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変な形をしたステージの可能性

おはようございます。
「武道館」「ミュージカル」「歌舞伎」「武道館」という破天荒なスケジュールを展開しているキングコング西野です。
 
さて。
今日は、『変な形をしたステージの可能性』というテーマでお話ししたいと思います。
オフライン&オンライン配信の『ハイブリットイベント』を企画する際に参考になるかもしれない話です。
 
参考にならなくても、「なるほどー」な、普通に面白い話です。
 

ステージが変な形をしている舞台作品の作り方
 

昨日、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』の幕が、ついについに上がりました。
 
新型コロナウイルスに襲われたり、変なオンライン配信をしたり(笑)…幾度となく消えかけた光は、昨日、たしかな強さで輝いていました。

会場となった『東京キネマ倶楽部』は、開場時から興奮の中にあり、オープニングナンバーで爆発し、そのままトップスピードでゴールまで。
 
感想は、初日の舞台を観られたお客さんに聞いてください。
手応えは十分です。
 
忘れないうちに言っておくけど、昨日、お手伝いで入ってくださった若手スタッフの皆様、本当にありがとう!!
#気を抜くな
#次はキミ達がやる番だぞ
 
さて。
 
そんなこんなでスタートしたファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』ですが、すでに皆様のSNSにタイムラインに流れているかもしれませんが、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』のステージは、ものすごーく変な形をしています。
 
客席を大胆に潰し(一階席の半分ぐらい潰したので、プロデューサーが泡を吹いて死んだよ)、ステージの前っつらがビョーンと(台形状に)飛び出しているのです。
 
キネマ倶楽部の雰囲気も相まって、「ステージの中に客席がある」みたいな感じになっていて、そりゃあもうワクワクしてたまらない空間になっているのですが、多くの舞台人は、この手の形をしたステージを嫌います。
 
というのも、座る席によって「見切れ(見えない部分)」が生まれてしまうからです。
 
こちらに関しては、昨日のVoicy(やたら白熱した)でもお話しさせていただいたのですが、すでに攻略法は見つけていて……「お客さんの満足度は相対的なモノである」という前提から、演出プランをスタートさせていくとイイと思っています。
 
(※やたら熱くなった昨日のVoicyはコチラ↓)


つまり…
 
「下手席にいる僕が見えていないのに、上手席に座っているあの人は見えている」が不満を生んでいるというのであれば、「下手席に座っている僕」にしか見ることができないモノを、作品の中に組み込んでいけば、相対的に満足度が上がる。
 
というわけで、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』では、「下手席に座っている5~6名しか見ることができない場所」で、キャストが芝居をしていたりしています。
 
たとえば「スコップが、そんなところから顔を出しても、僕にしか見えないじゃん!」みたいな演出が各所に盛り込まれているわけです。
 
映像作品ではなく舞台作品には「絶対的な満足度と、相対的な満足度がある」という部分を丁寧につついてみました。
#天才と呼んでもらっていいんですよ
 
んでもって、今日はこの話をしたいわけじゃなくて……ここからが本題です。
 

『変な形のステージ』がもたらすメリット
 

結論から先に言っちゃうと「変な形をしたステージって、オンライン配信チケットの売れ行きを後押しするよね」です。
 
勘の良い方は、今の時点で、もう全て分かったと思います。
 
ものすごーくマーケティングチックな話です。
 
オフラインイベントを、オンラインでも販売する場合は「オンラインならでは」を作らねばなりません。
ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』のオンライン配信の場合だと、僕と吉原光夫さんや、僕とオリラジ藤森君の終演後のトーク(生配信)が“オンライン特典”としてついてきたり、あとは、シンプルに『カメラ7台』で、ものすごーい映像をお届けしたりしています。
 
要するに、「オフラインでは体験できない要素」があればあるほどイイわけで、少し言い換えると、オフラインとの差があればあるほどイイ。
 
そう考えると、普通の形の舞台(どの席からも観やすい舞台=額縁舞台)というのは、オンライン配信する場合に、メリットが作りにくい。
 
額縁舞台とスマホ画面(パソコン&テレビ画面)は、基本的には同じ構図です。
 
#伝わってます
 
つまり、「額縁舞台のオンライン配信」は、「オフライン(現場)で見れなかった部分が、オンラインで見れる」ということは基本的に無いんです。
 
そうなると、基本的には、オンライン配信チケットを買う人が、『劇場に観に行かなかった人』に絞られてしまい、マーケットが小さくなる。
 
劇場に観に来てくれたお客さんがグッズを買う感覚で「オンライン配信チケットを買って帰る」ということが無くなっちゃうわけですね。
 
なので、「ヘンなステージの舞台作品」というのは、当然、メリットもデメリットも両方ありますが、「オンライン配信チケットの販売」に関しては言えば、確実にメリットです。
 
もし、皆様が「オフライン&オンライン」のハイブリットイベントを企画するのであれば、「オフラインのお客さんの(相対的な)満足度を計算した上で、最初から、『オフラインでは見えない場所』を作っておく」というのが売り上げを確保する打ち手の一つとして考えられると思います。
 
今回は『舞台』の話ですが、おそらくこれは、舞台に限った話ではなくて、現状僕らはまだ「オフライン用に作ったものをオンラインでも販売する」という場所に立っていて(この思考から抜け出せていない!)、オフラインとオンラインのハイブリット展開用の選択肢を、まだあまり持ち合わせておりません。
 
ここは掘り下げシロがある部分だと思うので、気づいたことかあれば逐一サロンで共有していかます。
 
そんなこんなで、今日はこれから、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』の“撮影”に行ってまいります。
 
現場からは以上でーす。
 
【追伸】
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このnoteは2021年11月15日のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』への投稿をもとに作成しています。

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