文化を作るということ【キンコン西野】
西野を差し込んでいたら、ドキュメンタリーがブランドにならない
土曜日の今日は毎週恒例となりました密着ドキュメンタリー『BackStory』の最新話の振り返りをさせていただきます。
ネタバレをガンガン含みますので、まだ、昨夜配信された『BackStory』の最新話をご覧になられていない方は、先にソチラをご覧ください。
【BackStory】『生きることだけで、頭がいっぱいだった…』
…というわけで、昨夜配信された『BackStory』の最新話では「シングルファミリー」と「子だくさんファミリー」の物語にカメラを向けさせていただきました。
感想としては、まずは「途中途中差し込まれている西野の顔が気持ち悪くて仕方がなかった」というのが一点。
一応、スタッフには「ああいうのはやめてくれ。BackStoryは西野のPVじゃないから!」と何度も伝えているのですが、なんか、いちいち西野を差し込んでくるんです。
サムネイルもすぐに西野の顔を入れようとする。
そこに「一応、西野を入れておけば、ある程度は…」という魂胆というか…覚悟を決めきっていない感じが透けて見えるんです。
あれをやっているうちは、ドキュメンタリーがブランドにならず、インフルエンサーで回しているよくあるYouTube企画の枠を超えないので、ここはミュージカルチームが「人」じゃなくて「箱」でお客さんを呼ぶことを覚悟したように、動画チームで一丸となって「どういうパッケージにすれば、知らない人が出ていても観ようと思えるか?」という課題と向き合わないと『BackStory』の未来は無いなぁと思いました。
10年近く殴られ続けて、クラウドファンディングを根付かせた
次に肝心要の「ファミリー応援シート」を受け取ってくださったファミリーの物語について。
動画の中で、「他のカンパニーはこういうことをするんですか?」という質問に対して、西野が「やらない。彼らの財源は補助金だから」と釘を刺していましたが、あのコメントについて、少し解説させていただくと…結論から言っちゃうと「支援の文化が無いから、できない」といったところです。
思い出すのは2013年にウチの後輩が浅草の『花やしき』でおこなった結婚式の2~3週間前の、ある日のこと。
あの時は結婚式の費用をクラウドファンディングで集めていたんです。
当時は、まだまだクラウドファンディングの認知が低く、多くの人は「知識を持ち合わせていない自分を守り、知らないモノを叩く」という野蛮な習性を持ち合わせているもんだから、あの時も、多くの日本人が「結婚式は自分の金でやれ!」と叩いたんですね。
テメエは結婚式をやる時に「御祝儀」を貰っているのにですよ?
クラウドファンディングで結婚式の開催費用を募るのって、要するに「御祝儀の手続きを、オンライン決済にしただけ」じゃないですか?
ですが、こんな簡単なことを、当時の日本人は全く理解できなくて、「詐欺師」だの「新興宗教」だの散々石を投げつけて、挙げ句、原宿駅の前で酔っ払ったサラリーマンからリアルに唾を吐かれたんです。
その時は、僕とウチの後輩と『CAMPFIRE』というクラウドファンディングのプラットフォームを立ち上げた家入一真さんと三人だったんですけども、悔しくて悔しくてしょうがなかったです。
「手を差し伸べる余力がある人が、その人の意思で手を差し伸べて、それによって救われる人がいる」という、この一連のストーリーが、どこの誰に迷惑をかけているの?という話で、もっとお金の動きをなめらかにして、もっと支え合える世界にして、「傷ついている人」や、「弱っている人」、そして時には「挑戦したいけど、まだ力が足りていない人」を助けられる世界にした方がイイじゃないですか?
そのことをどれだけ叫んでもまったく通じなくて、でも、なんとかこの国に「クラウドファンディング」という選択肢を根付かせてやろうと思って、10年近く殴られ続けて、ようやく根付いたんです。
支援の文化ができたから「ファミリー応援シート」が作れた
では、その殴られ続けた日々は、僕たち個人に何のリターンも生まなかったか?というと、そんなことはなくて、気がついたら、自分達のまわりには支援の文化ができていたんです。
その支援文化が結果的に「ファミリー応援シート」という選択肢を作り、ああいった御家族を助けたわけで、じゃあ、これを他のカンパニーができるかというと、今すぐにはやっぱり難しくて…というのも、当時、一緒になって殴っていたか、あるいは自分に火の粉が飛んでこないように傍観していたので、その人のまわりに支援の文化が形成されていないんです。
なので、上部だけを真似して「ウチもファミリー応援シートをやろう!」と言っても、それを上手く機能させるのが難しいと思います。
そうすると、補助金に頼るしかなくて、補助金の申請が降りなかったら、「シングルファミリー」と「子だくさんファミリー」に届けることは、ある程度、諦めなくちゃいけない。
「エンタメを作る」というのは、「ステージの上だけを作ればイイ」という話じゃなくて、できるかぎり多くの御家庭を想像して、家庭事情、お財布事情を想像して、そういった方々がステージ前まで来れる導線も同時に作らなきゃいけない。
その導線の一つが「文化づくり」で、それはもう生半可な覚悟じゃ作れません。
『BackStory』の最新話の「ファミリー応援シート」の裏には、日本中から10年近く殴られ続けても尚、諦めなかったチームの意地があったことを最後にお伝えしておきます。
あらためて。
今回、「ファミリー応援シート」で支援してくださった皆様、「ファミリー応援シート」を受け取ってくださった皆様、そして、『BackStory』に顔を出して、声を震わせながら御家族の物語を語ってくださったお父さん、お母さん、子供達に心から感謝します。
来年の夏は世界一のエンターテイメントをお届けしますので、お楽しみに。
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