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n対nをデザインして、オフラインを制する

おはようございます。
「『小便小僧』って、よく企画書が通ったなぁ」と思っているキングコング西野です。
#ノリの良いヤツしか会議に参加してなかった説

さて。
今日は『n対nをデザインして、オフラインを制する』というテーマでお話ししたいと思います。
※n=大勢


オフラインの価値って何だろう?


僕らのチームは「オンラインイベント」にそこそこ強い方だと思うのですが(※オンラインイベントは累計で10万人ぐらい動員している)、オンラインは「堀の無い城」のようなもので、「落としやすいけど、落とされやすい」性格をしています。

なので、「オンラインイベントの会社」になるつもりなど毛頭なく、オフラインをガッツリ制した上で、オンラインを絡めていく(両輪でいく)ことを心がけております。


それもあって「オフラインならではの価値って何だっけ?」「どうすれば『行きたくなる場所』になるんだっけ?」という議論を頻繁に繰り返しているわけですが…

そんな中、昨日のメキシコで出会った「ある(ほんの些細な)アトラクション」が、オフラインならではの価値をバッキバキに提供していたので、皆さんに共有したいと思います。

このアトラクションをそのまま転用することはできなくても、この「考え方」を持っておくと、たとえば実店舗(運営)の助けにもなるかもしれません。
#知っといて損はない


オンラインでは再現できないこと


現在僕はカンクン@メキシコ🇲🇽を転々としています。
#今日はまた全然違う地域に来ました

昨日行ったテーマパーク「Xcaret (シカレ)」では、夜、『Xcaret Mexico Espectacular(シカレ・メヒコ・エスペクタクラール)』というカンクン最大のショーがありました。

出演者が総勢300名という大きなショーです。

メキシコの歴史・文化を振り返ることができるショー(五輪の開会式のようなショー)で、内容は たいしたことはなかったのですが(#口が悪いぞ)、会場に行くまでの導線の演出や、なにより、開演前の“ちょっとした”アトラクションが最高でした。

今日は、そのアトラクションの話。

座席は全て自由席で、すべての席に「紙製のキャンドルホルダー付きのロウソク」が置かれていたんです。
ショー演出で使うものなのでしょうか。
#そんなことよりキャンドルホルダーが紙はマズイだろ
#燃えちゃうだろ
#実際燃えた
#ちゃんと火傷したよアミーゴ

そのロウソクを持って、開演時間を今か今かと待っていたら、スタッフさんがやってきて、僕のロウソクに火をつけます。

そして、ここからが最高です。

スタッフさんは僕のロウソク“だけ”に火をつけて、そのままサッサと帰っていっちゃったんです。
#え

他の皆さんのロウソクは飼い殺し状態で、そして、皆の視線が僕の手元(の炎)に集まります。

「なるほど。そういうことか…」と思って、隣の席の人に僕の火を“おすそわけ”して、後ろの席の人にも僕の火を“おすそわけ”。

そこで火を受け取った2人が4人に火を“おすそわけ”して、
その4人が8人に、
8人が16人に、
16人が32に…といった調子で、どんどん火を“おすそわけ”していき、どんどん火が燃え移り、まもなく、会場全体がロウソクの炎で埋まります。
まるで火事のようでした。

最高なのは、会場全体にロウソクの炎が燃え移らないとイベントが始まらないところ。
#めちゃくちゃイイネ

最近のライブ演出でよく見られる無線制御のペンライトと違って、「Xcaret Mexico Espectacular」の開演前に見られたこの景色は、お客さん一人一人がコミュニケーションをとり合わないと作ることができません。

無線制御のペンライト演出が「1対n」なら、
今回の演出は「n対n」で、後者には中央(扇動者)が存在しません。

ことエンタメにおいて「中央」の存在はオンラインでも(トーンダウンはするものの)味わうことができますが、「nとnの対面のコミュニケーション」は現場にしかありません。
#スナックっぽい

ロウソクが最高なのは、「早く(効率的に)燃え移さないと、自分の火が消えちゃう」というタイムリミットがあることで、共犯関係を強めているところ。
「Xcaret Mexico Espectacular」は、きっと、このロウソクの“長さ”を何度も何度もテストしたのでしょう。
#ちょうど良かった

「オフラインならではの価値」とも言える「n対nのコミュニケーション」は、古くは「ウェーブ(皆が順々に腕を上げて立ち上がるヤツ)」がそれにあたると思うのですが、
「Xcaret Mexico Espectacular」の開演前のロウソク演出のように、まだまだ取りこぼしている「n対nのコミュニケーション」があるハズです。

オフラインを攻めるなら、「現場に足を運ぼう」と思ってもらうなら、(情報収集を含め)そこを徹底的に掘り下げなきゃいけない。

ロウソク演出の(パッと思いつく)転用案としては、「『一定時間が過ぎると消えてしまう(隣の人に光種を分けてもらわないといけない)ペンライト』を開発して、作品の中にイイ感じに混ぜ込んで、グッズで販売して、オフラインの価値を強化する」などでしょうか。

生き抜くには、こういう会話が必要なんです。
「メキシコのあのイベントで使われていた、あの演出を、こんな感じで転用して…」といったパターンが必要で、その為には、素材となる「情報」が必要です。

まだまだ見足りない、まだまだ勉強が足りないなぁと思わされた一シーンでした。
もっと世界中を見て回って、もっと選択肢を増やそうと思います。
そして、皆さんに共有していこうと思います。

現場から以上でーす。

【追伸】
https://salon.jp/nishino」を付けて今日の記事の感想を呟いていただけたら、西野がエゴサーチで見つけ出してニヤニヤします。
宜しくお願いいたします。

↑お客さん一人一人がロウソクを持っている

↑コロナが100年前に終息したかと思わせる現地の盛り上がり。誰もマスクは付けていません。

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このnoteは2022年6月10日のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』への投稿をもとに作成しています。


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