の力不足の結果だと分かっておりました。
普通、ロゴデザイン提案の可否を決めるのは何人でしょうか。それを12名の「満場一致」で可決して頂いた事には感謝しかありません。
このような素晴らしいデザインの機会を頂いて、そして最高の結果を頂いて、本当にこのデザインをやってよかったと思えた瞬間でした。
最終決定案
いささか感情的になってしまい申し訳ありません。
ということで、最終的に決定となった案は第3案となりました。
こちらのロゴをパッと見でご覧になって頂いてどう感じますでしょうか。もし、「未来」や「誠実」、ワクワクするようなキーワードを感じて頂ければ本当に嬉しいです。
前述しておりますが、このロゴは「NEMを加えた(+)先に 未来(=)を創る。」をコンセプトとしたものです。NEMを加えた様々な活動や想いが交錯(+)し、その先はより素晴らしい成果(=)となるよう願いをこめて製作致しました。
是非、NEMTUS様の活動がNEMを通して世界から評価される素晴らしいものとなるよう、心からお祈りしております。
そして最後の納品では、ロゴを使用して頂く際のアイソレーション設定などをしてから納品します。他にも、ロゴの使用におけるデザインツールなどの設定資料を作成し納品、そちらもOKを頂いてのタスク完了とさせて頂きました。
何よりも大事なこと
と、ここまでやって思うのは「デザイナーっぽいことしてるなー」となんか嬉しくなっていたのを感じますw
デザインを通して、非デザイナーの僕としては自分のデザインスキルが上がっていく事が何よりの報酬でありました。頭の中でレベルアップのファンファーレが何度鳴った事か。
このご依頼をお受けしたのが6月23日、それから最終提案まで約3週間くらい。ほぼ毎日24時間NEMTUSのことばっかり考えてました。
手をつけなかった日はほとんどなくて、実際に手を動かしていた時間としては一日平均2~3時間程度ではありますが、総合するとなかなかの時間。
時間配分としては、コンセプトとラフ案スケッチが6割、そして2割がデザインの作りこみで、残り2割は提案資料製作くらいの配分です。これまでにないくらいのめり込んだデザインでした。
初回の提案校正の間のちょっとした時間に、某hubのロゴデザインやらポスターデザイン(これらは気楽にできるやつ)やらをこなして気を紛らわせたりしたこともあったけど、毎日真剣にNEMTUSのロゴの事ばっかり考えてた人生だった。
楽しかった。疲れた。楽しかった。感謝。
楽しかった、という感情が強いけど、それよりも強いのは「感謝」です。とても大きな貴重な経験をさせて頂いた理事長、ねむぐま氏をはじめとしたNEMTUSの皆様には感謝感謝でいっぱいです、ほんとに。
そして、このロゴ製作が終わって思ったのは、デザイナーでも非デザイナーでも関係なく「何よりも大事なこと」、それは、
このロゴはなるべくしてこの形となり、そして僕も、そしてきっとNEMTUSの皆さんも、このロゴが大好きだということ。
これからのNEMTUS様の発展を心よりお祈り申し上げます。こんな巻きクソみたいに長い文章をお読み頂きありがとうございました。
おしまい。
さよなら、さよなら、さよなら!
番外:提出していないデザインNG集
もちのろん、この度のロゴ製作の過程で、NEMTUS様に提出はしていないけど、ある程度形に持って行ったデザインもいくつかあります。今回はそのうちの少しだけを供養を含めてご紹介させてください。
NG集1. その筋の既視感
NEMの型にサービスを+する。NEMを包むように様々な想いが渦巻くイメージで製作したデザイン。重要な「+」の位置を迷ったあげく、配置箇所が悪かったのかその筋のアイコンのように見えてしまった残念なデザイン。また、よく見るとGoogleChromeのアイコンに似ている為NG。
NG集2. バタフライエフェクト
小さな風もいずれ世界を動かす風となる。始めは小さな活動かもしれないが、将来的には世界を動かすほどの大きな風となって、世界を動かして欲しいとい願いから製作したロゴ。肝心な「+」がNEMシンボルにグランドクルスを決め込んでバキバキーンという擬音が聴こえてしまった為NG。
NG集3. お花屋さん
NEMという大地に種を植えたらば、それはそれは美しい花が咲くことをイメージしたロゴ。地味にこのロゴのグリッドデザインにはめちゃくちゃ時間をかけている。しかし、どう見てもお花屋さんのイメージだし、NEMTUSのコンセプトからはポエムに偏りすぎた夜中テンションの賜物だからNG。
NG集4. 飛べませんでしたワシ
これも夜中のテンションの賜物。何故か動物をシンボルとしたかっただけの作品。かっこいいけど、NEMTUS飛んで未来!くらいのクッソ軽いテンションで作っただけである。かっこいいから自分のTwitterアイコンにしてしまったのでNG。
NG集5. ある意味で大冒険
「+」を「グランドクルス」という発想しか思い浮かばない混迷時期が僕にもありました。不死騎団の団長だからNG。
※NEMTUS理事長のごっつ様にも素敵な記事を書いて頂きました。クライアント側からの視点が描かれています。nemlogっていうプラットフォーム上でご覧になれます!是非!!
https://nemlog.nem.social/blog/46578
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