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Entertainergy ~The Anthem Ⅰ~ 「アンセム Ⅰ」
2015年夏、世界で最も有名なあの緑のシンボル・マークのカフェのテーブル席で自身のミュージック・レーベルを創立するアイディアを手帳に記術していた時、同時にミュージシャンらしくそのアンセムも創ろうと思いついたのは必然の事だった。Entertainergy(エンターテナジー)とは、僕が創った造語だ。
Entertainment(楽しむ) + Energy(原動力) = Entertainergy
Entertainergyの創立物語はまた別のページで話す事にして、今回はまずこのアンセムの歴史を話したい。2014年、ソロ・ミュージシャンになった僕はPrinceやJames Brownといったファンクのルーツを自身に取り入れた。それまでの自分のルーツはクラシック・ロックと、そして現在もあるプログレッシヴ・メタルだった。その新たなルーツを本格的に導入してはじめて創ったのが、レーベルのアンセムEntertainergyだった。当時、オリジナルのファースト・アルバムを完成させ、そこから休む事なくセカンド・アルバムの制作に入る所だった。そこにこの2つのアンセム、レーベルと同じ名前とその語源から来ている「Entertainergy」と「This is the Entertainment Energy」をレコーディングし、セカンド“TP”と、セカンド・アルバムの最初の2曲に収録しようと決めた。「TP」もまた、自分が考えた造語的アイディアだ。「自分の作品の本編はアルバムにある。」という事から、EP(Extended Play)にかけてTP(Trailer Play)と命名した。当時はミックス違いの変化くらいで、TPにもアルバムにもこの2曲は収録したが、現在ではシングルとアルバムそれぞれを差別化したいという事もあり、TPに収録されたナンバーはアルバムには収録されない。
オリジナルのアンセム、EntertainergyをリリースしたのはEntertainergyを創立した2016年1月1日。当時はまだ現在のようにサブスクリプション・サービスにリリースはしていなくて、Soundcloudにてその作品を配信していた。今思えば、オリジナルの2016年盤では自分は未熟で、さらにまだエンジニアではなかったので今オリジナルのサウンドを聴き返してみると、顔がトマトのように真っ赤になるほど恥ずかしい。それから2年後の2019年、令和という新時代がやって来る事を機に2回目のレコーディングを行って制作したヴァージョンはTuneCoreを通してサブスクリプション・サービスに配信リリースした。この時は既にエンジニアになる為の修業を始めていたが、まだ機材も最低限のものしかなかったし、プロフェッショナルなスキルも身についておらず、これもまだ自分の思い描くサウンドにはできなかった未完成のサウンドだった(この2016年盤と2019年盤は、今後アニバーサリー・エディションなどのリリースが企画されたらボーナス・トラックとして収録したいと思う)。この2つのアンセムは、2016年のオリジナル盤のⅡnd TP & ALBUMに収録されたもの、 2019年にリリースされたものがあった。
2024年に自分のソロ作品を最初からリメイクすると決めた時、これは自分の“原点”でもある事からこのアンセム達は2016年のスタートがそうだったようにⅠst TPに収録する事にした。それが、2025年1月24日に配信リリースされた「The Entertainergy」だ。芸術家は決して満足してはならない。自分のサウンド・プロダクションはここからさらに進化をしていきたい。満足してしまったら、そこでおしまいだ。だがこの2025年盤は、胸を張って聴いてもらいたいと思えるものにはできたと思っている。ここでやっと、自分の原点を創る事ができた。“リメイク”と刻印したからには、変化を起こしたかった。オリジナルを尊重しながらも、歌詞も一部書き変えオープニングのドラムもパワー・アップしている。ギター・サウンドもオリジナル番ではVOXだったが、現在の自分のパートナーであるMesa Boogieになりヘヴィになった。そして3年間の修業を得てエンジニアにもなり、自分のサウンド・プロダクションもできた。そして新たなる原動力とVISIONがあった。とその中でも、自分の中で大きな変化だったのがオリジナルの歌詞からあった「BGMはリズム&ブルース」という自身のルーツを再発見したという事。2024年、ソロ活動10年目を機に自身の作品を全てリセットして 「The Entertainergy」とEntertainergy the Band名義の「MUSICIANSPIRIT」2つの作品をリリースして分かった事は、自分のルーツはリズム&ブルースにあるという事だった。リズムを探求してゆくと変拍子のリズムを大胆に取り入れるプログレッシヴな要素があり、ブルースを探求してゆくとそこにヘヴィ・メタルの要素があった。「The Entertainergy」ではリズム&ブルースを意識し、「MUSICIANSPIRIT」ではプログレッシヴ・メタルを探求した(両作品それぞれにその2つの要素があるとも言える)。ロックン・ロールは今でも愛しているけれど、それはもう自分をカテゴライズするジャンルではなくなった。そういった考えから「BGMはリズム&ブルース」の次にあった「ロックン・ロールもいいね」のオリジナルの歌詞は、自分の口癖である「ヘヴィにそしてファンキーに」に書き換えた。このヘヴィとファンキーこそ自分が現在追い求めているサウンドだ。このアンセムは、自分がステージに戻った時は必ずプレイするナンバーとなる。来るその時まで、このアンセムをお楽しみください。
YEG