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はじめて買ったCDに2つのサインを書いてくれた日のこと

春の連続投稿チャレンジに締め切り7日前から絡みにいっています。
数あるお題の中でも、真っ先に書きたい!と思ったのが
この「#はじめて買ったCD」

だって、これしかないもの。
初めて買ったCDは、宝物になったんだから。

これって年齢バレるお題だよね・・・と思わなくもないけれど
わたしが初めて買ったCDは、プリプリこと
プリンセスプリンセスの「Diamonds」。
B面カップリングはあの名曲「M」ね。
消せないアドレスを指でたどってるだけのMね。
Mが付く人を好きになると過ぎるやつね。

正確には「買った」というのはたぶんちょっと違ってて。
当時はもちろんおこづかいで生きる子どもでしたので。
2500万乙女のバイブルのりぼんと、なかよしの両方を買って!!と
いう漫画も活字も大好きな娘の戯れごとを聞き入れてもらった結果で
両方買い与えるかわりに月500円とかで生きてた頃だから。
CDショップに1人でまだ行けない頃だと思うので、
巻き上げられた(恒例)お年玉で買ってもらったんだと思う。

音楽に目覚めた4つ上の兄がCDラジカセをねだって買ってもらった日に、こっちは妹ちゃん(我)が欲しいって言ってたやつだよって「Diamonds」も一緒に渡されて、もう興奮してラジカセ取り合いだったもん。
兄が買ってもらったデッキなのに、しゃしゃり出るから妹は。
ちなみに兄のCDは爆風スランプの「Runner」ね。
間髪入れずにZIGGYの「GLORIA」も増えたから。

昭和あるあるだけど、ラジカセで音楽番組から録音して
もう毎日毎日、飽きずに聴いてた記憶がある。
テレビの音だけダイレクトに録音するコツまで習得してたから。
そんな娘(と息子の)いじましい姿を見た両親が買ってくれたのが
CDラジカセとCD「Diamonds」(と「Runner」)

それまでナンノちゃんが大好きで、目当てに観てた音楽番組で
Diamondsを聴いて、ナニコレかっこい!!!って思って、
これがわたしのバンド好きの原体験になった。

この曲でいわゆる大ブレイクしたプリプリは
女性ガールズバンドの代名詞になって、
たくさんの名曲を残して、1996年に解散してしまった。
一度もライブに行ったことがないまま、二度と聞けない音楽になってしまった気がして、無性に寂しかったことだけは今もはっきりと覚えてる。

その数年後、雑誌編集の専門学校生だったわたしは、
卒業制作で音楽雑誌を作ることになった。
各自が取材したいアーティストに企画書を送ってアポを取る。
わたしは当時どハマりしていたインディーズバンドを取材したけど、
仲良しの友達がプリプリのギタリスト・中山加奈子さんに会いたい!って
言い出して、もちろんそんなこと言われたらわたしだって会いたい!から、当然のように取材に同行させてもらった訳で。
ギターに関する話を聞きたい、と伝えたら、わざわざ中山さんが所有する
コレクションを格納している特別な場所に招待してくれて。

学生相手の取材なんて、それはもう断られて当然で。
鼻で笑われたっておかしくないのに。
ギターの話ならギターがあったほうがいいよね!って応えてくださったこと
友達もわたしも一生忘れないです。

取材中に中山さんがポロッと言ってて忘れられないのが、
「ギター小僧たちにあのコードって・・とか言われても実はそんなの知らないよ!って言いたい時あるのね。だってマニアックすぎるんだもん!」って
笑いながら話していて、クールなイメージだった中山さんのこと、
こんな顔して笑うんだぁって、可愛い人だなって思った。

取材が終わって、読者プレゼント用のチェキ撮ったりして
サインいただいている間に、もうソワソワしてて。

でも別にサインをねだるつもりとかじゃなく、
はじめて買ったCDがプリプリなんです!ってことだけを伝えたくて
ボロッボロの8センチシングルを中山さんに差し出した。

取材日を添えたソロ活動のサインと右上がプリプリ時代のサイン

子どもだったから、保存状態もボロッボロ。
でもよく見ると、ちゃんとシングル用の保護ケースに入れてるの。
そして、わかる人にはわかるけど、これ、短冊の下のプラスチックを折って
コンパクトにしてるの。小さくなるんだよね短冊シングルって。
いやでもこんなボロボロでなに考えてたのよあの時のわたしは!!!

これを見た中山さんが、もうそれはそれは大ウケしてくれて。
懐かしい〜〜!!って言ってくれて、そのままサインしてくれて。
もうそれだけで感無量だったのに、書きながら
「もう懐かしいから当時のサインも書いちゃうね」って、
まさかの昔の、プリプリ時代のサインを書いてくれて。

こうして、わたしが初めて買ったCDは、宝物になった。
あのとき感じた予感は本物。
右も左もどころか社会にも出てないひよっこたちの取材に
全力で答えてくれた中山さんは、綺麗でかっこよくて、
あんな大人になりたいと憧れの人の1人になった。

これは余談だけど、専門に入学した翌年だったかな?
副校長にベースの渡辺敦子さんが就任されて、
それはもうテンション上がったけど編集科は校舎が離れていて
お目にかかる機会などなく卒業を迎えたんですね。
でも、最後に奇跡は起きた。
成績優秀者(自慢)として編集科の代表で卒業証書を受け取る大役を担うことになったんですが、授与してくれるのがまさかの副校長で・・!
渡辺さんから!卒業証書を渡していただいたの!!!嬉!

はじめて買ったCDであり、はじめて好きになった最初で最後のガールズバンドの御二方とささやかながらご縁があったこと。

カセットテープで必死に録音してたあの頃のわたしに教えてあげても
きっと信じないと思う。

それから数年後、2012年にプリプリは再結成してくれた。
復活ライブはわたしのようなにわかファンじゃなく
解散ライブで死ぬほど泣いたファンがいくべきだと思って
WOWOWから観てたけど。
でもせっかく再結成してくれたから、一度は生で観たくて。
Act Against AIDSのイベントに出ると聞いて、ここしかないと思った。
急遽販売の見切り席だけど追加チケットを買ったら、
上段だけど普通にステージの真横でメンバーめっちゃ見える席で。
ステージ袖でメンバーが気合入れやってるのも見えたから、
もうその時点で涙腺は決壊寸前だった。
1曲目「世界でいちばん熱い夏」のイントロでもう記憶が飛ぶくらい泣いた。
もちろん「Diamonds」も、やっとやっと生で聴けた。

再結成したプリプリは、その収益で仙台にPITというライブハウス作ってくれて、それぞれの生活に戻っていった。

プリプリとしての活動は終了しても、今でも音楽は残るし、
仙台にはPITという音楽を鳴らせる大箱が残っている。

そしてわたしの手元には、子供の頃と青春の思い出と、目指してた夢と、
色褪せない曲と一緒に、宝物の「Diamonds」が残っている。

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