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【必読】音楽業界人は絶対読んだ方がいい1冊Part.2【書評】

このnoteではずっと「日本のアーティストは海外に出ていくべきだ」ということを書いてきました。

でも「具体的にどうやっていけばいいの?」と思いますよね?

なんと、具体的な実践方法を紹介してくれている本がありました。
私が思う、海外を目指すべき理由や考え方がとても似ていて、納得度が高かったです。
今、私が仕事で気をつけていることも網羅されていて「あるある!」ということもありました。

この記事では、この15年業界を見てきた経験から、私が深く共感したところを3つ、そして今後の課題1つに絞ってご紹介させて頂きます。

この記事を読むと、これからの音楽業界は海外を目指した方がいい理由と、どうすれば海外展開できるのか、について分かると思います。

音楽業界人は絶対読んだ方がいい本のご紹介、パート2です。


これからの日本にとってアジア市場を見据えるのは当たり前

本当にそう思います。

これには期待と危機感の両方の理由があります。

ひとつは「音楽は売れないはウソ」だということです。
まったく同感です。

「ミリオンヒットが出ない」とか「新しいスターが生まれない」、だから音楽業界はオワコンだ、みたいな話、よく聞きませんか?

これはあくまで、録音媒体を販売するビジネスが終わっただけです。
音楽そのものが必要とされなくなったわけではありません。

実際、音楽配信の売上実績10年分を見てみると、一度は落ち込んだものの、ストリーミングによってV字回復してきています。

音楽配信売上

(一般社団法人日本レコード協会「音楽配信売上実績過去10年間」より)

時々記事でも紹介しているSpotifyや、Apple Music、Amazon Music等のストリーミングサービスですね。

今やほとんどの人がこれらのサービスを使って音楽を聴いているはずです。
ヒットの基準がこれらのサブスクの再生回数やバイラルチャートに変わっただけです。

未だに音楽売上に占めるCDの割合が配信より多いのは、音楽売上トップ10か国の中では日本だけなんですよね。

特典が付いていたり、確かなモノを所有したい欲求、もあるのかもしれません。


日本人は元来コレクター気質なのも影響していると思います。
やっぱり現物の方が愛着も沸きますよね。

しかし、もう世界の音楽市場はとっくに変わっています。
今後海外進出していくためには、ストリーミングを主戦場として、どのようにプロモーションしていくかを考えなければなりません。

だから、ストリーミングで勝っていく方法を積み上げていく必要があります。
そのためにも、音楽業界人は最新のサービスをどんどん使い倒して、攻略していく必要があります。

もし、まだストリーミングを使っておらず、CDからダウンロードしている音楽業界人がいたら、今すぐ登録した方がいいと思います。

どのサービスも月1,000円程度です。
お店で飲むコーヒーを月に2杯減らすだけです。
たったそれだけのことで、世界中の音楽、数千万曲にアクセスできるんです。

面倒くさがって、やっていなかった人もいると思いますが、思い立ったが吉日です。
この記事を読む手を止めて、今すぐ登録しましょう。

登録しましたか?(笑)

さて、実際に使ってみると、今までCDで聴いたのとは、ぜんぜん違う音楽体験に驚くはずです。

興味を持ったアーティストには、すぐにアクセス出来ます。
古い、新しいも関係ありません。

気分に合わせたプレイリストも用意されていたり、音楽の楽しみ方が倍増するはずです。

これなら、ずっと音楽を聴いていたい、時間さえあれば聴いていたい、と思いますよね?

20代以下の人にとっては当たり前の環境です。
しかし、30代以上の人にとっては技術の進歩を歓迎したくなるでしょう。

これが現状です。
これが海外での当たり前の状況なんです。

国も、時代も関係ありません。
本当に良い音楽に、世界中のどこからでもアクセスできます。

世界のどこかにファンがいる。
世界中にこれからファンになってくれる人がいる。

これってすごいチャンスだと思いませんか?

音楽は売れないどころか、チャンスが無限に広がっているのです。

期待の方はよくわかって頂けたと思います。

さて、もうひとつの危機感の方についてです。

それは、日本の人口動態です。
ご存知のとおり高齢者社会の日本ですが、出生率も低下しており、人口の減少は既定路線です。

日本人口推移

(人口推計(令和2年(2020年)12月平成27年国勢調査を基準とする推計値,令和3年(2021年)5月概算値) (2021年5月20日公表)総務省統計局)


これは消費の減少を意味します。

当然ですよね?

