自分でお金を集められないカンパニーの弱点【キンコン西野】
エンターテイメントの世界は「クリエイティブ」と「人間関係」と「予算」がグルグルに絡み合っている
ミュージカル『えんとつ町のプペル』のプロデューサーのミーガン・アンがプロデュースする公演がワシントンD.C.で今月12日からスタートするということで、応援と冷やかしを兼ねて、昨日からワシントンD.C.にいます。
今日の夕方にはニューヨークに戻って、夜はニューヨークの偉い人達との会食が入っています。
ミーガン・アンの舞台のリハーサルは今日もワシントンD.C.であって、そこにはミーガン・アンだけじゃなくてミュージカル『えんとつ町のプペル』でお世話になった俳優やディレクターや作曲家がいるので、もう少しワシントンD.C.に滞在したかったのですが……泣いても笑ってもブロードウェイは村であり、投資家が絡んでくるエンターテイメントです。
そこでは、「偉い人達との会食」というか、いわゆる「ロビー活動」が本当に大切で、これも一つのビジネスチャンスなので、今から荷物をまとめてニューヨークに戻ります。
とまぁ、そんな感じでエンターテイメントの世界というのは国内外を問わず「クリエイティブ」と「人間関係」と「予算」がグルグルに絡み合っているのですが、今日はこの「予算」の部分を掘り下げたいと思います。
予算を自分達で集めきれるようにならないと、クリエイティブが濁る
結論から先に言っちゃうと、「予算を自分達で集めきれるようにならないと、クリエイティブが濁る」といったところです。
詳しい説明に入る前に、「自分達で集めた予算」を定義させていただきます。
「自分達で集めた予算」というのは、「チケット代、グッズ代、バイト代、クラウドファンディングやオンラインサロンやNFTで集めたお金。そして投資家から集めたお金」あたりのこと。
では「自分達で集めたわけではない予算」は何になるのか?
これは「国や県や市が出所になっているお金」ということでいいのかな、と。
先にお伝えしておくと……これは先日もお話しさせていただきましたが、「補助金を受けとるな」という話じゃありません。
ただ、「補助金に体重を乗せるな」「行政が出してくれるお金にプロジェクトの体重を乗せるな」というメッセージは確実にあって、結局、行政が出してくれるお金にプロジェクトの体重を乗せてしまうと、そのプロジェクトの最終決定権が行政に渡ってしまいます。
「身銭を切らずにノーリスクで作品を作れるというメリット」がある一方で、「行政がGOを出すスピード感でしかプロジェクトを進めることができない」というデメリットと、「行政がGOを出した作品しか世に提案することができない」というデメリットがある。
そして、それがクリエイターのポートフォリオになってしまいます。
「行政のお金に頼ったクリエイティブ」は一長一短
行政とイイ関係で納得のいく作品を作れたら最高なのですが、僕の知る限り、行政のお金に頼ってしまったクリエイターの多くは「もう自分の名前を出さないでくれ」ぐらいの勢いで、作品の仕上がりに納得がいっていなくて、それが「自分の作品」として評価されることを強く拒んでいたりします。
「行政のお金に頼ったクリエイティブ」は一長一短で、行政とは常に良い関係でいられるように、クリエイターは「進め方に納得がいかないので降ります」というカードは持っておいた方が良い。
つまるところそれは、「自分でお金を集められる状態」のことで、エンターテイメントを作るカンパニーやクリエイターは、その「予算作り」の部分を誰かに頼らずに、自分達で作れるようになっておいた方がイイ。
自分達で予算を作れないのなら「予算を作れるスタッフ」をチームに迎えて自分達で作れるようになっておいた方が、クリエイティブが濁らずに済むと思います。
最近、僕の近くで、国からお金を出してもらってやった大きな仕事に激しく後悔しているクリエイターがいたので、今日はこんな話をさせていただきました。
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