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小学生と学ぶ「投資」 by キンコン西野
このnoteは2020年6月8日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:西村 康夫 さん
どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
今日は、
小学生と学ぶ「投資」
というテーマでお話しします。
僕のオンラインサロンでは、よく見かけるオンラインサロンと違って「稼げるようになります」みたいなことは一切謳っていません。
僕のサロンのコンセプトは「世界を獲るエンタメの裏側を全部見せます。で、ときどきクリエイターとして参加してください」といったところです。
言わば、リアルタイムのメイキング映像です。
ただ、メイキングといっても、自分達が命を削って作ったエンターテイメントは、泣いても笑っても、お客さんに知ってもらって、買ってもらわないと、回りませんので、当然、メイキングの一部として「広告」と「お金」の話は入ってきます。
ここで繰り広げられる話は、経済学者さんが話されている、俯瞰で見た広告やお金の話ではなくて、現場の話なんです。
マクロじゃなくて、ミクロの話です。
僕は両方の視点が必要だと思っているので「マクロとミクロ、どっちが正しい!」という話ではないのですが、ただ一つ確かなことは、現場の話って、メチャクチャ生々しいんです。
予算のことや、絵本の部数、映画の前売券の状況。あと、今は世界戦がスタートしているので、「今日、トルコで版権が売れました」みたいなのも。
全部、具体的にお話しています。
僕は数字が全てだとは思いませんし、数字に合わせて作られる作品が好きではありませんが、数字から逃げることだけはしたくないので、この辺は、かなりシビアに追及しています。
昨日のサロン記事では、「現代のお金の使い方」について、今の僕が考えていることを書かせていただきました。
記事のタイトルは、『絵本の印税をサロンメンバーに分配する理由』です。
このタイトルに嘘はなく、絵本の印税をサロンメンバーさんと分配することにしたのですが、「クリエイターが何故、印税をお客さんにあげてしまうのか?」「何故、印税をお客さんにあげた方がいいのか?」という話をさせていただきました。
このあたりは、オンラインサロンに対する理解がないとチョット難しいと思うので、ここでは割愛させていただきますが、100人が読んで100人が分かるようにメチャクソ丁寧に書いたので、興味がある方は覗いてみてください。
そんな調子で、サロンでは「予算をどうやって生み出すか?」という話から、「予算をどうやって使うか?」という話もさせていただいているのですが、後者の『お金の使い方』って、あまり議論されないですよね?
ネットを見たら「こうしたら稼げます。儲けます」ばっかりで、使い方についてはあまり語られていません。
これは発信者が「稼げる話」「儲ける話」をしたいからこうなっているわけではなくて、世の中の99.9%の人が「稼げる」「儲ける」に興味を持っているからです。
ネットであろうが、テレビであろうが、メディアというのは消費者の鏡なので。
みんな稼ぐことばっかり考えるんですけど、しかしながら、お金の増やすことを考えるのであれば、本質はそこではありません。
1億円稼いでも、使い方を失敗すると、2億円の借金ができますし、正しく使うと増やすことができます。
お金は「使い方」を学ばないといけないんです。
多くの大人は「無駄遣いするな」としか言ってくれなくて、『無駄遣いじゃない使い方』を教えてくれません。
理由は、知らないからです。
自分たちが学んでこなかったからです。
そうなんです。
お金の使い方って学校で教えてもらえないんです。
運転免許を持っていない人に車を持たせるようなことです。
そりゃ高い確率で事故が起こるんですよ。
小学生と学ぶ『投資』
とっても大切な話だと思うのですが、今日は「小学生と学ぶ『投資』」というテーマでお話させていただきます。
「貯金」じゃなく、「投資」の話です。
長い話が苦手なので、端的に説明しますね。
まず、そもそも投資とは何か?
答えは、「将来の利益の為に金銭を投入すること」です。
…この段階で「うっ」となっちゃう人がいると思うんです。
「なんか難しそう。株価とかそういうやつ? パソコンを開いて、棒グラフを眺めなきゃいけないやつ?」みたいな?
ここで苦手意識が生まれると、「下手なものにお金を出してコケるぐらいなら、お金をなるべく使わずに銀行に置いておこう。節約節約」となっちゃう。
ただ、そんなに難しい話ではありません。
たとえば、200円ぐらいで『カッターナイフ』を買ったりするじゃないですか?
あれが「投資」です。
カッターナイフが手元に無かったら、一枚一枚、紙にビッチリと折り目をつけて、紙開いて、両手で持って、慎重にピリピリピリッと少しずつ割いていかなくちゃいけない。
これ、作業にメチャクチャ時間がかかりますよね。それだけで1日が終わっちゃう場合もある。
だから200円を払って『カッターナイフ』という生産力を買うんです。
それによって、作業時間がグッと短くなり、たとえば時給800円のアルバイトをする時間が生まれる。
この瞬間、将来の利益が増えています。
なるべく切れ味の良い『カッターナイフ』を買えば、さらに作業時間が減って、アルバイトできる時間が増えるので、「もう少し切れ味の良い『400円のカッターナイフ』を買おうかしら?」と考えたりすることもあるかもしれません。
ここで「節約だー!」と言って『カッターナイフ』を買わなかったら、一枚一枚、紙にビッチリと折り目をつけて、紙開いて、両手で持って、慎重にピリピリピリッと少しずつ割いているうちに、1日が終わる。
ここで、問題です。
「お金を出した時と、出さなかった時、どちらの方がお金が増えましたか?」
これは鍋でも包丁でも、理屈は同じです。
こんな感じで「子供が普段使っているもの」で、教えてあげるとスンナリと入ってくると思います。
逆に教えてあげないと、道具というものを「便利なもの」としか捉えられなくて、「投資」として捉えることできない。
カッターナイフを使っている瞬間に「便利だな〜」と思うだけじゃなくて、「これを使うことによって、何が、どれぐらい生まれているのか?」ということを意識できるようにならなくちゃいけません。
これを自然にできるようになれば、ある局面での「貯金」や「節約」というのが、とんでもない無駄遣いだということが見えてくると思います。
※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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