人が減るということは、それだけ食事する人の数が減り、服を着る人の数が減り、そしてコンサートに行く人の数が減るのです。

買う人がいなければ、産業は細くなっていきます。
需要が無ければ供給しても意味がないですよね?

この辺りは解説すると長くなるので、とりあえず話を進めます。

音楽を売れるチャンスが世界にはある。
日本では減少する。

これが海外に出なければならない理由です。

「5年くらい食えたらいいや」というアーティストはいません。

ずっと音楽で食っていくんです。

これからアーティストを取り巻く、事務所やレコード会社といった環境は大きく変わってきます。

アーティストは最初から海外のマーケットを意識すべきだし、スタッフはアーティストを売るために、海外のことを知っておかなければいけません。

5年ならともかく、この後10年は今のままなら市場が縮小していくだけだからです。

SNSの活用

さて、いくら市場があったとしても、やはりまずは知ってもらわなければ始まりませんよね?
これまでは、プロモーションメディアといえばテレビでした。音楽にとってはラジオでした。

しかし、世界での露出を考える上では、ローカルメディアは役に立ちません。
今の時代、折角SNSがあるわけですから、これを活用しましょう。

言語の翻訳は熱心な人がやってくれるかもしれませんし、その内翻訳ソフトの精度もますます上がっていきますから、あまり気にせず、活動の露出を増やすことが大切です。

実は「エンタメ業界ではたらくサラリーマン」もTwitterアカウントを作っています。
Noteの記事更新のお知らせや、関連ニュースを発信しています。

まだ運用を始めて日が浅いのですが、先月後半くらいからTwitterの投稿頻度を上げました。

するとnoteのビュー数が先月のほぼ2倍になったのです。

さらに、この本についてつぶやいたところ、著者である関根直樹さんからもコメントとフォローを頂くことが出来ました(笑)
ちなみに、フォロワー数は1(2021年6月18日現在)です(笑)

ただのフォロワー数1のアカウントでも、実際に影響の輪が広がっているのを実感しているのですが、これが大きな影響力を持つアーティストだったらどうでしょうか?

その効果は絶大です。

使うツールは、活動に合うものでいいと思います。

Twitter、Instagramなど、発信したい内容も含めて創作活動になるかもしれません。

ちなみに、私は兼ねてからYouTubeをお勧めしています。

やはり情報量が多いですし、広告収入も期待できるからです。
収益化の方法もスーパーチャットや、メンバーシップ登録等、多様化してきていて使い方次第でチャンスがあります。

世界最大のメディアでもありますし、アーティストにとっては表現の場そのものにもなり得ます。

何より、拡散するスピードが桁違いなので、今の時代SNSを使わない手はありません。

チャンネルが成長するのに時間もかかるので、出来るだけ早くスタートしましょう。

本の中では、「つぶやくマメさ」として紹介されています。

継続性と意思

これが一番重要かもしれません。

海外では、普通にコンサートをするだけでも大変です。

労力に比べて、大きく儲けることは難しいです。

一度海外で実施した経験があっても、国内の方が楽で儲かるので、結局続かないことが多いようです。

この本では、実際に海外ツアーをするために、必要な準備や期間、どういったことに気を付ければよいか、契約の面でも実務の進め方の面でも詳しく書かれています。

「どうやって海外にいけばいいの?」という疑問に、実務をやっているからこそわかるリアルな経験から丁寧に書かれています。

こんな親切に書いてしまっていいの?
と思うくらいです。

この本を一度でも読んでおけば、そして手元に置いておけば、自分の担当アーティストが「海外でツアーをやりたい」と言っても、慌てなくて済みます。



日本ではライブツアーをやる場合は、まともなコンサートプロモーターに頼めば、そこまで苦労することなくライブが出来ます。

他社であっても同じ業界同士、呼吸が通じますし、商慣習も通例も同じなので、パターン化されていてスムーズです。

しかし、海外では文化も思想も、慣習も違います
もちろん、ビジネスの仕方も違うので、契約書の内容ちゃんと見ておかないと、何かが起きたときに非常に面倒になります。

そうしたことへの注意や対処法まで書かれていて、これから海外でビジネスをしたい人にとっては、この1冊を押さえておくだけで、だいたいの事前準備は出来てしまうと思います。

