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This is the Entertainment Energy ~The Anthem Ⅱ~ 「アンセム Ⅱ」

Entertainment(楽しむ) + Energy(原動力) = Entertainergy

ミュージック・レーベルEntertainergy(エンターテナジー)には、ふたつのアンセムがある。ひとつは、同タイトルの「Entertainergy」。そして、エンターテナジーの語源から命名された「This is the Entertainment Energy」だ。2015年秋、自身のレーベルを創立する事に伴い、僕はふたつのアンセムのレコーディングに取りかかっていた。「Entertainergy」はすぐにできた。一年前に自身のルーツに取り入れたファンクというものが少しずつ分かり始めていたし、ヘヴィなリフの要素では自分の中から自然に生み出されたものをプレイした。そして、もうひとつのアンセム「This is the Entertainment Energy」ではミュージカルの要素を取り入れようと思っていた。こちらに関しては、自分はまったくの素人だった。現在でもミュージカルを書くのは本当に難しいと思っている。簡単だなんて口が裂けても言えない。だからこそ、ミュージシャンとしてそういった新しい事には常にチャレンジしたいと思っている。自分の得意なものだけをマンネリにプレイする事はプログレッシヴ・ミュージックではない。現在では2025年盤のTPに「Rhythmusical Pt.Ⅰ」が合わせて収録されているし、オリジナルのセカンド・アルバムとサード・アルバムにもそのカラーのナンバーを収録していた。これらのナンバーの原点にあるのが、この「This is the Entertainment Energy」だ。

 このナンバーのレコーディングを最初にした2015年にした事は、まずたくさんのミュージカル映画を観て勉強した。MGMミュージカルのアンソロジー映画「That’s Entertainment」Pt.Ⅰ~Ⅲをレンタルして、夜自宅で何回も観た。Pt.ⅠとⅡは2019年に2度目のレコーディングをした時も見返した。この時期に公開されていた「LA LA LAND」ももちろん劇場に足を運んで観に行った。(このページを執筆している2025年、「That’s Entertainment Pt.Ⅱ」のサウンドトラックをレコードで手に入れる事もできた)。唯一観た事のあった伝説の名作「Sigin’ in the Rain」も改め観直した。あの主演俳優自らのスタントは驚異である。ジーン・ケリーのダンスには脱帽のひと言だ。どんなにテクノロジーが進化しようとも、自らその旋律をプレイしたいものだ。ミュージカルは大好きなジャンルだ。気になった作品は常に観るようにしている。この映画のテーマ・ソング「That’s Entertainment」は(厳密にはフレッド・アステア主演の映画「The Band Wagon」のテーマでもある。もちろん、この作品も観た)近年では映画「Joker: Folie à Deux」にも映像と合わせて登場した。あの映画は、前作のChaosを期待していた人々にとってはがっかりしたものだったらしいが、このナンバーと映画に思い入れのある自分にとっては微笑ましいものだった。

自分にミュージカルなんて書けるのだろうかと最初は思ったが、その気持ちを受け入れて不器用でもいいからやってみる事が大切だ。根拠なき自信とはこういう時の為にあるのだと思う。このナンバーのミドル・セクションにあるツイン・ハーモニーのギター・ソロは、ジーン・ケリーとフレッド・アステアのダンスを意識している。ステージでは、リズム・ギタリストと一緒に是非プレイしたいと思う。こちらのナンバーもブラザーである「Entertainergy」と合わせて2025年盤ではクオリティがよくなっている。キーとなるオーケストラもオリジナルではシンセサイザーの延長上のようなものであったが、現在ではBBC Symphony Orchestraのプラグインも導入しているし、それをCapitol StudioのChamberでシナトラの声のように響かせる事もできる(2025年盤で響いているサウンドはまさにそれだ)。

こうして、「Entertainergy」と合わせてこのふたつのアンセムを旗揚げに僕は2016年Entertainergyを創立した。その時あったのは、このふたつのアンセムと夢だけだった。それだけあれば十分だった。Entertainergyは現在もこうして存在し、翌年は10周年を迎える事になる。例え無名だとしても、それが間違いである事をこれから証明したいと思う。

YEG


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