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「スターが出ているから」と「スターが出ていた」の違い【キンコン西野】

このnoteは2024年8月10日のvoicyの音源、『CHIMNEY TOWN 公式BLOG』の内容をもとに作成したものです。


 
 

キャスティング理由は「この人が演じる◯◯を観たい」の一点

 
昨日は2025年8月9日〜30日までKAAT神奈川芸術劇場で上演するファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』のキャストの発表がありました。
 
※コチラ↓

キャスティングの裏側の話をさせていただくと、大規模なオーディションをさせていただいたり、直接お声がけさせていただいたり…アレやコレやで、このメンバーになったわけですが、そのキャスティング会議の際に「Aさんは多くのお客さんを持っているから、Aさんにしましょう」という会話はただの一度も出たことはなくて、「集客力ベース」ではなくて、キャスティング理由は「この人が演じる◯◯を観たい」の一点でした。
 
主役のルビッチ役を演じる小笠原栞夏は12歳で、まだ知らない人の方が多いと思うのですが、そんなことはどうだってよくて、それより「ルビッチであるかどうか?」というところに、スタッフの議論は100%体重が乗っていました。
 
ここで勘違いして欲しくないのは、「俳優の集客力には頼らない」というのは「集客力がある俳優をキャスティングしない」ということではなくて、「キャスティング理由の項目に『集客力』を入れない」ということであり、「集客力に頼った宣伝を打たない」ということなんですけども、この辺の違いに関しては、これから時間をかけて少しずつ理解していっていただけると嬉しいです。
 
 

「出演者」で集客と「仕組み」で集客は、ビジネスモデルが根本的に違う

 
ただ、ここは本当に大切なところで、運営スタッフが「俳優の集客力に頼らない」と覚悟を決めておかないと、日本の場合だと、たとえば『ハリー・ポッター』ですら苦戦すると思っています。
 
ブロードウェイのハリー・ポッターと日本のハリー・ポッターの決定的な違いって(内容に関してはどちらも素晴らしい!)、端的に言うと「観光地であるか、否か」といったところで、「ブロードウェイに旅行に来ました。せっかくなので、ミュージカルでも見るか。何を見よう?ライオンキングは当日券が取れないな。あ、ハリー・ポッターなら取れるぞ。よし、ハリー・ポッターを観に行こう!」というビジネスモデルと、「◯◯さんが出ているからハリー・ポッターを観に行こう!」というビジネスモデルは根本的に違う。
 
吉本の劇場で例えるとイメージがつきやすいかもしれないですが、「チュートリアルが出ているから観に行こう!」となるのが『ルミネTHEよしもと』で、「大阪に来たし、せっかくだから吉本の劇場で漫才と新喜劇でも観に行こう。…あ。この日、チュートリアル出てるじゃん!」となっているのが『なんばグランド花月』です。
 
この場合、どちらの劇場にもチュートリアル(集客力がある人)は出ているのですが、前者は出演者で集客していて、後者は「仕組み」で集客している。
 
 

「キャストの集客力には頼らない」覚悟を決めないと、望んでいる未来はやってこない

 
今の例で言えば、僕らが目指しているのは「ブロードウェイのハリー・ポッター」であり、「なんばグランド花月」です。

ここを本気で目指していて、その為には、YouTubeチャンネルの『ニシノコンサル(Bリーグ回)』でもお話しさせていただきましたが、運営サイドがその覚悟を決めきらないと、その未来はやってこないと思っています。
 
つまり、「気がついたら作品で集客できるようになってましたわ」「気がついたらハコで集客できるようになってましたわ」といった感じで、偶然手にできる未来でもなくて、仮に今、キャストの集客力に依存した体制でいるのであれば、その活動の延長線上にグラデーションのように存在するものでもない。
 
今この瞬間から「俺たちは、キャストの集客力には頼らない!」ということを決めきらないと、望んでいる未来はやってこないのだと思います。
 
「メインビジュアル(ポスター)にキャストの顔写真は載せない」とか、「『キャストのグッズ(アクリルスタンドとか)』は作らない」といった禁止事項を最初から決めておくんです。
 
そうすることで、はじめてチーム内で「じゃあ、どうやって集客するのよ」という話が発生し、「じゃあ、どうやって売上を作るのよ」という話が発生し、その無理難題に答えていくことで、チームが少しずつ強くなり、キャストの集客力依存から脱却することができる。
 
今回のチャレンジでは、そのあたりも見せていけるといいなぁと思います。
 
ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』の一般チケットの販売は8月25日です。
 
 

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