それくらい細かく、リアルな状況が描かれていて、困りそうなことを先回りして潰してくれます。

今後、このnoteでは課題図書のようにしてこの記事へのリンクを貼ることになると思います(笑)

で、苦労して実施した海外の公演が、振るわなかったからと言って、その国から撤退するのは避けた方がいいです。

続けていくことで積み重なっていくものがあるからです。

次の動員をどうやって増やすか、今回の実績を元にさらにファンベースを広げるにはSNSをどう使えばいいか、行った先との関係も出来たし次の展開も相談できるな、とか次回ツアーに向けて準備をしましょう。

そうして得られた経験や、海外のプロモーターとの信頼も、続ける中で積み重なっていきます。

海外とのやりとりが非常に大変だったりすることので、「大して儲からないしもうやめよう」となってしまうのもわかります。
ビジネスである以上、儲けなければいけません。

しかし、大赤字にならないのであれば、投資と割り切ってやった方がいいです。

それに、この本では、どういう風に交渉すれば利益を出しやすいか、メリットを最大化出来るかについても、参考になる具体的なノウハウも書かれています。
初めて海外公演を実施するなら、これを守りながらやっていけば、大きな損失は出さなくて済みそうですし、やってみたいと思うはずです。

その先、売れるかどうかはやってみないとわからないことも多いので、まずは続けていって、チャンスを捉えるようにしていくのが良いと思います。

コロナ禍で起きたコンサート業界の変化

今は、コロナで海外に行くことが出来ません。
だからこそ、今のうちに準備を進めていくときです。

そんな中、コロナ禍で起きたコンサート業界の変化にも言及されています。

・配信ライブ
・電子チケット化
・オンラインプロモーションの強化

これは全てDX(デジタルトランスフォーメーション)の領域で、新たなビジネスが生まれるチャンスにもなります。

配信ライブはこれからも、完売した公演をさらに収益を高める形で使われるようになるでしょう。
そして、配信ライブこそ、海外からも観られるので、海外でファンを増やすことが出来たアーティストにとってはさらに追い風になるかもしれません。

そして、電子チケットは非接触で入場できるツールとして役に立つものという認識が広がったので、今後は衛生面からも導入が進むでしょう。

オンラインプロモーションの強化は、今急速に進んでいます。
コロナで移動の制限もあり、テレビやラジオに出演することが難しいことがよくありました。

そんな中、YouTubeをはじめとしたSNSでの告知も増えましたが、インタビュー動画やテキストを、WEB媒体で告知することも多くなりました。

そして、これも海外展開には有利に働くと思います。
課題は言語ですね。英語か中国語をちゃんと勉強しないとですね。

まとめ

海外に出た方がいい理由は、日本の人口は減る一方で市場が減少することが見えているから。それに対して音楽そのものは求められていて、海外には市場があるから、でした。

具体的な海外ツアーを行なうための方法が詳しくこの本で書かれています。
実践していけば、海外でもツアーが出来るでしょう。

著者の関根直樹さんはブッキングエージェントとして活動されているとのことですので、相談も出来るかもしれません。

そして、何より続けていくことです。
何度も海外へ行く中で、プロモーションのやり方も身に付くでしょうし、海外とのパイプも太くなっていくでしょう。

海外でのツアー実績が増えてくれば、他のアーティストも追随しやすくなるでしょうし、J-POPが市場に根付くきっかけになっていくと思います。

そして、海外でのローカライズの重要性もこの本の中では書かれています。
著者のリアルな体験から生まれたノウハウだからこそヒシヒシと伝わる具体的なヒントがいっぱい書かれており、非常に参考になります。

単に「海外に行こう」という号令ではなく、これからのアーティスト活動の指針を考える上で、必要な視点が網羅されています。

読んでみた上で、その内容を「自分たちの仕事に活かすとしたら、何をすればよいか?」を考えてみたら、きっとわくわくする戦略が生まれてくるはずです。

新しいアイディアでなくとも読んでいるうちに「やれば出来そう」と思えて来ると思います。

世界を股にかけるアーティストや、世界を相手に仕事をするエンタメ業界人になれると思わせてくれる1冊でした。

時々読み返したい思います!

ちなみに「音楽業界人が絶対読んだ方がいい1冊」のPart.1でも紹介させて頂いた「未来は音楽がつれてくる」とセットで読むとこれからの戦略のアイディア広がっておススメです。

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